5月号インデックス│特集│旅の力JATA NOWCave de JATA添乗員のための旅行医学バックナンバー
   旅の力
P2 【特集】

 3月1日に関空〜福岡・札幌線に就航し、同25日には長崎線を、4月1日からは鹿児島線と立て続けに開設しています。今後は5月に韓国・仁川線、7月に香港線、9月末に台北線、さらには沖縄線を順次開設する予定です。3月の搭乗率は83%と、当初想定していた7〜8割を上回るスタートとなりました。お子様連れのファミリーやシニアの利用が想定よりも多く、シニアの方々は、お子さんやお孫さんにチケットを取ってもらっていると伺っています。スーツ姿の利用客も比較的多く見かけることから、ビジネス利用も順調のようです。
 搭乗手続きなどで混乱も想定しましたが、初日以外は大きな問題はありません。これに関しては、かなりテレビなどでLCCとはどういうものかを周知するよう取り組んできた成果だと思います。しかも、「孫(子ども)に言われてチェックインの下見に来た」という方が結構いらっしゃって、他の人の手続きを見ながら「これなら簡単そうだ」と安心して帰って行かれています。

 3月の就航にあたり、昨年末からいくつかの旅行会社とお話をさせていただきました。運賃が未発表の段階では旅行会社の方とも漠然としたお話しかできませんでしたが、運賃発表後は旅行会社からの関心の度合いが非常に高まっていると感じています。特に就航地の旅行会社からの反応が大きいです。パッケージツアーに活用できないかといった話も
出ております。まだ、旅行会社との契約はありませんが、いい方向で進んでいるところもあります。ただ、LCCのビジネスモデルはB to Cが基本です。まずは利用していただくお客様に向けて、いかにわかりやすく案内し、効率よく販売していくかに注力しています。
 とはいえ、B to Bを考えていないわけではありません。今後はグループ客への販売なども視野に入れる必要はあるでしょう。しかし、それはあくまでもLCCの考え方を逸脱しないことが大前提。現在はコミッションやツアー用の席の確保などは考えていません。


 私たちにとって「旅行会社との共存」とは、ともに需要を掘り起こして、旅の楽しみを提供していくことだと思います。これはあくまでも旅行会社の皆様と話をしていく中で感じたアイデアで、現時点で検討しているものではありませんが、たとえば、着地型ビジネスの分野で可能性に広がりが出るのではないでしょうか。我々LCCがお客様をお連れし、その後の足回りやホテル、観光などを旅行会社が引き受ける。なんらかの動線が描けられれば、お客様にとって利便性が高まると考えられます。旅行ではありませんが、実際、関空到着後の大阪市内へのアクセスをフォローするために、南海電鉄と協力して関西空港駅から難波駅までの片道の割引切符を機内で販売し、非常に好評です。利便性やお得感はもちろんのこと、あくまでも推測ですが、機内に雑誌やエンターテイメントがないことから、お客様がス
タッフの切符販売のアナウンスを聞いている率が高いのではと感じました。では実際に機内で着地先の旅行パンフレットの配布ができるかとなると、乗員の手間や積載重量の問題があるので方法を考えないといけませんが…。
 そのほか、旅行会社のサイトからピーチへ、またはその逆のアフィリエイトは可能性がありそうです。
 当社では、新規就航先のターゲットを「関空から4時間以内」と考えています。4時間以内の中には、国内線、国際線の区別はありません。将来的には国際線の方が増えるイメージとなります。2012年度中にもう2都市ほど路線の追加を予定しており、今後も積極的に日本の旅行需要を掘り起こしたいと思います。




 8月1日就航予定のエアアジア・ジャパンですが、現在さまざまな点について最終的な詰めを行っている状況です。皆様にお伝えしたいのは、LCCが従来の航空会社とは違い、新たな業種といってもいいほどさまざまな点で異なっていることです。旅行会社の皆様には、従来の商慣習にとらわれない新たな発想でお付き合いしていただきたいと思っています。
 すでにマスコミなどで発表していますが、8月1日に成田から、札幌3便、福岡2便、沖縄1便をA320(180人乗り)2機で運航します。10月中には3号機を導入し、国際線の韓国・仁川線、釜山線に就航します。さらに年内には4号機を導入予定で、その後は年に5〜6機ずつ増やし、5年後には25機体制で運航していきたいと思います。
 今後、運航する路線については、当初は既存需要の大きなところで、更なる需要の拡大を目指して就航しますが、その先は既存路線がない地域も視野に入れていきます。潜在需要の開拓こそがLCCの使命であり強みです。 今ある交流人口のパイの中から交通機関同士で奪い合いをするのではなく、これまで飛行機に乗ったことがない人、旅行に興味のなかった人などを「ローコストの魅力」で動かす。ここが重要だと思っています。
 成田に2時間以内にアクセスできる首都圏の人口は約2700万人といわれています。23区の東部や埼玉県・千葉県など、これまで羽田まで時間をかけて行かなければならなかった人達が、より身近に、より便利に飛行機を利用いただけるようになります。さらには都心と成田空港を格安で結ぶリムジンバスが検討されているといった話題も出てきており、LCCに対する期待が高まっている印象を受けていて、当社の利用が広がると嬉しいですね。


 旅行会社の皆様とは、ともに新しい需要を掘り起こし観光客を増やしていく同志としてお付き合いさせていただきたいと思っています。近所に身軽に出かけるような感覚で、日帰りで北海道にご当地ラーメンを食べに行く、週末に家族で地方から都内のアミューズメント施設に訪れるといった新しいスタイルが提案できます。海外旅行も同様で、国内旅行以上に地上手配に対するニーズが多様化してくると思います。
 消費は内向きと言われていますが、いかにより多くの消費者に支持していただくか、これまでにはない旅行のあり方、その魅力を感じていただけるか。そのような点でLCCと旅行会社が手を組んでできることはたくさんあるのではないでしょうか。




 グループ会社のジェットスター(JQ)が日本に就航して今年で6年目になります。ジェットスター・アジア(3K)も加え、この5年間、LCCとして旅行会社の皆様とお付き合いさせていただき、日本の旅行会社との取引実績やノウハウを積み重ねてきました。現在の取引内容は、日本の旅行業約款に鑑みたものになっていると思います。
 ジェットスター・ジャパンは基本的に、JQ、3Kとほぼ同じポリシーを踏襲する予定です。JQ、3Kともに旅行会社からは専用端末に加えアマデウス、AXESSの2つのGDSから予約・発券が可能となっており、ジェットスター・ジャパンも従来の予約システム、予約方法、条件を、それほど大きく変えることなくスタートしたいと思っています。現在、旅行会社を経由した座席販売の割合は、JQで6割、3Kで5割ほど。ジェットスター・ジャパンでも、将来的には同じような割合になるのではと見ています。


 7月3日に、成田から札幌2便、福岡1便をA320型(180人乗り)3機で運航します。7月9日には関空2便、沖縄2便を就航して札幌線の便数も増やし、できるだけ早く4機体制を目指します。国際線は2013年初旬から、韓国、中国、東南アジア方面への就航を検討中です。
 旅行会社の皆様とはすでにJQと3Kでの取引実績があることから、国内線の就航発表後、とても前向きな反応をいただいています。国内旅行が主力の旅行会社からも新たなお問い合わせをいただいています。ただ、運賃や運航スケジュール等を公表していない段階では、具体的なお話はできませんでした。詳細が確定次第、話を進めていきたいと思っています。
 LCCは直販がメインではありますが、直販にこだわり過ぎずに日本市場に合わせて複数の販売チャネルを活用し、コストを抑えながらロードファクターを高めること
が肝要です。団体利用、特に修学旅行は我々LCCだけでは完結できず、旅行会社の力が不可欠です。LCCが魅力的な運賃を提供できれば、これまで予算や移動時間の関係で行くことができなかった地域が修学旅行先の候補になる可能性もあり、就航地周辺では非常に大きな需要拡大につながるでしょう。修学旅行には我々も期待をかけています。また、海外と同様、国内のパッケージツアーでジェットスターを利用した商品が出てくることも期待しています。




 各方面から反響をいただいた「最低価格保証」は、他社の安い運賃を申告してもらうための専用回線を設置して対応します。同じ時間帯、手荷物などのオプションが同等で、購入可能な席があることを条件に、他社の価格から10%を割り引きます。この制度はWEB販売の航空券のみとなりますので、旅行会社で申し込まれる航空券に関しては適用外となります。
 ジェットスター・ジャパンでは、成田と関空をベースにグループの路線網を活かした路線展開を予定しています。両空港での乗継を考慮することでインバウンド需要の取り込みも期待できることから、JQ、3Kとのスケジュール調整も視野に入れています。
 まずは7月3日の就航に向けて全力で進んでいきますが、同時に新しい路線の開拓にも力を入れていきます。すでに日本全国の空港、都道府県にコンタクトを取っていて、乗り入れ条件などを探っているところです。プッシュバック機やボーディングブリッジを使用しないなどLCCを運航する上でコストを抑えることができれば新しい就航地も考えられます。運航コストを下げ、魅力的な運賃を提供することで需要を作り出していきたいと思います。


LCC3社とフルサービスキャリア比較〜国内編〜

じゃたこみ編集部

 ピーチ・アビエーションの長崎線が就航した翌々日、早速搭乗してみました。関西空港駅の改札口を出て右手、エアロプラザに向かいます。チェックイン締め切り時間は出発30分前。13時半になると、すでに多くの人がチェックインを済ませていたようで6台中3台のチェックイン機が稼働していました。近くにはお客様対応のための係員が配置されています。eチケットのバーコードを読み込ませて搭乗券を受け取り、すぐ奥にある保安検査場に向かいます。預入手荷物がないと、チェックインから保安検査場まで1分とかかりません。保安検査場を抜けると30人強が座れる待合室と簡易の売店がありますが、出発間近のためすぐにバスに乗って搭乗口まで移動となりました。
 この便の搭乗率はざっと7〜8割というところ。事前に座席指定をしないと前から順につめるのか、24列目まではほとんど空席がなく、25列目からはほとんど空いている状況。28列目を座席指定していたため、ある意味快適でした。
 機内の第一印象は「窮屈かな?」といったところ。座ると目の前に前席の背もたれが迫ってくる感じでした。そしてひざかしらは前の席とくっつきそう(身長175cmの中肉中背の人の場合)。ところが、しばらくすると座席にも慣れ、リクライニングもできますので、十分に空の旅を楽しむことができました。1時間15分の空の旅を終えて長崎空港に到着しました。
 印象としては、今回、1人でかつ荷物を預けないでの利用でしたので、チェックインから搭乗まで込み合うこともなくスムーズに進みました。WEB予約であることを含め、飛行機が気軽に利用できるようになったと感じられました。
 消費者がその時々のニーズに合わせて、LCCか既存航空会社かの選択肢が増えたと考えると、新しい旅行需要や形態が今後生まれてくる可能性もあるのではと思いました。


ピーチのバナーに沿って歩くと、
チェックインの場所へ


30人強が座れる待合室と簡易の売店がある


座席の間隔は身長175cmの男性でこのくらい
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