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   添乗員のための旅行医学
P10-11 【シリーズ:Cafe de JATA】

【山本】私は学生時代からバスケットボールをしていて、いろいろな競技の観戦に行くほどのスポーツ好き。だから、スポーツ関連のツアーを企画、添乗したいと思って、旅行会社に入りました。今、熱中しているのはゴルフなので、ぜひツアーを作ってみたいです。

【橘田】自分が参加して楽しめるようなツアーでなければ、お客様も魅力を感じないだろうね。

【佐藤】ただ、いくら商品づくりに力を注いでも、それだけでは集客に直結しないのがSIT(=Special Interest Tour。一般のツアーとは異なり、特定のテーマに絞った旅行)の難しいところ。売るための工夫が必要なんですよね。
【山本】橘田さんは自転車の大会のツアーに携わっていましたが、何か工夫はされましたか。

 

【橘田】SITは販売手法が重要。まず、創った商品を誰に訴求するか、どこでPRすれば効果的かを考えたな。

【山本】PRのためにパンフレットは作ったんですか。

【橘田】自転車の愛好家は多いとは言っても、大会に出場する人は限られているから、店頭にパンフレットを置いても効果は見込めない。だからパンフレットはあまり作らなかったね。

【佐藤】Webページを利用すればよりダイレクトなPRができるけど、コストがかかるので最初から作るのはリスクが高い。

【橘田】そこで、最初はチラシを社内で手作りしたんだ。
【山本】そういえば、社内でそのチラシを作っているのを見た記憶があります。それを、どこで配ったんですか。

【橘田】日曜日ともなると早朝から自転車の練習をしに多くの人が集まる名所があるんだよね。そこに会社の人と何人かで連れ立って、チラシを配りに行ったね。もちろん自分もそこで練習するんだけど。

【山本】休みの日にチラシを配るなんて、地道な努力をしていたんですね。

【佐藤】行きたいと思っている人のところへの直接的なアプローチを仕掛けたわけですね。そこでチラシを受け取った人から、口コミで広がっていくのかもしれません。


【山本】大会の主催者側と旅行会社がタイアップした大々的なツアーもありますが、国内のスポーツの大会は、個人で申し込むケースの方が多いですよね。どうしたら、旅行会社のツアーを通じて参加してもらえるのでしょうか。

【佐藤】マラソンのツアーでは、競技当日に朝食をエネルギーに変わりやすいメニューにしてもらうなど、宿泊施設の側にアレンジをお願いしているね。

【橘田】お客様の体調管理も大きな問題だね。競技に入るまでの体調の持っていき方などについて、ツアー出発前に説明会を開いたり、メールでお知らせしたり、当日も栄養補給の仕方などレース中の注意事項を伝えているよ。

【佐藤】初心者の方は、ハンガーノック(血中の血糖値が急激に低下し、運動が困難な状態に陥ること)もよく知りませんから。

【山本】そういった情報を伝えるのは、商品の安心感を高めるための旅行会社の責任ですね。
 

【橘田】それと、自転車の大会では、自転車のメンテナンスを専門に行うスタッフをツアーに同行させているね。分解して運んだ自転車を現地で組み立ててレースに臨む場合、慣れている人でも元通りにセッティングするのは難しいものだから。

【山本】お客様が安心してレースに臨める環境づくりも大事なんですね。初心者のお客様は特に安心でしょうし。

【佐藤】個人の参加ではできないことを、商品のなかに織り込んでいくのがポイント。最初に参加して気に入っていただければ、リピーターとしてまたツアーに参加してもらえる。そのリピーターが仲間を連れてくる。そうやって集客を増やしていければ理想的だね。


【山本】自分の趣味を旅行商品として造成するには、それなりの難しさや工夫が伴うんだなと感じました。

【橘田】そうかもしれないね。それでも、趣味に関しての知識や経験は仕事にノウハウとして生かせるからね。自転車ツアーのPRのときは、自分が自転車を趣味にしているので、愛好家の実態をある程度つかんでいたことが、とても役に立ったわけだし。

【佐藤】私はトライアスロンをしていてロードバイクにも乗るから、自転車の大会のツアーをお客様にご案内するとき、自転車を知っている者として、的確に、わかりやすくアドバイスできるからね。ついつい熱が入ってしまって、説明が長くなってしまうこともあるけど(笑)。

 

【橘田】それ、わかる。特に、初心者の方は、気になることが多いようなので、ていねいに教えたくなるんだよね。こちらは、同じスポーツをする仲間を増やしたいという意識があるから。

【山本】だから、橘田さんは周りに自転車を勧めているんですね。そういえば、マラソンのツアーに添乗していると、お客様から「一緒に走ろうよ」とよくお誘いを受けます。今のところ出場していないですが(笑)。担当するツアーの競技を自分でしてみて、それをする人の気持ちを知るのは大事だと思うので、今年こそはマラソンにチャレンジしたい!

【橘田】じゃあ、自転車も始めようよ。自転車の大会の添乗もできるようになるしね(笑)。スポーツ大会への出場は
一般のツアーにはない魅力がたくさんあるから、そういった魅力をお客様に伝えるには、商品を提供する私たちがスポーツ愛好家であることは大事なことなんだと思うよ。


   
ハワイ・オアフ島で開催されるホノルルセンチュリーライド。最近、日本からのツアー参加者も増えている
現地では大会前に、
プロによる走り方セミナーを開く
国内ウルトラマラソンの中でも最大級の
サロマ湖100キロウルトラマラソン
国内のアマチュアランナーのマラソン
大会などのツアーも手がけている


今号より新しいコーナーとして「消費者相談室ひとくちコメント」の掲載を始めました。旅行会社から実際に寄せられた相談事例をご紹介していくことで少しでも営業現場のお役に立てばと考えております。これからも皆様のお役に立つ情報を掲載していきながら、この会報誌の認知度を上げていきたいと思います。(し)
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