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2014年2月26日開催

JATA経営フォーラム2014開催報告「新しい価値創造への挑戦」

テーマ別分科会

分科会A


林田 建夫 氏

牛場 春夫 氏

陳内 裕樹 氏

神田 貴宏 氏

檀原 徹典 氏

手塚 秀一 氏

テーマ:今後50年の海外旅行における旅行業ビジネスを考える

モデレーター:
(株)エヌオーイー 代表取締役会長 林田 建夫 氏
パネリスト:
(株)航空経営研究所 取締役副所長 牛場 春夫 氏
グーグル(株) 広告営業本部統括部長 陳内 裕樹 氏
ワールドトラベルシステム(株) 専務取締役 営業本部統括 神田 貴宏 氏
(株)ミキ・ツーリスト 代表取締役社長 檀原 徹典 氏
クラブツーリズム(株) 営業本部海外旅行部長 手塚 秀一 氏

50年で激変した海外旅行市場

モデレーターの林田氏は、海外渡航自由化以降50年間の「海外旅行マーケットの変遷」を説明。自由化直後の「ハワイ9日間」商品の販売価格が36万4000円だったのに対し、2014年上期のほぼ同一内容の商品は18万円と、絶対額が半値以下に下落したと振り返りました。また海外旅行市場が右肩上がりで成長した20世紀に対し、21世紀は9.11テロのあった2001年に始まり毎年のように増減。林田氏は「浮沈を繰り返してはきたが、今後は2016年の2000万人を目指して確実に成長していくことを信じる」と期待の言葉でプレゼンテーションを結びました。

続くワールドトラベルシステム・神田氏のプレゼンテーション「航空券流通からの“現状と今後の展望”」では航空会社の直販化や機材小型化、Yクラス減少などで「販売できる航空座席は減る一方だ」と厳しい現状認識が示されました。しかし「場合によっては、中小規模の旅行会社に面白い状況や局面が訪れている」とも。前提条件は旅行会社がその力量、提案力を高めること。たとえば、ピーク時の人気観光地への航空券であっても1年前から予約、販売できるキャリア運賃があることを知っていれば、これまで以上に簡単に、なおかつ「旅行会社の規模にかかわらず座席を確保できる」。神田氏は「海外航空券を仕入れる、手配するという行為は、それ自体が大きな利益を得られる業務ではなくなったが、海外渡航者2000万人時代のキラーコンテンツであることに違いはなく、『知識は力なり』を実践することで大手と伍して戦える重要な旅行素材である」と締めくくりました。

「ホテル仕入れと地上手配の今後」と題するミキ・ツーリスト檀原氏のプレゼンテーションでは、ホテルやバス会社と地上手配会社の力関係の変化を報告。欧州域内の人の移動の活発化やLCC効果などにより、ホテル稼働率が全体的に上昇。加えてオンライン旅行会社の台頭やインターネットを使った間際在庫の直販などにより、ホテルは以前ほど地上手配会社の力を必要としなくなっている。檀原氏は「かつては『売ってあげる』だったが、いまでは『売らせてもらう』に変化。とくに大量予約、大量キャンセルを繰り返し、厄介な旅程保証まである日本はサプライヤー側の優先順位が低下している」とし、「こうした仕入現場を放置しておけば客はあっても売るものがなくなる」と警鐘を鳴らしました。

50年後の航空業界と旅行市場

「50年後の航空」をテーマにプレゼンテーションした航空経営研究所の牛場氏は、20年後の航空需要を国内線が8500万人〜1億1000万人、国際線が1億1000万人〜1億7500万人と予測。「50年後は国際線の場合、需要は現在の3〜4倍に膨らむ」と見積もりました。しかし首都圏の空港発着枠は2020年頃には不足が顕在化し、「発着枠問題の解消なしには、訪日3000万人の目標達成は難しい」と指摘しました。また国際線LCCのシェアは、20年後にはアジア路線の50%まで増大。2050年には全路線の供給力の50%はLCCになると試算し「LCCという概念すらなくなる。すでに法人需要や北大西洋線といった、フルサービスキャリア(FSC)の牙城に挑むLCCが出現し、LCCとFSCの区別は無意味になりつつある」と解説しました。

50年後も変わらぬ核心とは

グーグルの陳内氏は「観光インフラとしてのGoogleの役割」のプレゼンテーションで消費者のIT利用の実態に触れ、すでに地球上の3人に1人がネットにつながり、2025年にはネット人口が50億人に達するとの予測データを紹介。またモバイル化の急速な進展を裏付ける事実として、日本では昨年8月に「旅行関係の言葉の検索件数を見ると、スマートフォン経由がパソコン経由を追い抜いた」と報告。「世界の人々はスマートフォン経由で旅行を検索している。スマートフォンにつながる人々がこれだけ増えている現実を見るべきだ」と問題提議しました。

50年後には人々の関心が海外旅行から宇宙旅行へ向かうと予測したのはクラブツーリズムの手塚氏でした。またIT技術の進歩により言葉の壁や文化の壁が取り払われ、極超音速輸送機の実現などにより海外旅行が日常化し、辺境や極地旅行が普通の観光旅行になるといった予測が披露されました。一方で50年後も変わらないものとして手塚氏は「未知の場所を訪れるワクワク感」や「事前の期待を上回った際に感じる感動」を挙げ、こうしたワクワクや感動を提供するため、旅行会社には「新しい価値の創造」が求められるとしました。

これらのプレゼンテーションを受けて、林田氏はパネリストに個別に質問。それに答える形で牛場氏は空港容量の問題に関して「インフラ整備や管制能力の向上も重要だが、東京上空の飛行が開放されるか否かが最大のポイントになってくる」と指摘。現地仕入れ環境を放置すべきでないとした檀原氏は「パートナーをリスペクトする姿勢、価値ある販売先として認められるための価値の創造が欠かせない」と解決の道筋を示しました。

また激変するIT環境に適応するための方策について陳内氏は「まずはデジタルマーケティング部を作り、スマートフォン・モバイル担当の役員を置くことからだ」とアドバイスしました。

分科会B


梶田 隆弘 氏

藤岡 秀多 氏

高橋 敦司 氏

平野 利晃 氏

村瀬 茂高 氏

テーマ:環境変化に伴う、これからの国内旅行商品を提案する

モデレーター:
クラブツーリズム(株) 取締役 地域交流部長 梶田 隆弘 氏
パネリスト:
ジェットスター・ジャパン(株) 取締役常務執行役員 藤岡 秀多 氏
東日本旅客鉄道(株) 営業部次長 高橋 敦司 氏
(株)ジェイティービー 国内商品事業本部 副本部長 平野 利晃 氏
WILLER EXPRESS JAPAN(株) 代表取締役社長 村瀬 茂高 氏

旅行会社の取扱額は3割以上減

モデレーターの梶田氏は、旅行業者の国内旅行取扱額が、1996年から2013年までの15年間に約10兆円から約6兆円に3割以上も激減したデータを冒頭で紹介。旅行会社が文字通りの旅行代理店だった時代には売り上げの4割を占めた宿泊や船車券等の代売が、サプライヤーによるインターネット直販に置き変わったことが取扱額減少の主因だとしたうえで、最初に国内旅行の現状認識と課題認識を共有したいと切り出しました。

ジェイティービーの平野氏は、環境が変化する中でも「客が求めるものに寄り添うという本質は変わらない」として、顧客の旅の動機を汲み上げて提案することと、それを実現する仕組み作りの2つを重視していると説明。「そのために販売面では専門特化し、仕入れ面では逆に総合力を高めるための一元化を図っている」と現状を語りました。

高橋氏はJR東日本がランドオペレーター機能の強化を進めるのは、定住人口の減少を交流人口の増加で補い地域活性化を図るという国家全体の成長戦略にも沿ったものであるとし、「人口減少地域へどれだけ人を送れるかが価値であり、それができなければ成長戦略として意味がなくなる」と“創客”への強い意志を表明。「人が行かない、光の当たらない場所にも行かせることが重要だ」と続けました。

新規需要を創出する高速バスやLCC

高速ツアーバスが新業態として登場したことで、5年間に3000万人の新たな移動需要を創造したとするWILLER EXPRESSの村瀬氏は、需要創造の発想方法に言及。「需要のある場所に路線を引くのではなく、この路線なら誰が乗客になり得て、どういうシートやサービスを求め、いくらなら乗ってくれるのかを追求することで新規需要を創造してきた」と説明しました。また、主として2地点間の移動需要を創ってきたこれまでとは違い、高速路線バスへの移行を経た現在は「高速路線バス利用のパッケージ商品化などにも取り組んでいきたい」と観光需要へのアプローチ強化の方針を明らかにしました。

ジェットスター・ジャパンの藤岡氏はLCCの新規需要創出について触れ、いまでは同社が成田発着国内線の最多運航航空会社となったにもかかわらず、「成田の既存航空会社の搭乗客数は落ちず、羽田発着も減っていないことから、新規需要を創出できていると考えている」としました。また「地元や観光関連事業者とタイアップし共に成長していく」というジェットスターの哲学を披露。旅行会社との連携に前向きな姿勢をアピールしました。

新規需要拡大でも旅行会社取扱額減

高速路線バスやLCCが新規需要創出しているにもかかわらず旅行会社の取扱額が大きく減少しているのはなぜか。梶田氏は旅行会社の見解を尋ねました。これに対し平野氏は国内パッケージツアー商品を造成する際にはパンフレットコストなどを念頭に営業効率を考慮しなければならず、「一定の量販が見えてこないと商品化に踏み切れない。また個人型商品はシステム統合型の商品作りであり、サプライヤーと新たにシステム結合するにはコストがかかる。さらにアロットなど仕入れ面でサプライヤー側と折り合いのつかない部分もあった」と明かしました。しかし「これまでは我々の条件に合わせてもらっていた面があったが、これからは違う形式で折り合いをつけていく必要がある」との認識も示しました。高速バスに関しては「2地点間の移動手段との認識で、観光パッケージと結びつける感覚が薄かった」ことや、貸し切りバスなどを通じて取引関係のあった既存バス会社の利用を優先していた面があったことも挙げました。

旅行会社に求められる仕入の発想転換

LCCや高速バスなど新たな可能性と力を持ったサプライヤーと、旅行会社の今後のアライアンスの在り方はどうあるべきか。藤岡氏は、日本で成功するためには旅行会社の商品企画力が欠かせず「旅行会社の商品だから購入するという客層もある」とし、LCCとして積極的に旅行会社と連携する考えを表明。ただし旅行会社への特別料金の提供は考えておらず「料金はどこで買っても同じという点は変えられない」と釘を刺しました。

こうした点を踏まえて梶田氏は「旅行会社は今後、仕入れを根本的に見直していく必要がある」と旅行会社側の変革への努力を促しました。

ランドオペレーターの機能を重視する高橋氏は、海外旅行を発展させてきた原動力の一つはランドオペレーターの提案能力にあったとの見方を示し、国内旅行にその機能がないことを問題視。JR東日本としてその役を担う覚悟を示す一方、「びゅう」ブランドで一部対応している販売面に関しては、「われわれがランドオペレーターとしてまとめた地域の観光素材を多くの旅行会社に購入してもらい、協力して着地型旅行を発展させていきたい」と述べました。

それぞれの立場から、これからの国内旅行商品の「あるべき姿」をあぶりだし利用者が望む旅行会社とサプライヤーの関係及びこれからの旅行会社として造成する国内旅行商品のあり方の方向性をまとめて提言としました。

分科会C


佐藤 博康 氏

飯嶋 康弘 氏

木地本 健太郎 氏

喜田 康之 氏

吉村 久夫 氏

テーマ:JATA会員会社の訪日旅行取扱いを増やすためにどうすべきか!

モデレーター:
松本大学 教授 佐藤 博康 氏
パネリスト:
観光庁 参事官(日本ブランド発信・外客誘致担当) 飯嶋 康弘 氏
トラベルイノベーションジャパン(株) 代表取締役 木地本 健太郎 氏
(株)日本旅行 執行役員 国際旅行事業本部長 喜田 康之 氏
(株)JTBグローバルマーケティング&トラベル
 取締役グローバルマーケティング部長 吉村 久夫 氏

JATA会員会社の取扱いは9%程度

昨年、史上初めて市場規模が1000万人を超え、「2000万人の高みを目指す」(観光庁・飯嶋氏)動きが始まったインバウンド業界。しかし日本の旅行会社によるインバウンド取扱い額は「2012年の市場規模1兆861億円のうち、データのある29社の取扱いシェアが663億円で全体の6%。インバウンドを取扱うJATA加盟社41社全体でも9%程度に過ぎないとみられる」(JTB・吉村氏)。分科会Cでは、こうした現状を踏まえて、インバウンド・ビジネスをJATA加盟会社の事業としていかに取り込んでいくべきかがディスカッションされました。

乗り越えるべき課題は少なくありません。吉村氏は、市場が多様であり市場との距離が離れていること、それに起因する情報不足、インバウンド・ビジネスを理解している人材の不足などのほかに、「民族系のインバウンド・オペレーターや、日本を含むアジアを幅広くカバーするデスティネーション・マネージメント・カンパニー、さらには宿泊単品に関してはオンライン旅行会社といった、数多くの競合相手と戦わなければならない厳しさ」を挙げました。

ただし右肩上がりで伸びていくと見られるインバウンド市場には可能性が満ちているとの見方では意見が一致。また日本旅行の喜田氏は、需要増加に伴い旅行者ニーズが集中するゴールデンルートを中心に、仕入れ環境の厳しさが増しつつある点を捉え、「ピンチはチャンスでもある」と期待。仕入れ単価の上昇傾向が、市場を価格志向から品質志向へと動かす圧力になる可能性があるとの見方を示しました。同時に市場が品質を志向するようになれば、JATAが昨年スタートした、インバウンドに係わる旅行会社対象の「ツアーオペレーター品質保証制度」の存在意義がますます高まるだろうと述べました。

強みを生かし連携を図ることの重要性

インバウンド・ビジネスに関する諸々の課題を乗り越える方法の一つとして吉村氏は、分業と連携の重要性を指摘。「すべてを自社で行う必要はない。各社が棲み分けをし、造成、販売、オペレーションなどに分けて自社が強い部分に特化し、それ以外は他社に委託する。そういった連携が必要だ」としました。喜田氏も「中小が専門性を活かして企画したSIT商品を大手の販路で販売する、あるいは中小同士が商品を持ち寄って販路を開拓してもいい。大切なことは自社の強みがどこにあるかを見極めることだ」と連携の重要性に賛同しました。また飯嶋氏も訪日外国人が日本に求めるもの、行きたい場所は実に多様であり「全方位での対応は難しく、ターゲットを絞ることが基本だろう」としました。

ターゲットを絞ることで実際に成功を手にしたトラベルイノベーションジャパンの木地本氏は、タイに特化した事業内容を紹介。訪日旅行の取扱いの97%が訪日タイ人旅行者で、タイ人スタッフを雇用して現地旅行会社との意思疎通の円滑化にも取り組んだ。その結果、創業わずか1年ながら訪日タイ市場で確固たる地位を築き「収益率は、民族系オペレーターが2〜3%であるのに対し、当社は多い時で25%、少ない時でも10%」と説明しました。またインバウンド・ツアーオペレーターを創業するに当たって、必ずしも必須ではない旅行業登録を取得し、JATA会員になり、「ツアーオペレーター品質保証制度」にも参加した理由としては、対外的な信用性の担保を挙げました。

需要の地方分散は不可避の課題

「インバウンド2000万人となると1000万人までとは取り組みのステージが変わり、受け入れ環境に目を向ける必要がある。航空座席やガイド、宿泊施設を含めて十分な体制を整えなければならない」という飯嶋氏は、需要の分散化の必要性にも触れました。2000万人を達成するには、リピーター育成や個人旅行者の取り込みが不可欠で、ゴールデンルートを主体とする既存の商品提案だけでは対応できない。受け入れキャパシティ的にも地方分散を図らない限り、宿泊施設不足は決定的だからです。

しかし地方分散化は簡単ではないと喜田氏が指摘。現実としてゴールデンルートを求める外国人旅行者が多い以上、ニーズに反して地方分散化を性急に進めるのは難しいことから、「関係者全員が先行投資という共通認識のもと、長期レンジで分散化に取り組んでいくべきだ」と提案しました。また飯嶋氏は旅行目的地の地方分散化を含めたインバウンドの多様化を促す必要性を説き、「市場の多様化に対応するのではなく、多様化に向かう動き自体を、JATAや旅行業界が中心になって創り出してほしい」と要望しました。

分科会D


伊豆 芳人 氏

菊地 修一 氏

白坂 亜紀 氏

種家 純 氏

七海 聡子 氏

テーマ:『女子力』で新たな価値創造を!

モデレーター:
ANAセールス(株) 常務取締役 伊豆 芳人 氏
パネリスト:
スターツ出版(株) 代表取締役社長 菊地 修一 氏
(株)白坂企画(「銀座なでしこ会」代表) 白坂 亜紀 氏
楽天ANAトラベルオンライン(株) 代表取締役社長 種家 純 氏
(株)日本旅行 営業企画部本部海外旅行事業部マーケティングチーム
 マネージャー 七海 聡子 氏

重み増す女子力と女性市場

女子力がなぜ必要なのか。モデレーターの伊豆氏は「旅行業界に求められる新たな価値創造には、新たな視点、感性、リーダーシップが必要で、それらを担う人材を確保しなければ価値創造を実現できない。そして男女の別なく多様な人材がその主役にならねばならない」とし、これまで十分に活用されてこなかった女子力の必要性を説明し、分科会Dのディスカッションの前提としました。

その女子力により、旅行商品のヒット作を産み出したのが日本旅行の七海氏。女性向けの旅行商品「週末トラベラー!」のプロジェクトでリーダー役を務めた七海氏によれば、なかなかヒット作が出ないこの分野で成功した理由のひとつは「ターゲット層と同年代の女性でチームを組み、等身大の感覚を商品づくりに生かせたこと」だったと振り返りました。また商品づくりのための事前の市場分析の中から、男性市場の縮小傾向に対し、女性市場は拡大している事実を把握。「とくに35歳〜44歳の女性層は旅行者の実数、シェアとも拡大している」ことから、旅行業界にとっての女性の重要性も再認識したとのことでした。

マーケットとしても重要な女性市場

マーケットとしての女性市場の重要性を指摘したのはスターツ出版の菊地氏も同様。同社は200万人以上の首都圏OLが登録する情報サイト「オズモール」を運営しており、「サラリーマンの小遣いが4万円を切るのに対し、オズモール会員のOLの小遣いは平均8万円で消費力が高い。彼女たちが仕事を辞めてしまえば大きな購買層を失うことになる」と、その市場としての重要性を取り上げました。

一方、働き手としての女性の可能性を証言したのは、銀座のクラブを経営し、“女性経営者と志の高い女性”の集まりである「銀座なでしこ会」の代表も務める白坂氏。徹底した実力主義の水商売での経験を通じて女性の力を熟知する白坂氏は「女性の気づきの力や優しさ、思いやりは、これこそ世界に胸を張れる“おもてなし”にも通じる力だ」と女子力を評しました。

能力発揮のために必要なこととは

女性がその持てる能力を発揮するため、女性自身はどんなことを心がけるべきか、楽天ANAトラベルオンラインの種家氏は自らの体験を踏まえたアドバイスを行いました。最初は転勤のない特定地上職として全日空に入社し、その後、社内試験を受けて総合職に転じ、国際線のレベニューマネジメントという航空会社の中核部門で活躍。楽天トラベルとのジョイントベンチャーの社長にまでステップアップした種家氏は、「チャレンジと専門性」をキーワードに挙げました。迷った場合はチャレンジする積極的な姿勢が大事であり、また「専門性分野を持つことは強みであり、特に女性にとっては自信を持てることにもつながる」というのがその理由です。

人事にも求められるチャレンジ

今後、女子力を生かす方向に進んでいくために企業には何が必要か。白坂氏は「元気よく仕事をしている女性が多い会社があったので、その様子を尋ねたら、プロジェクトを丸ごと任されるのだという。そうなると持てる知恵や人脈を総動員して仕事に当たる。任されることで最大限の力が発揮され、活躍する。少々乱暴でも女性に仕事を丸投げするのも一つの方法ではないか」と提案しました。種家氏も同じように「チャレンジは女性自身にとって大切なだけでなく、企業にも必要なこと。女性の人事に際して、上司がチャレンジすることにより女性の活躍の場が広がる」と積極的な女性登用の必要性を説きました。

菊地氏は、女性の活躍の必要性が声高に語られるようになったのはまだ数年のことであり、「すぐに経営者や幹部になれる人材が女性の中で数多く育っているわけではない」という現状認識に立ったうえで、「いまは若い女性のチームリーダーをたくさん作り、人を束ねるリーダーシップの力などをつけてもらう。そうすることで将来的に本当のリーダーになれる人材が育ってくるはず」と具体的な道筋を示しました。

最後のまとめで伊豆氏は「企業は、志ある女性を育て登用するという意識改革が必要であり、女性が働き続けられる環境や制度を整えることが企業にとって最も重要な経営方針であることを理解すること。そして、それが市場で最も重要な女性層の活性化を促すことにもつながるという点を認識すべきだ。まさに、女子力は多面的に捉える事が重要である」と述べ、パネルディスカッションを締めくくりました。

分科会E


柏野 尊徳 氏

会場の様子

テーマ:若手社員対象!ビジネスのヒントは”お客様”に有り!
〜「体験参加型」セミナー、デザイン思考でまだ見ぬ世界を作り出す〜

ファシリテーター:
一般社団法人デザイン思考研究所 代表理事所長 柏野 尊徳 氏

分科会Eでは、JATA経営フォーラムとしてはたいへん珍しい業界の若手社員を対象とした「体験参加型」のセミナーが実施されました。JATAでは政策検討特別委員会(委員長:田川博己JATA副会長)が若手業界人の育成を長期的な取り組み課題の一つとして位置づけており、昨年は会員各社から選抜された30歳代の若手業界人31名による「若者トラベル研究会」が発足、旅行事業の新たなビジネスの方向性を見出すことを目標に活動を続け、9月に開かれたJATA旅博会場でその成果を発表しています。

若者トラベル研究会では、「お客様への価値提供」を最優先に考える「デザイン思考」をもとに活動を展開してきていますが、今回の分科会はその問題解決にいたる思考方法や実践方法のエッセンスを体験版的に知ってもらうことを目的に開催されたものです。

分科会には関連業界を含め様々な職種・業態の旅行会社より若手から中堅・ベテラン業界人など様々な年齢の39名が参加、デザイン思考を提唱し、旅行業界はその有効性が極めて高い分野だと指摘する一般社団法人デザイン思考研究所代表理事所長の柏野尊徳氏が講師を務めました。

当日のテーマは、経営フォーラムの会場となった「ロイヤルパークホテルの問題や改善点を見つけて解決すること」。4〜6人の7つのチームに分かれたメンバーらが、英語圏の国からやってきた外国人ビジネスマンとなって、実際にホテル内を視察、「ここをもう少しこうしたらいいのになあ」といったお客様のニーズや改善点を抽出して、ワークシートを使っての共同作業やディスカッションといった手法やコミュニケーションを通じて、お客様のニーズや課題の本質をメンバー間で共有、最後はチームごとにまとめ上げ改善策を提案しました。

一つの分科会としての限られた時間でしたが、参加者の間からは、「単純に楽しかった。一人で考えるのではなく、皆で考えれば様々な発想や視点が出てきて楽しいし、とても有意義な時間だった」、「あっという間だった」、「最初は緊張したが、先生の進行もうまくて軽い感じで和気あいあいと取り組めた」、「お客様に喜んでもらうということはすなわち認めてもらうということ。お客様のニーズをしっかりと聞くことの重要性を学んだ」といった声が多く聞かれました。

JATAでは2014年度も昨年度に引き続き「若者トラベル研究会」活動への参加者を募集しています。参加ご希望・お問い合わせは下記へ。
JATA総務部 担当:長田、木村、杉原(電話:03-3592-1271 kikaku@jata-net.or.jpメール

柏野:わずか10分間のホテル視察から得られた発見を元に、各チームが異なる視点から問題を設定して解決策を創造しました。一連の価値創造プロセスを体験することを目的としてセミナー開催でしたが、最終的なアウトプットとして、実際にホテルに提案可能な外国人向けサービスもいくつか出てきました。私たちの誰もが普段は1人のユーザーとして生活をしています。しかし、仕事をしているとつい「組織の視点」や「組織の都合」でサービスを捉えがちです。今回のセミナーで体感された「顧客の視点」に立つことの重要性を、ぜひ日々の業務でも意識し、新しい価値創造につなげて頂ければ幸いです。

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