7月号インデックス特集Part.1│特集Part.2│旅の力JATA NOWCave de JATA添乗員のための旅行医学バックナンバー
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P4 【特集/旅行業界にできる復興支援】




訪日旅行を扱う現地の旅行会社や、日本で受け入れを行っているインバウンド専門の旅行会社に、震災後の訪日の動向をお聞きしました。




 災害などが起きても旅行者の戻りが早いヨーロッパですが、こと原発に関しては別物として感じています。さらに、遠く離れたヨーロッパからは震災や原発の被害が全国規模に広がっていると見ているようです。それだけに、原発や東京の今の状況を知らせることが必要です。実際に来年以降の団体旅行の下見に来たお客様は、「地震は防ぎようがない。今の時代、どこで何があるかわからず、たとえばテロの危険性が全くない国はないのだから」と言い、逆にあれほどの大地震でありながら東京の被害は最小規模だった点を評価しており、原発の動向が鍵といえます。
 旅行市場が成熟しているヨーロッパでは、常に新しいツアー、新しい素材が求められていて、日本への関心・興味は根強くあります。この1年は仕込みの年として、正確かつ継続した情報提供が必要でしょう。この夏にでも、日本の元気さを訴えられるような大きなイベントがあると弾みがつくと思います。
 今後の問題は、日本の情報発信の窓口が実は1つに絞られていないこと。観光庁やJNTOで一元的に情報を入手することが難しく、市町村レベルの観光情報を入手したい場合は各自治体に問い合わせなければなりません。国の観光の窓口を改善する余地はまだまだあると思います。地震、原発と大きな被害がありましたがそれでも日本は旅行先としてリスクの低い国だという自信を持って世界にアピールしてほしいです。



 震災直後に香港中で報道された日本の衝撃的な姿は、「安全・安心の日本」のイメージを変えてしまいました。しかし、震災後の混乱の中にありながら冷静で礼儀正しい日本人の姿、被災地や原発での救助活動の様子に応援と感謝の思いが広がりました。香港メディアによる日本の取材やJNTOのアピールなどもあり、4月末頃から「危ない日本」のイメージは消え始めていると感じています。
 当初、訪日ツアーはすべてキャンセルとなりましたが、訪日への意欲は消えていないと分析した当社では、3月末には4月16日からのツアー再開を決断。旅行先を原発から遠い沖縄、大阪とし、過去にない特別料金で販売したところ予想を上回る63人の申し込みがあり、無事催行しました。4月末には関西や北海道方面に回復傾向が見られ、5月17日には東京へのツアー再開第一弾を催行しました。
 日本へのマイナスイメージは収まりつつありますが、まだ完全には戻っておりません。そこで当社では、訪日旅行への関心、旅行意欲を高めようと割安な価格を設定し、さらにマグニチュード6以上の地震が起きた場合は旅行代全額返還という思い切った戦術をしばらく続けていきます。
 私の好きな言葉「節から芽が出る」が表すように、この大きな節目にこそ、お互いがそれぞれの立場を生かし助け合い、心明るく、一歩一歩足元を固めて前進し、大きな楽しみの芽を出していきたいと心から願います。




 青森県は沿岸部の被害はそれほど大きくなく、太平洋沿岸の一部の地域以外はほぼ通常通りとなっており、観光に支障はありません。ただ、入込観光客数は例年に比べると低くなっています。
 現在は、東北新幹線が全線開通しており、震災で一時ストップした感のあった歓迎ムードが復活してきています。幸いなことに、5月に入り各旅行会社から青森の旅行商品が少しずつ出てきています。これから夏や紅葉の観光トップシーズンを迎えるにあたって、さらなる盛り上がりを期待しています。青森ねぶた祭も通常通りの開催が決定します。青森の観光地では自粛ではなく訪問を待っていますので、旅行会社の皆さまには東北ツアーをどんどん造成していただきたいです。
(青森県観光国際戦略局観光交流推進課)



 震災後は団体客がほとんどキャンセルになったため、9割近くが個人客になりました。特に、桜の時期は例年多くの観光バスが来ていましたが、今年は残念ながら大多数の団体がキャンセル。5?6月入込状況は、宿泊・観光施設ともに前年比20%以下の施設も多く、かなり厳しいものとなっています。
 秋田県内の観光施設は、地震や津波による直接的被害はほとんどなく、風評や自粛ムードによる間接的な被害が多いと言えます。そこで県では、
ゴールデンウィークから「ニッポンの笑顔、秋田から!」をスローガンに掲げ、県を上げてキャンペーンを展開し、県内外からの誘致に取り組んでいます。毎年、たくさんの方に楽しんでいただいている「秋田竿燈まつり」(8月3?6日)や「大曲の花火」(8月27日)など、今年も通常通り開催されます。
 ぜひ、暑い夏を吹き飛ばす、涼しい秋田に遊びに来てください。
((社)秋田県観光連盟)


 岩手県では、震災の被害が少なかった内陸部で入込観光客数が減少しています。ゴールデンウィーク中の県内主要観光地における観光客の入込数は、対前年比で73.2%の減少となりました。
 しかし内陸部では、ほぼすべての観光施設が平常通り営業しております。特に平泉の文化遺産は今年6月にユネスコの世界遺産に登録され、観光客の入込改善の好機と捉えています。そのほか、トレッキングや温泉が楽しめる八幡平エリア、民話のふるさと・遠野などの観光地や施設も皆元気に営業しております。沿岸部や沿岸部にほど近いエリアでも龍泉洞、北山崎など観光可能な場所もあります。
 6月11日にはチャグチャグ馬コが盛大に開催され、8月1?4日には「盛岡さんさ踊り」が例年通り行われますので、ぜひ岩手に遊びにきてください。
((財)岩手県観光協会)



 ゴールデンウィーク中の主要観光地の入込状況は前年比72.8%となったものの、イベント自体は震災による自粛ムードが和らぎ、天候に恵まれたことなどから前年をやや上回る入込がありました。しかし、観光客は近県や県内からの個人客が中心で、団体客はほとんど見られず、バスツアーなどの団体予約も現状ほとんど入っていない状況です。県内宿泊施設や観光施設はハード面においてほとんど震災の影響ありませんが、風評により団体客のキャンセルが続いています。
 夏には、8月5?7日「山形花笠まつり」や8月24?26日「新庄まつり」、多くの花火大会も例年通り予定されています。9月4日には、毎年多くの方が楽しみにされている「日本一の芋煮会フェスティバル」も開催予定なので、山形に足を運んでください。
((社)山形県観光物産協会)



 宮城県では、「復興へ 頑張ろう!みやぎ」をスローガンに掲げ、復興への歩みを着実に進めています。
 いま県内では、日本三景・松島や蔵王などの観光地、鳴子、秋保、作並、遠刈田などの温泉地をはじめとして、多くの観光施設や宿泊施設が営業を再開しているほか、各地で復興市などのイベントも開催されるようになりました。また、仙台市では5月下旬から「おいでよ!仙台・宮城、東北へ」と銘打った観光誘致キャンペーンをスタートさせ、観光PR集団「伊達武将隊」による全国キャラバンを行っています。8月6?8日には「仙台七夕まつり」が「復興と鎮魂」をテーマに仙台・宮城そして東北全体の復興を願うお祭りとして開催されます。
 被災地の復興のためには、「活気」や「にぎわい」を取り戻すことが非常に重要です。ぜひ宮城においでいただき、宮城を応援してくださいますようお願いします。
(宮城県経済商工観光部 観光課)



 東日本大震災における全国の皆様の御支援に、心から感謝を申し上げます。今回の災害で本県は未曾有の被害を被りましたが、県内観光地は“元気に、明るく”がんばっております。
 会津若松市のシンボル鶴ヶ城は今年の春、幕末期の“赤瓦”にふき替えられ、皆さんの訪問をお待ちしております。また、いわき市のアクアマリンふくしまは、震災の影響を受けて直面した多くの生き物たちの死を乗り越え、7月15日に一部再オープンします。7月には、日本三大祇園祭の一つ会津田島祇園祭(7月22?24日)が、8月には、福島わらじまつり(8月6日)、郡山うねめまつり(8月4?6日)、須賀川市釈迦堂川全国花火大会(8月20日)など、多くのイベントの実施が決定しております。その他の詳細な情報は、『福島応援サイト「がんばる福島」』を御覧ください。皆様のご来県を心よりお待ち申し上げます。
(福島県観光交流局 観光交流課)


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