5月号インデックス特集旅の力JATA NOW│Cave de JATA│添乗員のための旅行医学バックナンバー
   添乗員のための旅行医学
P10 【Cafe de JATA vol.59】





 

秋山 当社はタクシー会社が母体となっており、静岡県中部地域を中心に旅行業のほか観光バスやホテル事業などを展開しています。アンビ・アのロゴマークが入ったタクシーが街中を走っているため、地元の方には地域密着型の旅行会社として名前を知っている方は多いと思います。

滝口 国内旅行を数多く手掛けていますが、富士山静岡空港(以下静岡空港)が開港する以前は、バスで羽田空港や中部国際空港(セントレア)に移動し、そこから各地へ旅立っていました。それが、地元からダイレクトに北海道や沖縄などへ行けるようになったので、非常に便利になりました。

岸 開港前は空港に寄せる地元の期待度は高かったですよね。個人的には空港というと羽田空港やセントレアのような感覚で、便数や方面が豊富にあると思っていました。今から思うと地方空港だから当たり前なのですが、その当時は期待するイメージが大きすぎて、意外に便数が少ないなと感じてしまいました。今はもちろん、静岡空港は便数、方面共に地方空港としては決して少なくないと思っています。

秋山 これまで航空機を使うツアーの場合、首都圏や名古屋近郊の交通渋滞を見越し、余裕をみて所要時間を計算して静岡からの出発時間を早めに設定していました。今は静岡空港集合が可能になり、地元のお客様はかなり手軽に旅行ができるようになりましたね。

滝口 旅行先は国内なら北海道、沖縄、海外なら韓国が人気ですね。台北線は今年から始まったばかりなのでまだどのような傾向になるかわかりませんが、女性に人気の都市なのでお客様の反応は上々ですよ。ただ、台北線は夜出発なんです。個人の女性のお客様なら会社帰りの旅行需要はありますが、当社の主要な客層であるシニア層は朝から旅行に行きたい方が多いですから…。

岸 でも、静岡空港発は20時。17時台が終業の会社なら会社帰りに旅行というスタイルが可能ですね。夜出発はこれまで首都圏の人たちの旅行スタイルというイメージでしたが、今は静岡でもそれができるんですよね。なんといっても市内から空港まで車で30分という近さがいいですよ。

岸 開港前、就航方面・便数が確定してからは、お客様から「使い勝手はいいの?」といった不安の声を聞きましたが、実際に開港してみると利便性の高さは一目瞭然。それまでの航空機利用の顧客の約8割は静岡空港利用に移動しました。国内はもちろんですが、フライト時間の短い韓国や上海は、旅行全体に占める国内の移動時間が減って本当に楽になりました。以前は名古屋着後、静岡に戻ってくると夜中の12時を過ぎることもあり、年配の方には厳しいスケジュールでした。

滝口 それに、飛行機が遅延したら新幹線に乗り継げないリスクがありましたよね。

秋山 これまで静岡からは名古屋発、羽田・成田発しか海外旅行の方法がなく、個人旅行では他社ツアーのフリープランを代売していました。でも今は静岡空港発の自社商品を揃えることができるようになりました。また、仁川経由の海外旅行という商品の幅も広がりました。

滝口 仁川経由では、アンコールワット(カンボジア)のツアーが人気です。日本?カンボジア間は日本のどの地域から出発しても国外で乗換が発生するので、これまで国内を含めて2回あった乗換が仁川1回となり、仁川経由の良さが生きたツアーになりました。

秋山 新たな試みとして企画した、開港当時の空港見学ツアーも好評でしたよ。

岸 開港当時は空港に行くと人が溢れ返っていましたよね。少し離れた展望台まで人でいっぱいでした。

秋山 でも、残念ながらその時もチェックインカウンターの前は空いていましたが…(笑)。

岸 先日、空港で3種類ほどの静岡茶の飲み比べサービスをしていました。静岡特産のアンテナショップを作るなど、静岡らしい特色を生かして待ち時間を楽しく過ごせる仕掛けがあるといいですよね。

秋山 空港に行くこと自体を目的としたイベントやツアーがあると、地元空港がさらに身近なものになると思います。


富士山静岡空港の開港に伴い、
旅行がより身近になった


地元空港ができたことで自社企画の
地元発着ツアーの販売が可能に


新規就航する台湾線により、「会社帰りに旅行」も


仁川経由で広がるツアーの種類
人気はアンコールワット遺跡のツアー


 

滝口 団体旅行では今、定年を間近に控えた同期のグループが、ベトナムを訪問するツアーが増えているようです。今後はベトナムを含めたアジア地域への商品化と販促を強化していきたいです。

岸 台北線に期待しています。開港3年目になり、韓国、上海に興味のある人たちは一巡した感があります。このタイミングで新しい旅行先ができたのは嬉しいですね。また、今後は国内外を問わず、季節運航やチャーターでいいので新しい路線が増えてほしいと思います。

滝口 既存の路線でも、北海道は春夏の需要が特に高く、もっと座席数がほしいですよね。今は、便によっては大口の団体が同じ便に乗れないことがあります。また熊本線がなくなってしまったのも残念です。それだけに、私たち旅行会社も頑張って旅行需要を盛り上げて、路線の維持や増便に寄与しなければなりませんね。

岸 定番の札幌や沖縄でも、まだまだお客様が知らない新しい魅力があると思います。それらを積極的に紹介していきたいです。

秋山 開港前は地元からバスで羽田などの空港を使ったエスコートツアーがメインでしたが、開港後は空港集合・解散という形のツアーが増えました。高齢化も進んでいますし、再び、旅行会社がお客様が住む町から旅をエスコートするツアーを作りたいですね。



ほとんどの会社がお客様満足を高めるために多様な努力を行っています。おそらくほんの少しの違いがリピートに差となって表れているのではないかと改めて感じました。(さ)

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