3月号インデックス特集│旅の力│JATA NOWVWCニュース Cafe de JATA 添乗員のための旅行医学バックナンバー
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P6 【シリーズ】


1993年から数年間商品化された、ドイツロマンチック街道の終点フュッセンから白鳥城を目指してウォーキングを楽しむツアーが最初の試み。2004年の全日空(ANA)杭州線就航に伴い、観光需要の喚起を図るための就航記念イベントとして開催された。
 「杭州・西湖ふれあいウォーク」では、杭州市で日本語を学ぶ学生と語り合いながら風光明媚な西湖を一周する。第1回が好評だったことから、以降
年1〜2回開催されている。当初はツアー参加者とボランティア学生を合わせて100人程度だった参加者も、リピーターが新しい参加者を誘いその人もまたリピーターになるなどして、昨年は1000人を超えた。




出発式では、杭州市の観光関係者の挨拶やコース・ルールの説明、準備体操などがあり、コースを一緒に歩いてくれる学生もこの場で決まる。ANAセールス側で指定するのではなく、学生側から積極的に「一緒に歩いてください」と声がかかるので、初心者でも安心。

出発後はそれぞれのペースで自由に歩く。添乗員や運営スタッフが最後尾に付き、迷子や具合が悪くなった人がいないかをチェック。イベント終了時刻に間に合わなくなる以外は、基本的に参加者の速度に合わせて運営される。参加者を急かすことはしない。

2009年まではゴールのアーチを特に設置していなかったが、「ゴールした達成感に欠ける」との参加者のリクエストから、ゴールアーチを設置。
ゴール付近では、ウォーキング中に語り尽くせなかった話を続ける人たちで溢れる。





 
夜は杭州市がパーティーを開催し、参加者全員に「完歩証」を授与。学生ボランティア数人も出席する。偶然にも一緒に歩いた学生と同じテーブルになれば、パーティーはさらに盛り上がる。
杭州市側には交流がメインである主旨を説明し、挨拶の時間を調整してもらうなど、語らいながら食事をする時間を長く設けるように工夫も重ねている。
 
主目的はふれあいウォークとはいえ、リピーターが多いことから、コースのバリエーションや、1日文化体験プランは年々豊富に。
基本の3・4日間コースに付けられるオプショナルプランのほか、上海や黄山などに寄るツアーも用意。

  全日空の就航当時、日本人に知名度のある観光地が少ない杭州には集客のためのイベントが必要と考えました。風光明媚な杭州の魅力を堪能するには歩くのが一番。現地サイドからも交流をキーワードにしたものが望まれていたので、ヨーロッパで好評だった交流型のウォーキングイベントを企画しました。
 ふれあいウォークの最大の特徴は、一対一の交流ができること。従来の観光地だけを巡るツアーでは交流の機会を組み込むのは難しく、言葉の壁やシャイな日本人気質を考えると、なかなか現地の人と会話を交わせないのが実情です。また、大勢で訪問して現地の人の話をみんなで聞くだけでは、現地の人々と触れあった満足感は薄くなりやすいものですが、
「一緒に何かをする(歩く)」ことで、現地の人(学生)と参加者がそれぞれのペースで会話を楽しむことができます。
 お互い、最初は緊張していても国や文化による差異は、話をしていくうちに個性として受け入れられ、相手の国へのまなざしを変えていくようです。また、外国から見た日本を知ることで、日本の良さに改めて気づいたという声も聞かれます。それはボランティアで参加する学生も同じようで、出会いの喜びと感謝をつづった手紙をいただいたときは本当に嬉しかったですね。
 参加者一人ひとりが主役になる交流体験は、国や地域間における相互理解と友好の輪を広げます。そして、楽しかった交流体験は、次の旅への参加を促し、リピーターを育みます。友人や両親、子どもへとその輪が広がっていくのも旅が生み出す「交流の力」と言えるでしょう。

 私たち添乗員はイベントスタッフとして参加者の最後尾を歩きますが、皆さんを見ているととにかく楽しそう。日本からの参加者はシニア世代が多く、孫と話をしているような気分になるんでしょうね。学生ボランティアにとっては日本語の力試しになりますし、日本のことを聞けるよい機会。そんなふうに一生懸命に話をする学生の姿に元気をもらうのか、ベンチに腰掛けて会話に夢中になる方や、ウォーキングそっちのけで喫茶店に入ってしまった人もいるほどです。お別れのゴール地点では後ろ髪を引かれる思いで、ギリギリまで学生と話し続ける方や泣いてしまう方も。わずか3〜4時間の交流ですが、ツアー後も
メールや手紙で連絡を取り合うなど、一度きりではない交流となるケースも多いようです。言葉や文化の違う相手とだからこそ、お互い理解しようと一生懸命になりますし、その分、心が通じた喜びも大きいのではないでしょうか。そんな心の交流をお手伝いできる旅は素晴らしいと思います。

 当相談室では、ストレスを発散しやすい雰囲気づくりに務めています。周りの状況に気が回るということは、難しいお客様からの電話もわかるもの。電話が終わった後に、報告も兼ねて「どうしたの?」「こういうことを言われた」とその場で話をすることは、ストレスをため続けないコツでもあるかもしれません。私も含めて全員が気を使って互いをフォローしているからこその雰囲気ですが、もし仮に男性だけの部署だったり、女性が1人しかいないような部署だとしたら、また少し違うものになっていたかもしれません。


風景、人とのふれあいが楽しかった。初めての中国なので不安だったが、スタッフの方々が親切にしてくださり安心して過ごせた。異なる季節や観光コースを楽しめるものがあれば、また参加したい。
(54歳 女性)

 ありがちな「修学旅行」のようなツアーではなく、地元の若い学生とのコミュニケーションを楽しめて非常に良かった。杭州市はどこへ行っても清掃が行き届いており、自然環境も素晴らしく、印象的であった。
(75歳 男性)


  空に心の橋を架けたANA  湖州師範学院 陳 明方

  この度は、美しい環境の中で気の合う日本の方と交流ができ本当に楽しかったです。日本の色々な話が聞け、よい交流ができました。このような機会を与えてくださり誠にありがとうございました。今回のふれあいを
きっかけに中国のことがもっと大勢の日本の方々に伝わるよう願っています。私たちも交流の意義や成果・感想などを中国の人民に伝えていきます。
 今後も両国への理解を深め、よい良い絆を築いていきたいと思います。来年も参加できることを心より楽しみにしています。

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