11月号インデックス特集 1特集2旅の力WTF開催報告│ Cafe de JATA│添乗員のための旅行医学バックナンバー
   添乗員のための旅行医学
P10 【Cafe de JATA vol.49】





刑部 読売旅行では旅行申込みの際に海外旅行保険のご案内をすることにより付保率を高めることができるよう、カウンター営業や電話受付の担当者のほぼ全員に損害保険募集人資格を取得させております。異動などで支店の担当者が本社の内勤になることもありますが、結果として内勤でも資格を更新している人が多いです。

飯塚 私もそのパターンです。支店にいた当時は、本社からの指示があるなしに関わらず、それぞれの支店が海外旅行保険の重要性を認識して取り組んでいました。支店の売り上げにも関わってきますからね。

刑部 おかげさまで、全社で6割という高い付保率を維持できています。本社主導で行っているのは、旅行の申込書に保険加入をお勧めする一文を記載し、送付時に保険のパンフレットを同梱するように指示していることと、カウンターに設置するタワー型のPOPを全支店に配布しているくらいですが…。ただ、POPがカウンターにあることで、社員がお客さまに保険の加入を勧めるといった意識付けができているのかもしれないですね。

飯塚 社内で各支店の付保率が公表されているのも、保険加入に対して強い意識付けになっていると思います。

清水 私たちツアーコンダクターも、出発前のご挨拶の電話で保険に入られているか、必ず確認しています。クレジットカード付帯保険の方には、カードによって補償内容に違いがあるので今一度補償内容の確認をしていただくよう促しています。また、未加入の方には万が一の時に安心である、保険の重要性を伝えています。「それじゃあ、入ろうかしら」と仰ってくれる方も多いですよ。そして、ツアー参加者リストに保険加入済みか未加入かを書き込み、添乗時に携帯しています。何かトラブルがあったときも、保険加入者かどうかがわかり、それに応じた素早い対応が可能になりますから。

刑部 実は、事前の電話確認で保険の重要性に気づいていただいた場合、空港で加入することになります。当社で加入していただけないのは残念なのですが、大切なのは「お客様が保険に入ってくれているか」どうか。空港での加入でもいいから、ギリギリまで促したいですね。


清水 海外旅行保険はお客様にとって役に立つものですが、お客様が保険に入ってくださっていると、実は私たち現場のツアーコンダクターはとても助かります。保険会社のアシスタンスセンターに連絡して病院の相談もできますし、病院にお客様を残してツアーに戻らなくてはならない場面でも、補償の範囲内で付き添い者などをお願いできます。お客様自身が突然のトラブルで不安になっているときに、「これをするにはお金がかかる」と伝えるのも心苦しいですし、お客様が「どうしよう…」とお金の心配をしている姿を見るのはつらいです。

刑部 特に高齢のお客様ですと病気やケガのリスクは必然的に高くなります。当社は50?60代のお客様が多く、そういった意味でも付保率が高いのでしょう。

清水 私が初めて救急車に乗ったのは、お客様が吐血して倒れてしまったケースです。幸いなことに保険に加入されていましたのですべて補償されましたが、それを見ていた他のお客様も次回から絶対に保険に入ろうと思われたようです。逆に未加入のお客様が倒れてしまったことがあったのですが、このときは、事前に私から保険をお勧めしていたものの入られないままでした。後からご本人も「入っておけばよかった…」と仰っていました。

飯塚 直前まで保険加入を確認することで、ご本人に無保険である自覚が芽生えるのでしょうね。そのためか、私の経験では旅行中にケガなどに遭われた場合でも「保険に入れと言わなかったじゃないか」といったクレームはほとんどないと思います。


成田空港にて案内をする様子。


ベネチアの添乗員付きツアーは、
卒業旅行シーズンには学生も多く参加する。

 

清水 保険に入らない理由としてよく聞くのは、「クレジットカード付帯保険があるから」ですが、お客様が知らない意外なリスクは結構ありますよね。

刑部 クレジットカードの付帯保険は傷害死亡・後遺障害の補償は高くても、治療費用や救援者費用が低いものがありますからね。実際に海外で病院にかかると、補償額を超えて数百万円単位もの費用がかかることもあって大変なことになります。

飯塚 国によっては、「支払能力を示すもの」を提示できないと治療や入院を断られるケースもあります。クレジットカード付帯保険があっても、その保険でキャッシュレス診療のサービスが可能か診療開始までに確認できない場合などは一時立て替え払いとなるため、治療費がカードの支払い限度額を超えてしまう可能性も。クレジットカード付帯保険にはこういったリスクも潜んでいるんですよね。

清水 その現場にいたら、心苦しいですね。

飯塚 私も添乗することがあるのですが、帰国日の前日にお客様が骨折してしまったケースがありました。大事には至らなかったものの、歩行が困難だったことからストレッチャーを使用して帰国しました。帰国日の延期による航空券の取り直しや看護師の付き添い、日本からご家族に来ていただく費用などは補償の厚い保険がなければ大変だったと思います。また、私たちも保険会社に対応していただけなかったら対応に苦慮していたと思います。


オーストラリアのブルーマウンテン。
世界遺産にも登録された大渓谷や
ユーカリの森は、シドニー観光の定番。


全支店に配布したAIU保険のタワー型POP。
お客様に海外旅行保険を勧める
きっかけ的な役割を果たす。

刑部 具合が悪いのにお金の心配をして病院に行かないお客様がいらっしゃるとしたら、自分はつらいです。とはいえ出発前に事故や病気のリスク、具体的に発生する費用の話などはせっかくの旅行前のわくわく気分に水を差しそうで気を使います。

飯塚 そこで私の場合、スーツケースや携行品の事故が意外に多いことなどを伝えています。

清水 特にスーツケースは、破損、故障のトラブルが多いです。でも、外国の航空会社だと補償の交渉が難しいこともあるから、保険があればそういった心配もいらないので安心なんです。

刑部 保険はお客様にはもちろんのこと、現場のツアーコンダクターや会社にとっても「安心」につながるんだと改めて感じました。お客様へのご案内方法や、支店で異なる付保率アップに向けた取り組みの好例があれば他の支店にも紹介するなど、会社全体としてこれからも付保率アップに努めていけるよう取り組んでいきたいです。




羽田空港の新国際線ターミナルへは、共用開始までに取材で1カ月間に3回訪問しました。第一印象はそのコンパクトさに驚きました。都心からの近さ、そして国内線とのネットワークがどこまで生かせるでしょうか。これからの発展が楽しみです。早いうちに実際の使い勝手を試してみたいですね。(さ)

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