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P6-9【特集座談会:現役大学生の海外旅行事情】




  山田 まず、皆さんの海外旅行の経験をお聞かせください。

工藤 中学生のとき、家族旅行でグアム、韓国などへ。高校では海外研修で、英語を勉強しにイギリスに2週間滞在しました。大学に入ってからは、べトナム、スウェーデン、フィンランドを旅行したほか、オランダへ1カ月間、語学研修へ。その間にパリやベルギーなども訪れました。

橋本 高校の修学旅行でカナダに行ったのが初めての海外でした。そのときにできた友達の家にホームステイするために後年、再びカナダを訪れました。ほかにも、家族旅行でシアトルに行きました。

佐久間 大学1年のときに、アメリカに留学している姉を訪ねて、フロリダに2週間ほど滞在しました。その後、ゼミ旅行でタイに行き、今年の夏も台湾を訪れる予定です。

三井 小学生のとき、サイパンやハワイに家族旅行で行きましたが、内容はあまりよく覚えていません。その後は大学の海外研修でオーストラリアに行き、今年の春には兄と一緒に、3週間ほどイタリア一周旅行をしました。憧れのベネチアに行けてとても満足しました。

山田 皆さん、けっこう海外旅行をしているんですね。それでは、旅行に行くためのお金をどのように工面していますか? また、旅行以外のお金の使い方も教えてください。

橋本 旅行に備えてアルバイト代を貯金しています。あとは、趣味の音楽や、自転車、カラオケなどにお金を使っています。実家に住んでいるので、アルバイト代はほとんど自分のことに使っています。

工藤 アルバイト代はほとんど貯金して、旅行のために使います。やはり、旅行が好きなんですね。「学生のうちしか行けない」「若いうちに海外に行っていろいろと吸収したい」という意識がありますから。旅行のために、休日もアルバイトをして、せっせとお金を貯めています。あとの使い道は、映画を見に行ったり、友達との飲み会くらいでしょうか。

佐久間 1人暮らしなので、アルバイト代の多くを生活費に充てています。おこづかいは、カフェ巡りやスイーツの食べ歩きに使っています。いつかエジプトのピラミッドを見たいと思っているので、お金が貯まったら行ってみたいです。

三井 私は、実家を離れて兄弟と一緒に暮らしているので、やはり食費や生活費に多くを充てています。ほかには、イタリア旅行に行ってから趣味になった美術館巡りに使います。

山田 若い世代の人たちは、ファッションに多くのお金を使うと聞きますが、そんな余裕はないような印象を受けますね。
佐久間 そうですね。もっと買いたいとは思いますが、仕送りを生活費などの必要な費用に充てて、アルバイト代はゼミ旅行の積立金として貯金するので、とても服を買う余裕などありません。

三井 実家暮らしでないと生活費の負担はかなり重いですね。だから、自分の服を買うことはほとんどありません。私の場合は、親が訪ねて来たときに、まとめて服を買ってもらったりしています。

工藤 私は実家暮らしですが、アルバイト代をほとんど旅行につぎ込んでいますから、あまり服は買いません。1人暮らしだったら、今のように気軽に海外旅行に行くことはできないと思います。


  山田 現在、学生を含めて若い世代が海外旅行に行かないと言われていますが、工藤さんと橋本さんは、海外旅行をするためにお金を貯めて、積極的に行こうとしています。また、佐久間さん、三井さんについては、行きたいけれど行けないのが現状のようですね。そこで、ずばり海外旅行に行く理由をお聞かせいただけますか。

工藤 私は世界史が好きで、外国の社会や文化に興味を持っていました。スウェーデンに行ったのは、北欧のインテリアが好きということと、テレビで伝えられる「福祉大国」の実情を見てみたいという思いがあったからです。ベトナムに行ったのも、社会主義の国を見てみたいという理由からでした。中学の地理の授業で、大勢の人が自転車に乗っているベトナムの街の写真を見たのですが、そのイメージを持って実際にホーチミンに行ったら、ほとんどの人がバイクに乗っていて驚きました。


このように、実際に見ることで得られる驚きは海外旅行の魅力の一つだと思います。また、ヨーロッパでは、時間の流れが日本と違ってゆっくりだなぁと感じました。現地の人たちが平日の昼間からカフェでビールを飲んでいるなんて、日本ではあり得ないことです。そういった、日本と海外の違いを感じられるのも海外旅行のよいところですね。

山田 海外旅行と国内旅行の違いはどういうところだと思いますか。

橋本 僕にとって国内旅行は「行きたいときにいつでも行ける」もの、海外旅行は「準備をしないと行けない」ものです。海外旅行では、言葉の違いもあるので、トラブルに備えて現地の情報をなるべく集めるようにしています。以前行った国でふと路地に入ったら、そこがストリートチルドレンの溜まり場で、大変な目に遭ったことがありました。比較的安全と言われている国でストリートチルドレンがいること自体が意外だったのですが、知っていれば避けられる事態だったかもしれません。ですので、海外旅行では安全に関する情報を集めて、心の準備をしてから行くようにしています。調べるときは、インターネットは案外よい面の情報しか載っていないので、図書館に行って最新の雑誌や書籍を見るようにしています。

三井 そういう海外旅行でのトラブルの話を聞くと、行きづらくなってしまいますね。習慣や感覚がよく分からない土地で、言葉も通じませんから、それだけで大きな不安を感じてしまいます。また、海外で起こった事件や災害のニュースをテレビで見ると、やはり「海外=怖い」というイメージが残ってしまいます。私は世界遺産を見て回りたいと思っているのですが、実際に行くとしたら
一大決心して行かなければなりません。

佐久間 確かに、海外旅行は覚悟が必要になります。私はゼミ旅行で、10数人の団体で行き、現地での行動も数人のグループだったので、不安はありませんでした。ツアーのように団体で行動すれば安全ですし、ガイドさんがついていれば何かと安心です。でも、異文化を体験するという意味では大通りを外れて一歩路地に入ってみた方が、より深くその国のことを知ることができるだろうと思います。団体で動いていると、1人だけそういう行動をとるのは難しくなります。



  山田 先ほどから、海外旅行に伴う危険について話題にのぼっていますが、多くの人が心配する部分だと思います。また、パスポートやビザを取得したり、保険に加入したりと、海外旅行のためには事前準備や手続きがつきもの。こうしたハードルを越えきれずに、海外旅行へ行かない人も多いのでしょう。皆さんのお友達にもそういう方はいらっしゃいますか。

工藤 私の友達は、今は国内旅行でいいと言っています。中東を旅行した友達の話を聞いて、彼女は「行く意味が分からない」と。なぜ、わざわざ危険そうな場所に行くのかと思うようです。

橋本 
日本に来た外国人に、日本について説明できなかった経験を持つ友達は、そんな自分が海外旅行をしても日本のことを紹介できないから、今は国内を旅行したいと言っていました。でも、単純に海外旅行はお金がかかるというのが一番の理由だと思います。また、アルバイトが忙しくて旅行する時間などないという友達も多いですね。

佐久間 アルバイト先で、学生はたくさん働いてくれると思われていますから(笑)。学生側には旅行のために、アルバイトを長期間休むのは申し訳ないという気持ちもあると思います。私は、長期の海外旅行に行くときはアルバイトを辞めて行くようにしています。

工藤 私は大学の長期の休みは、アルバイトを休ませてもらって海外旅行に行きます。長期の休みの前までにお金を貯めて、旅行で使い切ってから、またアルバイトをするというサイクルですね。

橋本 同じく長期の休みは、アルバイトを入れずに旅行に行くようにしています。逆に、学期中はレポート作成や試験勉強に追われて、長期の休みにアルバイトを集中的にしている友達もたくさんいます。
佐久間 アルバイト代を貯めてブランド品を買う友達もいます。10万円のバッグを買った友達に、「そのお金で海外旅行できるよ」と言ったら、「だって旅行に行ったら何も残らない」という答えが返ってきました。物に残したいタイプの人は旅行に行きたがらないのかなと思います。

山田 友達同士で、夏休みにどこかへ行こうという話は出ないのでしょうか。

橋本 話に出るのは、ほとんど国内旅行ですね。実際に行くとなると、都内から近い熱海や箱根などが定番です。海外旅行だと10万円〜20万円くらいかかってしまいますから。それだけの金額が一気に減るのが嫌だという人も少なくありません。

佐久間 うちの大学はアジアからの留学生が多く、中国人、韓国人の友人がたくさんいます。「外国」が身近ですし、帰国子女や留学経験者も多く、「お金がもったいない」と思う人にとって、友達同士の予定やアルバイトを一生懸命調整してまで旅行するほどじゃないのかもしれません。

山田 そういえば、橋本さん以外は卒業まであと1年ちょっともないですが、卒業旅行の話は出ていますか。

三井 卒業旅行は海外に行きたいね、という話はしています。イタリアに行ったとき、卒業旅行で来ている人たちによく会いました。その旅行が海外は初めて、という人もいて、「もっと早く海外旅行しておけばよかった」と言っていた人もいます。やはり、卒業旅行は最後の記念だから奮発して海外を選ぶ人が多いようですね。何かきっかけが必要なんだと思います。



  山田 普段あまりなじみはないと思いますが、旅行会社に対する皆さんの要望をお聞かせいただけますか。

佐久間 窓口の閉まる時間が早いと思います。学生も社会人も、平日は夜しか窓口に行くことはできないのですから、もう少し遅い時間まで営業しているといいですね。あと、忙しそうな窓口の人に、予算、期日などがはっきりしていない旅行の相談をしたら悪いんじゃないかと気を使ってしまいます。「こんな感じの旅行を考えているんですが…」というあいまいな希望でも、気軽に「この方面の、こういうツアーはいかがですか?」と提案や相談のキャッチボールをしながら、納得できるプランを提案してくれたらうれしいですね。

橋本 
大阪への旅行を相談するため旅行会社に行ったとき、予算よりも高い商品をすすめられました。学生であることや、安い予算を伝えていたにもかかわらずです。「やっぱり高い商品を売りたいのかな」とがっかりしました。こうした不信感を持ってしまうと、次にまた旅行会社に行こうとは思わなくなります。

工藤 旅行会社の店頭にあるパンフレットを取ってきて見るのは好きなんです。でも、旅行会社が提供する情報は多いとは感じますが、どの情報も似通っていて、自分の行きたい場所の情報やツアーはなかなかありません。

三井 私も旅行パンフレットを見るのは好きなのですが、ツアーの日程を見て、自分の行きたい場所が入っていないと、すぐにパンフレットを閉じてしまいます。同じ行き先で数社の旅行会社のパンフレットを見てもなかなか希望通りのものがないので、旅行会社のツアーを申し込んだことはありません。

橋本 自分でツアーを組み立てることはできないのでしょうか? 「AとBの観光地は絶対に行きたいけれど、Cは別に行かなくていい」「ホテルは安くてもいいから、ほかにお金をかけたい」など、人によって希望する形は違うでしょう。この夏、ロンドン旅行を計画していたのですが、友人が間違ってモンゴル旅行を申し込んでしまったのでモンゴルに行ってきます。旅行好きにとって、行き先は二の次ということもあります。まず予算を決めると、その予算内で行ける方面が出てきて、さらに設定額内で泊まれるホテルが出てくる、つまり日程や訪問先を自分で決められるシステム。もちろん旅行会社の人が、適切なアドバイスをくれたらそれに越したことはないのですが。

工藤 そのシステムいいですね。場所はどこでもいいから、海外旅行に行きたいと思っている人はけっこういると思うんです。具体的に決まっているのは予算だけで、ある程度の条件を入力しながら、訪問先や日程を選択して絞り込んでいく感じ。

佐久間 
そのシステムを、インターネットを使って自宅で手軽に利用できたら便利ですね。現状では、インターネットを通じて、ツアーの内容を見ることはできますし、申し込みもできます。自分でいろいろな旅行会社のページを見て、希望に近いツアーを見つけたときの満足感は大きいですから。




  山田 最後に、皆さんが思う「こんなツアーがあったら行きたい」というのを教えていただけますか。

佐久間 海外旅行経験が同じくらいの人と行くツアーが希望です。私はまだあまり海外に行っていないので、経験豊富な人ばかりだと話についていけない気がします。また、これから行こうとしている場所の話を先にされたら、まだ見ていない映画の結末を先に言われてしまうような気分で残念です。

工藤 難しいとは思いますが、お手頃な料金でいくつかの世界遺産を巡れたらいいですね。特に、日本から遠い南米方面は航空運賃が高いですから、個人旅行で行くのは難しい。そういう方面への安いツアーがあったら魅力です。


橋本 
ツアーの訪問先は、だいたい歴史的な建物とか遺跡が多いのですが、そういう所が好きな人は個人でも行くでしょう。ツアーとして行くなら、個人ではできないこと、行けないところがいいと思います。現在活躍中のミュージシャンにゆかりのある場所、例えばCDジャケットの写真を撮影した場所や録音スタジオなどを訪れる、世界各地を巡るコンサートツアーに一緒について行くなど。こうした情報は個人では調べにくいし、音楽好きの人にはたまらないと思います。

三井 ツアーは強行スケジュールで忙しいイメージがあるので、腰が引けます。もっと1〜2カ所を、ゆっくり楽しめるツアーがあるといいと思います。ヨーロッパでも各国を周遊するのではなく、ある1つの国をじっくり見ていくとか。また、内容的には普通のツアーで訪問するような場所よりも、路地に入り込んでいくほうが面白いと思います。そういう所こそ、添乗員さんやガイドさんがついていてくれれば安心できます。

橋本 正直言って、海外へはツアーでは行きたくありません。ツアーでもらう現地情報のパンフレットや添乗員さんの説明は親切だとは思いますが、自分で旅行前に調査したり、現地の人に聞く楽しみがなくなってしまうような気がするからです。海外で初めての料理を食べたとき、「何だこれは!」という「びっくり」を大事にしたいんですよ。

三井 私は、そういう「びっくり」が苦手なんです(笑)。強い刺激を受けると、精神的につらくなってしまいます。そういった刺激から保護してくれるようなツアーがあれば過密日程でも行ってみたいと思います。でも、ツアーは、1人では気軽に参加しにくいですね。1人部屋料金など、追加費用もかかりますから。

佐久間 その感じ分かります。ツアーに1人で参加して、知らない人たちの中に入っていくのはちょっと無理ですね。でも、1人旅も難しい…。

工藤 1人の人だけ集めていくツアーがあったら、おもしろいかも。大学生で、同じ年という条件で、いろいろな都道府県から集まった人たちで回るツアーとか。

三井 それ、おもしろーい!!

佐久間 同じ趣味の人たちが参加するツアーなら、盛り上がれて楽しいと思います。例えば音楽が好きな人が集まったり。そういうツアーがあったらぜひ参加したいです。

橋本 友達から「旅行先で何するの?」と聞かれたことがあるんですが、ツアーの中に、みんなで現地の料理を作るとか、一緒にできることをするイベントがあったらいいですね。そこで仲良くなって、友達も増えると思います。

佐久間 そのツアーでできた友達同士で、また別の旅行に行くこともできますからね。

橋本 そんなに大きなことをするのではなく、ささいなことを楽しめるツアーもいいかもしれません。例えば、バンコクの屋台食べ歩きツアー。国内の旅行によくある「さくらんぼ狩りツアー」のような、そこそこ楽しめるツアーが海外旅行にあってもいいと思います。

工藤 海外旅行のグルメツアーの案内を見てみると、旅行代金が高いですし、豪華すぎるように感じます。こうしたツアーの対象者は、年配の方々がメインでしょうから、仕方がないと思いますが、もっと若い人向けのグルメツアー、例えばスイーツの食べ歩きなどがあってもいいと思います。

山田 ありがとうございました。若者の「旅行に行きたい」というポテンシャルは、決して低くはないと改めて感じました。アルバイトの忙しさ、消費より貯蓄という気分、安全面の不安など、かつての若年層よりもハードルの数は多くかつ高いものの、阻害要因がはっきり見えているだけに、対処の方法もあるのではないでしょうか。各社がしのぎを削る卒業旅行の人気プランの中にも、その秘密はあるように思います。旅とは、ちょっと無理してでも行く価値があるすばらしいもの。そんな、ごくごく基本的なことを改めてアピールし、さらに、「行く価値がある」旅を演出してくれるのが旅行会社であることを若者たちに伝えられたら、それは業界にとっても新たな一歩につながるように思います。彼ら若年層の攻略の成否こそが、業界の未来を占うのではないでしょうか。






 当社では学生旅行を、最も需要のあるヨーロッパの卒業旅行に絞って企画・販売しています。座談会でも、海外旅行にあまり興味のない人でも記念行事的な卒業旅行には行くと話しているようですが、卒業旅行に限れば当社の場合、旅行者数は減少していません。女子学生なら秋頃に母親と1回、国内と海外に友達と1回ずつ、計3回行く人もいるほどです。むしろ、卒業旅行を経験した方々が社会人になってから、あまり行かなくなっているのではないかと感じています。

 毎年、販売店の方々にヒアリングをしてツアーを企画していますが、昨年あたりからツアーの傾向が変わってきました。以前はフリータイムの多いツアーが売れ筋でしたが、最近は価格が多少高くても、添乗員付きで食事も観光も付くツアーが人気です。どうやら、フリータイムに何をしてよいのかわからないようです。もちろん、フリータイムが豊富なツアーも相変わらず人気ですが、観光を詰め込んだツアーも以前より多く取りそろえるようにしています。

 売れるツアーはパリ・ローマ・バルセロナが含まれる周遊コース。フランスはパリに加えて世界遺産のモンサンミッシェルが人気です。バルセロナは、パリ・ローマともう1カ所行きたいときに魅力的に映るようです。ショッピングは人気がなくなりました。イタリアのアウトレットを訪れるツアーは人気がなくなり、観光に比重を置くようになっているようです。フィレンツェからはアウトレットショップに行くプランとピサの斜塔に行くプランのオプショナルツアーを設定していますが、今は断然ピサの斜塔が人気です。

 最近の若者らしい傾向として、ランキングがあります。パンフレットに人気No.1、2と入れると、その人気順に申し込みも多くなるようです。失敗したくないという気分が働くほか、ある意味、素直なんでしょうね。つまり、販売店のすすめ方次第では、そのツアーを選んでくれるということ。あれもいい、これもいいとすすめるのではなく、1〜2つに絞ってきっちり紹介すると効果があるようです。

 ランキングが1つの指標になっていることからも、マニアックなツアーが売れないことが分かります。記念となる卒業旅行が初めての海外というタイプの人は、ターゲットを絞り込んだツアーは不向きですね。ツアー内容が自分の好みから外れていると分かった瞬間に、まったく見向きもしてくれなくなります。
 今後は、卒業旅行で海外旅行を経験した人たちに、社会に出てからも海外旅行に行きたいと思ってもらえる仕掛けづくりが必要だと感じています。


  当社はカナダをはじめ、スイス、ニュージーランド、アイスランドを中心にした個人旅行を主に取り扱っています。

 ここ数年、若者が海外旅行をしないと言われていますが、どの時代も行く人は行くし、行かない人は行かなかったと思います。昔の若者はバックパックを担いで1人旅をしていたと思われがちですが、すべての若者がしていたわけではなく、ほんの一部でした。今はただ、何もしない層が目立ってきただけだと思います。

 しかし、若者に限らず、「なんとなく旅行に行こうかな」と思っている層はいつの時代も一定量います。その人たちが漠然と「カナダでオーロラでも見ようかな」と問い合わせをしてきたときに、こちらがどこまで本気で旅行に行きたいと思わせることができるかがキーポイントだと思います。当社の場合、最初の問い合わせで日程表を作成することはありません。問い合わせに対する回答は即日が基本ですが、山が見たいのか、汽車に乗りたいのか、オーロラ観賞以外に何がしたいのかなどを聞き出します。「オーロラを見るだけでいい」と返信が来たとき、相手が若者なら通常のパッケージツアーではなく、イエローナイフから飛行機を乗り継いで別の都市に行き、民宿に泊まって1日中オーロラ観察をする旅行を提案したりします。「観測所があるようなツアーは年をとってから行きなさい。若いうちは人とちょっと違うことをしてみたら?」と言うと、かなりの人が乗り気になります。この「ちょっと違う」のがポイントです。漠然と旅行に行こうかなと問い合わせをしてきた人は、最初はそれほど思い入れがないものです。しかし、旅行会社が深い情報を提供することで思い入れができて、それが次第に強くなる。「ぜひ行ってみたい」と思わせることが旅行会社の腕の見せどころです。

 常日ごろ感じていますが、旅に必要なのは、「旅行に対するロマン、休み、お金」だと思います。旅行に対するロマンさえあれば、お金がなくても行く人は行きます。しかし、休みは会社勤めをしていると難しいのが実情でしょう。座談会では、学生といえどもバイトを長期間休めないという話が出ていましたが、社会人ならなおのこと。これは旅行業界だけでは解決できない課題ですが、まずは、旅行業界が率先して長期休暇の取得を促進して、旅行会社の若い社員が旅行に行くことが必要なのではないでしょうか。


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