3月号インデックス > 巻頭インタビュー > REPORT > NOW > REPORT2 > NOW2 > CAFE de JATA > 旅行医学 > バックナンバー

P10-11【CAFE de JATA】
阪神タイガースが18年ぶりに優勝した2003年、マスコミでも大きく取り上げられた球団主催の豪州優勝報奨旅行と優勝ファンツアー。リーグ優勝した2005年も、ハワイのオアフ島、マウイ島を巡るツアーが実施されました。そんな阪神タイガースの旅を一手に引き受ける阪神航空の3人がご来店。選手や球団が主役の旅ならではの工夫点や苦労話をお聞きしました。

阪神タイガースのファンツアーだけでなく、選手や球団の旅行も企画・手配

大塚/阪神航空は阪神電気鉄道の一事業部ではありますが、今でいう第1種旅行業登録をしてから58年になる老舗旅行会社です。阪神タイガースも阪神グループの1つですので、タイガース関連のツアーは阪神航空や阪神バスなど、グループ企業がほぼ独占で扱っています。でも、毎年阪神が優勝すると決まっているわけではないので、こうしたツアーは年初の予算目標には入っていません。



松岡/一口に阪神タイガースのツアーといっても、ファン主体の優勝ファンツアー、キャンプファンツアーなどと、選手や球団関係者が主体の優勝報奨旅行の大きく分けて2種類があります。優勝ファンツアーはうちのフレンドツアーセンターが担当していますが、それ以外は私たち団体旅行営業所が担当しています。

島崎/今年のキャンプファンツアーは2月8日〜9日に実施しました。選手と同じホテルに泊まれる特典が人気を呼び、定員30人がすぐに埋まってしまい、キャンセル待ちが多数出ました。

販売総額1億円以上の大型団体でも、手配はペナント後の2カ月間だけ!

松岡/数あるタイガースのツアーの中で、一番大変なのが選手たちの優勝報奨旅行です。2005年のときは、関空発で日本航空のチャーター機を利用し、12月10日〜16日までの7日間、オアフ・マウイ島を巡るツアーを実施しました。選手と選手の家族、それに球団関係者で約170人、ゲストと呼ばれる選手の知人が約20人、通称トラ番と呼ばれるマスコミ関係者が約50人と、総勢約240人が参加しました。

島崎/12月14日には現地でファンミーティングを実施し、監督と選手が参加しました。そのイベントを目的としたツアーが優勝ファンツアーです。こちらは定期便を利用したツアーで、12月12日、13日から5・6日間オアフ島だけに滞在する日程。東京、名古屋、大阪で販売したところ総勢250人のタイガースファンを集客しました。

大塚/優勝報奨旅行だけで販売総額は1億円以上に達しました。年間予算外のものですから非常にありがたかったです。優勝報奨旅行という言葉から、つい有名選手の成績に対する報奨を連想しがちですが、実は選手よりも打撃投手、ブルペン捕手、スカウト、スコアラーなどの裏方業務の方た
ちへの功労という意味合いが強く、彼らが骨休めできる滞在環境づくりに重点を置いています。



松岡/行き先は毎回選手へのアンケートで決まります。昨年の場合、9月29日にタイガースのリーグ優勝が決定したのですが、優勝が意識されだした8月20日頃に球団がアンケートを行い、9月中旬にはハワイに決定いたしました。

島崎/報奨旅行は選手全員が行けるわけではなく、1軍登録が一定期間以上で5試合以上出場し、投手なら1勝以上しているなど、規定をクリアした選手に限られています。

大塚/行き先が決まってからも、ペナントレースが終わるまでは選手に参加人数や希望の部屋数など詳細が聞けないため、チャーター機をどこの航空会社にするかといった外郭部分のみ球団と詰めます。本格的に手配を始めるのは、日本シリーズ終了後の10月末。優勝旅行の実施がマスコミに公表されると同時に選手たちにも告知されるため、そこから本格始動なんです。

セキュリティ対策は最重要項目
マスコミの取材アレンジも一括して引き受け、猫の手も借りたい状態に

島崎/手配での最初の難関は、オアフ島からマウイ島へ向かう国内線の座席の確保でした。臨時便を含め、往路は3便、復路は4便のほとんどの席をブロックしました。当日は、国際線がホノルル到着予定時刻の40分前に到着したため、スムーズにイミグレーションを通過できました。また、混乱を防ぐため、空港では一般客と一緒にならないような配慮も常に心がけました。

大塚/ホテルの手配にも苦労しました。初日の夜にマウイ島で行った祝賀会は約200人が着席できるバンケットルームが必要だったのに選択肢が少なくて…。でもさらに大変だったのが、11日に行われたホノルルマラソンなどで需要が高まっていたオアフ島のホテル。最初はヒルトン・ハワイ
アン・ビレッジのアリイタワーを確保していたのですが、ファンツアーのホテルが取れていないと知らされて思案していたところ、キャンセルが入ってハレクラニの客室に空きが…。急遽ハレクラニを球団用にし、ヒルトンをファンツアー用に押さえました。

松岡/選手の旅行には熱心なファンが押し寄せるなど危険も伴うため、ホテルのセキュリティは最重要項目なんです。出発、帰国時の関西国際空港では情報を伏せていてもファンがやってくるので警備会社から30人ほど警備員を雇って対応しました。ハレクラニはその点が非常にしっかりしており報奨旅行に適していました。

島崎/私はマスコミ担当として、取材アレンジ全般を行いました。コストを抑えるためにホテルを個別に取ったり、初日だけ取材してすぐに帰国したりとメディアによってスケジュールがまちまちで大変でした。後から見るとメールがチャット状態だったときもありました。アメリカはカメラなどの機材の持ち込みが厳しく、重さ、形、大きさなどを事前に申告しなければなりません。また、取材用ビザも大阪の領事館に本人が出向かないともらえないので、メディア全員分の面接日を確保したのですが、その日がドラフト会議になりキャンセル。なかなか連絡が取れないマスコミ関係者1人ひとりのスケジュールを確認して調整するのが大変でしたね。

松岡/私は選手担当ということで、航空機、ホテルの部屋割りや食事などの実務を一括して担当したのですが、選手と直接話すことができなかったんです。個々の要望は球団の管理部が一括して紙で送ってくれるのですが、それがなかなか集まらない。中には「家族も参加」とあるだけで名前がなかなか判明しないケースもありました。それでも2003年度の時に比べれば早かったのですが…。また、タイガースの選手や球団関係者は全般的に子だくさんで小さいお子様が多く、ベビーベッドやコネクティングルームの手配、機内にオムツや粉ミルクの用意もといった希望を確認する必要がありました。

座席表、部屋割りは対人関係も考慮した特別仕様で手配書は膨大な数に

松岡/機内や祝賀会の席順、部屋割りも一般のパッケージツアー以上に気を遣います。ハワイ内の国内線は、第1便に監督やフロントとカフルイ空港でのハワイ観光局主催の歓迎セレモニー撮影のためマスコミが搭乗、第2便で主力選手とその家族…といった順で座席も部屋も決めていきま
すが、そこに対人関係も絡むので複雑で難しい。さらに、決めた席順や部屋割りは事前に球団管理部へ提出しなければいけません。キャンセルが出れば、その時点で組みなおすので手間もひとしお。でも、旅は雰囲気も重要ですから、責任重大です。

大塚/
選手が優勝旅行で求めるものは、1.緑のグリーンでのゴルフ、2.子供と遊べるプールがホテルにあること、3.できればカジノがあること、に集約されます。そのためデスティネーションがハワイ、オーストラリア、ラスベガスなどに偏りがち。そんな中で選手が安全で、楽しめる旅をどう演出していくか、まさに旅行の“付加価値”を問われていると思います。でも、2003年の優勝以降、秋までタイガースの野球が楽しめるようになりました。その感謝も込め、いちタイガースファンとして、旅行のプロとして選手や球団が喜ぶツアーを作り、そこで活力を得た選手たちがタイガースを盛り上げ、ファンが一層増える…企画したツアーがそんなプラスのスパイラルになるよう今後も力を尽くしていきたいです。
 
3月号インデックス > 巻頭インタビュー > REPORT > NOW > REPORT2 > NOW2 > CAFE de JATA > 旅行医学 > バックナンバー

Copyright (c) 2006 Japan Association of Travel Agents. All right reserved.