全日空の就航当時、日本人に知名度のある観光地が少ない杭州には集客のためのイベントが必要と考えました。風光明媚な杭州の魅力を堪能するには歩くのが一番。現地サイドからも交流をキーワードにしたものが望まれていたので、ヨーロッパで好評だった交流型のウォーキングイベントを企画しました。
ふれあいウォークの最大の特徴は、一対一の交流ができること。従来の観光地だけを巡るツアーでは交流の機会を組み込むのは難しく、言葉の壁やシャイな日本人気質を考えると、なかなか現地の人と会話を交わせないのが実情です。また、大勢で訪問して現地の人の話をみんなで聞くだけでは、現地の人々と触れあった満足感は薄くなりやすいものですが、
「一緒に何かをする(歩く)」ことで、現地の人(学生)と参加者がそれぞれのペースで会話を楽しむことができます。
お互い、最初は緊張していても国や文化による差異は、話をしていくうちに個性として受け入れられ、相手の国へのまなざしを変えていくようです。また、外国から見た日本を知ることで、日本の良さに改めて気づいたという声も聞かれます。それはボランティアで参加する学生も同じようで、出会いの喜びと感謝をつづった手紙をいただいたときは本当に嬉しかったですね。
参加者一人ひとりが主役になる交流体験は、国や地域間における相互理解と友好の輪を広げます。そして、楽しかった交流体験は、次の旅への参加を促し、リピーターを育みます。友人や両親、子どもへとその輪が広がっていくのも旅が生み出す「交流の力」と言えるでしょう。
私たち添乗員はイベントスタッフとして参加者の最後尾を歩きますが、皆さんを見ているととにかく楽しそう。日本からの参加者はシニア世代が多く、孫と話をしているような気分になるんでしょうね。学生ボランティアにとっては日本語の力試しになりますし、日本のことを聞けるよい機会。そんなふうに一生懸命に話をする学生の姿に元気をもらうのか、ベンチに腰掛けて会話に夢中になる方や、ウォーキングそっちのけで喫茶店に入ってしまった人もいるほどです。お別れのゴール地点では後ろ髪を引かれる思いで、ギリギリまで学生と話し続ける方や泣いてしまう方も。わずか3〜4時間の交流ですが、ツアー後も
メールや手紙で連絡を取り合うなど、一度きりではない交流となるケースも多いようです。言葉や文化の違う相手とだからこそ、お互い理解しようと一生懸命になりますし、その分、心が通じた喜びも大きいのではないでしょうか。そんな心の交流をお手伝いできる旅は素晴らしいと思います。
当相談室では、ストレスを発散しやすい雰囲気づくりに務めています。周りの状況に気が回るということは、難しいお客様からの電話もわかるもの。電話が終わった後に、報告も兼ねて「どうしたの?」「こういうことを言われた」とその場で話をすることは、ストレスをため続けないコツでもあるかもしれません。私も含めて全員が気を使って互いをフォローしているからこその雰囲気ですが、もし仮に男性だけの部署だったり、女性が1人しかいないような部署だとしたら、また少し違うものになっていたかもしれません。
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