7月号インデックス│特集│旅の力JATA NOWCave de JATA添乗員のための旅行医学バックナンバー
   旅の力
P2 【特集】

 キッザニア東京は年間約80万人、関西にあるキッザニア甲子園は年間約70万人が来場し、どちらもそのうち7割がリピーターのお客様です。この割合は東京の開業1年後から大きく変わっていません。
 キッザニアは、エンターテインメントに教育的側面が複合した「エデュテインメント」という考え方で職業の疑似体験ができる施設。日本では他に例のないものです。そのため競合となる同様の施設はなく、あえて言うなら子どもが費やす時間という面で携帯電話、ゲームなどでしょうか。そういう意味では競合他社がひしめく旅行業界とは勝手が違うかもしれません。
 現在、キッザニア東京には約60のパビリオンがあり、90種類以上の仕事があります。1日2回の完全入れ替え制で、1つの体験は30〜40分ほど。1回(5〜6時間)で体験できるのは5〜7種類ほどです。すべての職業を体験したくても単純計算で15回の来場が必要です。例えばラジオ局なら、DJやディレクターなど多様な職種があります。定期的に体験内容を見直し、番組内容が変われば、同じDJという職業でも体験内容が異なってきます。例え2度、3度と同じ職業を選んでも、違う体験ができることがリピートしていただける要因になっているのでしょう。




 リピートの仕組みのひとつに、仕事の対価として貰える施設内通貨「キッゾ」が挙げられます。この通貨は現実社会と同様に実際に施設内で買い物ができるうえ、施設内の銀行に預けておくことができます。次回来場したときに銀行から引き出して使用できるため、「貯金があるから行かなきゃ」という心理が働きます。
 また、仕事を体験するともらえる「お仕事カード」を発行しています。お仕事カードをたくさん集める子どもも多く、収集欲が刺激されるようですね。「全部そろえたよ!」と嬉しそうに話している子どもたちが多いんですよ。
 さらに、年に何回も来場していただくハードリピーターが増え始めた2009年から、会員制の「キッザニアクラブ東京」をスタートさせました。会員数は5000人〜6000人で、ハードリピーターの数とほぼ同数です。特典は、なんといっても会員しかできない仕事の体験です。例えば、新聞記者の仕事では、一般の方は記事を執筆するのみですが、会員なら自らが撮影した写真を使用できます。グループで仕事をする場合は会員のみがリーダーになれます。もちろんその仕事を複数回、経験していることが必要ですが、会員でなければ何度経験していても原則リーダーにはなれません。物理的な特典以上に、複数回体験すれば、さらなる特別な体験が待っている点に魅力を感じていただいているようです。

 




 キッザニアの対象年齢は3歳〜15歳ですが、来場客の中心は5歳〜10歳です。中学生になると来場頻度が減ってきます。そこで今、力を入れているのが中学生限定の「ジュニアキャンパス・ナイト」です。従来の仕事体験の内容を高度にし、将来の仕事について考える自己適正診断や、スポンサー企業から社員を派遣していただき、実際の仕事の話を聞くミニワークショップなどを行っています。これは教育旅行にも活用できるため、学校や旅行会社からの問い合わせも多くいただいています。そのほか、中学生に限りませんが、仕事体験をすべて英語で行う「E@Kアクティビティ」を導入。こちらは有料コースながら好評いただいています。
 仕事体験といっても切り口はさまざま。同じ施設、内容でも魅せ方、切り口を変えることで、いくつもの異なる体験ができます。常に進化、変化して、何度来ても同じようで同じではない。それが結果としてリピーターの方々に満足していただける要因なのかもしれません。



 仕事体験の内容はスポンサー企業と検討して決めますが、キッザニアがイニシアチブをとります。より本物に近い体験をしながらも、どういう内容なら子どもたちが楽しく、興味を持って参加できるかを考えて組み立てます。スポンサー企業が考える内容と、我々がおもしろい体験になると考えた内容が異なることもしばしばあります。そこは、子どもたちと直接触れ合っているキッザニアのノウハウを元に、すり合わせを行っていきます。子どもたちが今どんなことに興味を持っているのか、それを知り、ニーズに合わせたプログラムを提供できるのがキッザニアの強みですから。
 基本の体験内容などは(日本の)本部主導で行っていますが、ちょっとした体験メニューの変更やイベントごとなどは施設の現場発案のものが多いです。現場が一番実情をよくわかっていますからね。「お祭りをしよう」と現場が盛り上がり、お神輿まで購入していてびっくりしたこともあります。リピーターが多いので、現場では常に変化が必要です。それを一つひとつ本部で確認してから進めては、素早い対応ができません。とはいえ、キッザニアのブランドコンセプトにブレがないようにすることは重要です。それをコントロールする広報・マーケティング部としては大変ですが、ある程度現場に裁量を持たせて現場判断を大切にしています。


キッザニア

1996年、メキシコで誕生した子ども向け職業体験テーマパーク。2006年10月にメキシコ国外初となるキッザニア東京がららぽーと豊洲(東京都江東区)にオープン。2009年3月にキッザニア甲子園(兵庫県西宮市)がオープン。2012年現在、メキシコ、日本、韓国をはじめ世界7カ国に展開。







 当社では、社員が企画や販売だけでなくツアー責任者(添乗員)として同行し、旅行中の行程管理も行う「製・販・添乗一貫体制」を取っています。これは、JTBグループに集まったアンケートのご意見を元に、お客様が何を旅行会社に求め、何が不満なのかを徹底的に分析した結果、「ケアが足りない」などソフト面に不満が多いことがわかったためです。そこで、ツアー毎に責任者を決め、出発の1カ月前ぐらいから参加者にアンケートをとり、電話やメールで各自の要望を聞くようにしました。お客様のニーズは個々に異なり、食事ひとつをとっても「現地で今大人気のスナックが食べたい」「オープンカフェに行きたい」など要望はさまざま。満足度を高めるには、事前にニーズを聞きだすことが重要です。そして、その要望に沿えるように、従来のようなランドオペレーター任せの手配ではなく、ツアー責任者が経験と知識を元に行程をアレンジしています。そのため、当初の行程にはない観光地に行くことがありますし、お客様の要望にあったレストランで、メニューを自由に選んでいただくディナーやランチもあります。旅行中に判断する部分も多く、時にはより費用がかかる場合もありますが、そこを削っては満足度は上がりません。コストを抑えるより、お客様が満足して次にリピートしていただくほうが大きな収穫になります。
 スタッフは営業マンとして販売もこなします。年間の販売目標達成のため、電話セールスのほかに、ハガキやブログでお客様と交流を図るなどそれぞれ集客に工夫をしています。企画や販売に携わることでモチベーションが上がり、その熱意がお客様に伝わっているのではないのでしょうか。「○○さんが添乗するツアーに行きたい」というリピーターもいらっしゃいます。もちろん、お客様が望む地域に強い添乗員がほかにいれば、「○○が先日行ってきましたのでご紹介します」と会社全体で精度の高い情報とおもてなしの提供に努めています。
 平均ツアー料金は約83万円。リピーターでも一切割引をすることはありません。それでありながら6割もの方にリピートしていいただけているのは、お客様の満足度を追及したソフト面の充実さだと自負しています。

 

ツアー責任者(添乗員)がツアー参加者をいちからサポート
45日前からツアー責任者を決定し、出発前から参加者をサポート。「どのようなところを重点的に見たいか、食事は何が楽しみか」など出発前にアンケートをとり、一人ひとりの要望を電話やメールで相談。その回数は平均5?6回に及ぶ。お客様に合わせたカスタマイズも。

毎回ツアーを改善するスピーディーな対応
添乗員からのツアーの改善提案は即座に検討し、対応。使用したホテルの見晴らしが10階以上の方がよい場合、次の出発日から10階以上の部屋を予約するなど。現地ガイドやドライバーの資質も満足度を上げる重要要素であることから、特にバラつきがある地域は現地に出向いて、認定ガイドを直接選定している。

最新の情報を常に共有し、ノウハウをお客様に提供
一番の顧客層であるアクティブシニア(60代)はネットで情報を収集することから、ブログやフェイスブックで常に新しい情報を発信。参加者にも引き続き見てもらえるほか、新たなデスティネーションに興味を持ってもらう効果も期待できる。

 



 設立当初から20?30代後半の女性をターゲットにアジアンリゾートを開拓。女性向けのリゾート地域を中心に業務の90%が手配旅行です。
 ターゲット層が女性のため、ウェブサイトや広告には、旅の非日常性や特別感をイメージできるような工夫をしています。広告を掲載する場合は、行程や料金表が目立つ旅行雑誌ではなく、写真が大きく非日常性が演出でき、女性心をくすぐるビジュアル重視の女性雑誌やウェブ、例えばクレアトラベラー(文藝春秋)やマキアオンライン(集英社)などに掲載してきました。写真はきれいな観光地だけでなく、ヴィラホテルのビーチでカクテルを飲んでいる写真など、その場所に実際に行って楽しんでいることをイメージできる写真を選択しています。そのイメージが旅への入り口だと思っていますから。
 旅行に関しては、一人ひとりの細かい要望を聞き、その人に合わせた旅を企画しています。飛行機の手配だと、マイレージの登録はもちろん、好みの座席の事前アサイン。ホテルだと、例えばバスタブの深さを気にされるお客様には、その要望が叶えられるホテルを選択しています。リピーターの方は、旅履歴の情報を細かく残しているため、そのデータを参考に手配します。このような細かいリクエストは、現地のランドオペレータ?が仲介に入ってしまうと正確に伝わらないことがあります。そのため、直接現地のホテルに手配することも多いですね。また、ホテルの人から最新情報をいち早くキャッチできるのもメリットです。
 ラグジュアリーホテルの手配を得意とする当社は、ホテルの利用方法をより詳しくお伝えすることもあります。ホテルにあるいろいろな施設を上手く活用しないのはもったいない。スタッフもできる限り視察をして、生の声をお客様に反映しています。その結果か、お客様の中には旅行後、お土産を持って来店してくれる方もいらっしゃいますし、現地から「バスルームからの夕日がキレイで、とにかくお礼が言いたくて」など電話をいただくこともありました。
 ターゲット層を絞ることで、リピーターの方が友達を紹介してくれることも当社の強みです。友達であれば感性、価値観が似ていることが多く、「○○さんから旅の話を聞いて」といった問合せもあります。口コミは大きなセールス手段ですから、お客様が再度利用したくなるようなきめ細かいサービスを心がけています。

 

直接手配で要望を確実に伝える
細かい要望を直接ホテルなどに伝えることによって情報が正確に伝わり、確実に応じてもらえる。予約センターでNGだった要望も直接ホテルにお願いをするとOKになる場合がある。
また、記念日などのサプライズも演出しやくなる。

ブランドイメージの保持
リゾートやホテルにこだわり、価格競争をせずに特別感がある旅を提供。広告は媒体を厳選し、誌面のイメージに合わせ、料金などはほとんど載せない。写真もクォリティを重視する。時には雑誌の編集者と特集や記事に関してミーティングを行うこともある。

旅履歴管理
前回のツアーでリクエストがあったことは、次のツアーでも反映させる。旅の履歴で過去の旅行時期を見ると、1年の中でいつの時期に長期休暇が取りやすいかわかる。また、毎年行っている方には、過去の渡航先を見て、例えば「5年前に行った○○方面がそろそろよいのでは?」など次の旅の提案に役立てている。

 

 海外旅行にはいつも夫婦で行きます。一番好きなのはハワイですが、ハワイは情報が多いため、自分で手配をしています。しかし、初めて行くところは、パッケージツアーが頼りです。イタリア、フランス、スイス、北京、タイ、エジプトに行きました。一度ツアーに参加するとパンフレットが送られてくるようになるので、その後はそこから探したり、新聞広告を見たりします。インターネットで検索もしますが、以前、北京のツアーでガイドに1時間待ちぼうけにあわされたことから、ネットのツアーには全体的に良い印象がありません。
 旅行を選ぶときは、会社名やブランドではなく、行程のゆとりが決め手。行程表の行間から、美術館には何時間いられるのかなどを読み取り、できるだけゆったりしたコースを選びます。気が付くと、なぜかクラブツーリズムをよく利用しています。これも何かのご縁でしょうか。実際に、参加したときの印象もいいですよ。パリでバスが来ないトラブルがあった時、添乗員とガイドさんの機転で地下鉄で移動しました。実に手際が良く、かえって面白い体験ができました。
 逆に、カナダの静かなレストランで食事をしていたら、別の日本人の団体と一緒で満員となり、その雰囲気を楽しめなかったことがあります。それ以来、その旅行会社は避けてしまいます。
 友人には「とにかく安く」や「この会社、一筋」という人がいますが、私たちの場合、旅行会社を選ぶ基準はあくまでも行程のゆとりとコースの中身です。むしろ、過去の経験から意識的に避ける旅行会社があるのが正直なところです。

 
定年退職後、夫婦で毎年、海外旅行へ。
年1?2回程度の頻度で、個人旅行や旅行会社の
パッケージツアーを楽しむ。
よく行くのはハワイとヨーロッパ。

  旅の力

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