【竹浦】市村さんは環境に優しいツアーにおける添乗のスペシャリストですが、近いうちに市村さんのツアーに同行して、どういうものかを実際にこの目で見たいです!
【小川】絶対に一緒に行ったほうがいいよ。私は熊野古道のウォーキングツアーに同行して、市村さんの環境保護に対する意識の高さを知ることができました。そもそも、市村さんが、こういったツアーに取り組むきっかけは何ですか?
【市村】旅行業界に入って、初めてヒマラヤのツアーを担当したのが15年くらい前。当時、トレッキング中はテント泊が主流で、お客様10名にガイド役のシェルパが2〜3人と荷物を運ぶ大勢のポーターがついて、総勢30名の大所帯で移動していたんだ。
【竹浦】食事は当然自炊ですよね。それだけ、ゴミが出る。
【市村】それと、煮炊きのために火をおこすから大量の薪が必要となり、木を伐採することになる。ネパールのある村で、現地の人に「日本人は、木を奪い、ゴミを落として、お金を落としていかない」と言われたんだ。その一言は、強烈だったね。
【小川】「お金を落としていかない」というのは、テント泊だと宿泊も食事も自前だから、現地でお金を使わないということですか?
【市村】その通り。そこで考えたのが、ツアーをテント泊からロッジ泊に変えることだったんだ。
【竹浦】ロッジに泊まれば、ツアー参加者の宿泊費や食費が現地に還元されるというわけですね。しかも、テント泊に比べて大きいカマドを使うから、余分な木を伐採することもない。
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