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金融庁へ保険業法の見直しについての意見書を提出

平成20年4月22日
海外旅行委員会資料

保険業法の見直しについて

  1. 概要:平成19年9月より、法務省において、保険法改正に伴う保険業法分野への対応が検討されてきた(7回実施)。その審議内容を踏まえ、金融庁において、金融審議会金融分科会第二部会の基本問題に関するワーキング・グループで検討を行なっている(座長:山下友信東京大学大学院法学政治学教授)。
  2. 主な論点で旅行業界に関係する事項
    • 1) 未成年者の死亡保険について
      保険者による同意が親権者により行われる未成年者に対する死亡保険に関して、モラルリスクや必要性への疑問から制限を行うべき。保険業界、保険会社において対策を講じるべき。保険会社が保険金の引き受け額を定め(金額を引き下げる)、自主ガイドラインを策定すべき。
    • 2) 被保険者の同意が無い死亡保険について
      被保険者の同意が無い死亡保険に関して、加入できる保険金額の上限設定を行うことが検討。(家族で行く場合も全員の同意がないと引き受けられない)の2点。
  3. 旅行業界としての考え方
    • 1) 未成年者の死亡保険について
      • 家族揃って旅行に行くということに同意をしているという前提を踏まえれば、モラルリスクの可能性が高いとは考えられない。旅行に行くことの同意があれば、海外旅行傷害保険に加入することについても、暗黙の同意があるものとも考えられる。
      • 加入できる保険金額の上限設定を行うと、その額は標準的な葬祭や埋葬費用等の額が基準となってしまい、一律に決められたものとして引受制限数字だけが世の中に一人歩きをしてしまう。
      • 死亡保険金額は葬祭や埋葬費用等は、国民一人一人が逸失利益等を参考に自己責任の下で考えるものであり、一律に論じて金額を設定するものではない。
      • 引受金額上限を引き下げるのではなく、他の有効手段にてモラルリスク対策を実施すべきである。
    • 2) 被保険者の同意が無い死亡保険について
      • 海外旅行中の様々なリスクをカバーする海外旅行傷害保険の手続きにおいて、特に ご家族揃って海外旅行をされる場合には家族タイプで契約が多い。
      • 検討の規定が設けられると、家族タイプの保険では契約者以外の家族について全員「他人の死亡に関する傷害保険」に該当することになるため、一人ずつ同意を取り付けることが求められてしまう。
      • 家族が他の家族を被保険者とする場合にまで、同じように同意が必要とすることについては疑問がある。
      • 海外旅行傷害保険は旅行者に安心して旅行を楽しんでいただくために不可欠であり、国土交通省の通達や外務省のホームページでも、「お客様へ海外旅行傷害保険への加入を勧奨する」ことが指導・強化されている。
      • 旅行申込と同時に旅行保険を奨めているケースが多く、家族を代表した方のみが来訪している場合、その場で保険契約を締結できないこととなり、手続きすることは極めて困難な実務となる。結局保険に加入しないまま出発してしまうようなケースが増加する恐れもあり、保険加入の阻害要因になるとも考えられる。
      • 旅行間際の申込みや手間の多さから、いわゆる無保険の状態の旅行者が増加する可能性が高くなり、現状約4割程度と言われている保険付保率は更に低下することになる。
      • 当初保険加入をするつもりでいた方が、保険を付保しないで万一事故に会われた場合は、モラルリスクを防ぐために作られた制度により、善意の消費者が被害者になる事になる。
      もともと、極めてまれな保険金目的の親族間殺人防止のために、保険金額の制限と被保険者の同意取得を行う必要があるのか、甚だ疑問を感じざるを得ない。 (妥協点としては、同意取得が必要な旅行者の数を減らし、旅行会社におけるミスの軽減を図る 手段として、自賠責保険と同水準の3000万円までは同意不要とし、3000万円超の高額保険金額の場合には、同意を取り付ける取り扱いとすることが考えられる。)
  4. 今後の方向性(案)
    旅行業界としては、何らかの手段で反対意見を表明して行きたい。
  5. 会員の意見を取りまとめ、3月25日金融庁に業界としての考え方について担当者に対して要請・説明した。(下記の通り)

平成20年3月25日

金融庁総務企画局 保険企画室長殿

社団法人日本旅行業協会
(担当:理事・事務局次長 米谷寛美)

保険業法の見直しについての意見書

平素は当協会の業務に関しまして、ご理解ご協力を賜り誠に有り難うございます。
この度、金融審議会において「保険業法の分野における対応審議」内容について、社団法人日本旅行業協会会員より意見・要望があり、当協会として下記の通り意見を取りまとめましたので、意見書として提出させていただきます。よろしくご査収賜りますようお願い申し上げます。

1.未成年者の死亡保険について

被保険者による同意が親権者により行われる未成年者に対する死亡保険に関して、モラルリスクや必要性への疑問から制限を行うべきことについて検討が行われておりますが、そもそも家族揃って旅行に行くということに同意をしているという前提を踏まえれば、そのような場合にモラルリスクの可能性が高いとは考えられない。さらに言えば、旅行に行くことの同意があれば、海外旅行傷害保険に加入することについても、暗黙の同意があるものとも考えられる。

また、加入できる保険金額の上限設定を行うと、その額は標準的な葬祭や埋葬費用等の額が基準となってしまい、一律に決められたものとして引受制限数字だけが世の中に一人歩きをしてしまう。このことは未成年者に対する保険金額を一律に論じていることとなり、必ずしも国民の理解は得られないのではないか。死亡保険金額は葬祭や埋葬費用等の平均額が基準となるものではなく、国民一人一人が逸失利益等を参考に自己責任の下で考えるものであり、一律に論じて金額を設定することはあってはならないのではないか。引受金額上限を引き下げるのではなく、他の有効手段にてモラルリスク対策を実施すべきである。

ちなみに死亡保険金に関し、諸外国においては賠償水準が低いため自己責任でさまざまな手配が必要となり、葬祭や埋葬費用だけに留まらないのが一般的である。また、海外で子を亡くしたケースで各周忌毎に諸外国の現地に弔問して多額の費用をかけている遺族も多くあり、親の心情は決してお金で解決はできないと感じる。

そういった現場感覚から、ある一定の金額で規制され一人歩きした場合に、1,000万円以上の保険を希望された方に、『保険金殺人の可能性があるからお子様の金額は1,000万円までしか引受られません』と説明する当協会会員の旅行会社の社員が 、社会の批判の矢面に立つことは必定であり、旅行者であるお客様と対面する旅行会社としては決して看過できない一大事であると認識している。

2.被保険者の同意が無い死亡保険について

被保険者の同意が無い死亡保険に関して、加入できる保険金額の上限設定を行うことが検討されているが、海外旅行中の様々なリスクをカバーする海外旅行傷害保険の手続きにおいて、特にご家族揃って海外旅行をされる場合には家族タイプ(セットで加入いただくことで保険料が割安となるもの)で契約していただくことが多い。検討の規定が設けられると、家族タイプの保険では契約者以外の家族について全員「他人の死亡に関する傷害保険」に該当することになるため、一人ずつ同意を取り付けることが求められてしまう。全くの他人を被保険者とするのであれば同意が必要とされることは理解できるものの、家族が他の家族を被保険者とする場合にまで、同じように同意が必要とすることについては疑問がある。

海外旅行傷害保険は旅行者に安心して旅行を楽しんでいただくために不可欠であり、国土交通省の通達(「海外旅行者に対する安全対策の徹底について」平成元年4月4日国旅第346号)では、お客様へ海外旅行傷害保険への加入を勧奨する」ことが指導・強化されている。また、外務省においても「十分な海外旅行保険に加入されることをお勧めします。」と一般国民に呼びかけています。旅行会社では、旅行申込と同時に旅行保険をお奨めしているケースが多く、旅行会社にお見えになるお客様はほとんどの場合、家族を代表した方のみが来訪している。家族の一人一人についてまで同意が必要とされると、その場で保険契約を締結できないこととなり、その後にご家族の一人一人に同意を取って手続きすることは極めて困難な実務となる。結局保険に加入しないまま出発してしまうようなケースが増加する恐れもあり、保険加入の阻害要因になるとも考えられる。

当協会会員の旅行会社は保険の販売については保険代理店となるので、保険代理店の立場から実務上の問題について更に具体的に述べる。

保険契約の申込みは、旅行会社で行わなくとも旅行出発直前の空港カウンターや出国手続き後の自動販売機での手続きが可能となっており、旅行者の保険契約申し込み機会を奪っていることにはならないのではないかとの意見もあるようだが、保険申込の多くは、損害保険募集人資格者から加入の必要性を喚起され加入しているのが一般的であり、出国間近の空港カウンターや自動販売機で手続きをする方は、加入の必要性を十分に認識しており繰り返し出国を繰り返しているような海外渡航のいわゆる常連旅行者(ビジネス渡航を含む)が多い。ちなみにJTBレポートによると空港での申し込みは全体の10%弱に留まっている。

仮に、ご家族の同意を取るために保険申込書を一旦自宅へ持ち帰り、そのまま旅行者が失念して保険契約手続きを怠ることとなると、ストレートに個人手配の旅行保険に加入しない、いわゆる無保険の状態の旅行者が増加することとなり、国土交通省通達の指導に大きく逆行しかねない。仮にこのような旅行者が無保険となると、現状約4割程度と言われている保険付保率は更に低下することになる。

また、お客様と旅行会社との間では旅行会社のカウンターにおいて旅行のお申込みを受け付け、合わせて保険の募集&手続きを行い、一般的にはその場で保険加入タイプを選択して旅行代金と保険料の合算金額を案内し、後日合算金額を旅行会社に振り込んでくるのが一般的な流れである。

ご家族の同意が必要となると、更にこの後(あるいは、相前後するタイミング)で、同意印あるいは同意のサインを取り付けた申込書を郵便で返送いただくか、あるいは店頭まで持参いただくことになるが、一般的にはお客様のレスポンスは極めて低いことが予想される。返送がないままに旅行に出発されることになると、万一の事故の際に保険の有責無責が大きな問題となりかねない。一方で、空港で集合した際に改めて同意サインを取り付けることとすると、申込書未提出者の管理、申込書の再作成、申込書の空港への持参、空港での同意サイン取付け、申込書の事務所への持ち帰り・・・といったプロセスが旅行会社にとっての追加作業となり、このフローを一切誤りなく年間1800万人の渡航者(付保率40%として、正味720万人の渡航者)すべてに対応することは、極めて困難な状況にあることをご理解いただきたい。

仮にミスが発生し、有責無責問題に発展したような場合には、損害保険代理店としての責任を保険会社より問われることにもなり、旅行会社にとっては損害保険代理店として事業継続そのものも危ぶまれ、ひいては旅行会社としての事業継続自体も危惧される状態に追い込まれるリスクも想定せざるを得ない。そうなれば、損害保険代理業自体の継続そのものがリスクとの見合いにおいて不当なものという判断もあり、旅行会社で損害保険代理業を廃業し、旅行保険を販売しないという会社が増加する可能性も否定できない。このような事態になれば、益々国策の「海外旅行者に対する安全対策の徹底」の推進に逆行しかねず、そこまでしても、極めてまれな保険金目的の親族間殺人防止のために、保険金額の制限と被保険者の同意取得を行う必要があるのか、甚だ疑問を感じざるを得ない。

妥協点としては、同意取得が必要な旅行者の数を減らし、旅行会社におけるミスの軽減を図る手段として、自賠責保険と同水準の3000万円までは同意不要とし、3000万円超の高額保険金額の場合には、同意を取り付ける取り扱いとすることが考えられる。

以上の背景・趣旨から、海外旅行保険における、被保険者同意を必要とする保険金額を3000万円超とすることを強く要請する次第であります。

以上

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