◎原因はトイレ、水分の我慢
　飛行機内の冷えや乾燥、トイレを長時間我慢することが原因で急性膀胱炎を起こすことがあります。機内は湿度が低いため、体表から水分が奪われ、結果として尿量が減り、自浄作用が低下するためです。
　また、尿が近いからといって水分の摂取をひかえた場合も、血栓症とともに膀胱炎の危険が増えます。のどが渇いたと感じたら、水分が不足しているシグナルです。尿の色と量、皮膚の張りや乾燥の具合も渇きの目安。渇きに応じて摂取しましょう。
◎対症法は飲んで出す
　膀胱炎は一般的に女性に多い病気です。排尿時、特に排尿終わり際の痛みや残尿感、尿の混濁といった兆候が見られたら、短時間に350〜500ml程度の水分を取り、排尿量を増やして細菌を洗い流します。
　普段から膀胱炎を繰り返す人は抗生物質を携行しましょう。市販薬の痛み止めで、一時的に症状を和らげることもできます。

◎対策1　事前準備
　頻尿や尿漏れが心配なら、出発3カ月ぐらい前からの骨盤底筋体操と、医師からの内服薬で準備することをお勧めします。安心のために尿漏れパッドを用意し、機内では洗面所に近い席を取り、旅先でもトイレの場所を確認しておきましょう。
◎対策2　体調を知る
　簡単な認知療法ですが、「何時にどのくらいの水分を取ったか、あるいは尿を出したか」と自分の尿の具合を自覚すると、安心につながります。目安として、体の水分が満たされている状態で350ml飲むと約1〜2時間のうちに約200mlが尿としてたまります。
◎対策3　不必要な尿意を減らす
　極度に辛いものや香辛料などの刺激物、コーヒー、アルコールは膀胱知覚を刺激し、尿意を催しやすくなりますので控えましょう。また下半身が急に冷えると、膀胱平滑筋の収縮を促して切迫性の尿意を誘発します。機内に上着を1枚持ち込んだり、ブランケットを借りて、下半身を冷やしすぎないようにしましょう。

◎悪化すると尿閉を起こすことも
　持病で前立腺疾患を持っている人は、風邪薬、下痢止め、睡眠薬、酔い止めなどの服用や普段以上の飲酒、機内での長時間座位による前立腺周囲のうっ血充血、排尿の我慢、便秘が危険因子になって、排尿機能を低下させ、急な尿閉を起こすことがあります。
　前立腺肥大症のある人が、機内で風邪薬を飲み、さらに下痢止めを服用し、旅行気分でアルコールを飲んだために、尿が出なくなる＝尿閉で苦しむ、ということが起こりえます。
◎予防策は軽い運動
　薬の服用には十分注意することと、うっ血、充血を避けるためには、座位での足踏み体操や足首体操などロングフライト血栓症（エコノミークラス症候群）の予防も有効です。
◎セルフカテーテルがあれば安心
　尿閉が起きた場合、導尿のためのカテーテルで対処できます。カテーテルは機内に備えがありますが、操作そのものは医師、看護師（医師の指示のもとで）か、ご自身しかできません。心配な人は、泌尿器科医に相談してセルフカテーテルと消毒・潤滑油といった物品の用意をし、自己導尿の練習をしておくと安心です。
　慢性的に排尿障害があり膀胱留置カテーテルが入っているためにご旅行を我慢している人も、これを習得しておけば、留置カテーテルから解放されて気兼ねなく旅行に出かけられます。

参考：セルフカテーテルについて　http://www.mp-hn.com/selfcath.html

　旅行中にたまたま尿管に落ちてきて、いままで何でもなかった石が、急に痛み出すことがあります。右か左に偏った腰痛が急に起こるのが特徴です。早めに痛み止めを飲む、あるいは腎兪（じんゆ）というつぼを1〜2分間押す、などが役立ちます。