ニューデスティネーション

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美しい海に囲まれたシチリア(リパリ島)
© イタリア政府観光局 Fototeca ENIT

シチリア(Sicilia)

  • 分野:ニューディスティネーション
  • 国名:イタリア
  • 期間:4〜10月

企画概要

第1フェーズではエトナ山やエオリア諸島など、豊かな自然や火山に着目した企画案が提出されたシチリア島だが、南イタリアを組み合わせたコースがほとんどである。そこで今回、多様性に富んだシチリアの魅力を伝えるための「10のキーワード」を引き出し、更なる深堀を図る。

企画内容詳細

ノートノートにある後期バロック様式の建造物
© イタリア政府観光局 Fototeca ENIT

シチリア企画の現状

エトナ山やエオリア諸島など、第1フェーズで豊かな自然や火山に着目した企画案が提出されたシチリア島。それと前後して島東南部にあるヴァル・ディ・ノートのプロモーションも実施された。そうした成果も見られ、エトナ山に登るツアーも増えつつある。

さらに、エトナ周遊鉄道やアグリツーリズモといったエトナ周辺の観光ポイントや、ヴァル・ディ・ノートの後期バロック様式の町々を1〜2ヶ所取り入れたコース、ごく一部だがエオリア諸島を組み込んだコースも造成された。

とは言え、実際に商品化されたものはシチリアと南イタリアを組み合わせたコースがほとんどで、世界遺産のアルベロベッロ(プーリア)やマテーラ(バジリカータ)、さらにアマルフィ海岸、ナポリまでを8〜10日間で組み込むため、日程的な面からも新たな素材を組み込むのが難しいという現状もある。しかもシチリア島内においては、そのほとんどが州都のパレルモ、アグリジェント(世界遺産)、ピアッツァ・アルメリーナ(世界遺産)、タオルミーナの4ヶ所に集中する結果となった。

そこで第2フェーズでは、多様性に富んだシチリアをより魅力的に伝えるため「10のキーワード」を引き出し、更なる深堀を図ってみたい。

導き出された「10のキーワード」

世界最多となる50の「世界遺産」を有するイタリア。シチリア島にはうちの6つが集まっており、その一つの「エトナ山」は、富士山と同期の世界遺産である。このエトナ山、アグリジェント、ピアッツァ・アルメリーナ、「ヴァル・ディ・ノートの後期バロック様式の町々」の一部については、だいぶ商品化にこぎつけているが、2005年にシラクサと一緒に登録されたパンタリカはほとんど知られておらず、穴場的な世界遺産と言える。

大階段マヨルカ焼きで飾られたカルタジローネの大階段
© イタリア政府観光局 Fototeca ENIT

「異民族の支配による文化の多様性」も、シチリア観光において注目しておきたいポイントの一つである。
ギリシャやカルタゴからイスラム、ノルマンへと次々に支配者を変えてきたシチリア島では、島内の各所で各時代の名残りがみられる。特にアグリジェントやセジェスタのような「古代ギリシャ文明全盛期の遺跡」が多い。

フェニキア人によって築かれた州都パレルモには、古代からローマ帝国時代に至るまでの遺跡はほとんど残っていないが、アラブ様式を融合させ独特の文化を創り出した「文明のるつぼ」である。カルタジローネ(世界遺産「ヴァル・ディ・ノートの後期バロック様式の町々」)のマヨルカ焼きは、スペイン人によってもたらされた。

シチリアはまた、フランシス・フォード・コッポラ監督の不朽の名作『ゴッドファーザー』 や、イタリア映画界の巨匠ジュゼッペ・トルナトーレ監督の『ニューシネマ・パラダイス』といった作品の「ロケ地」としても知られる島である。後者のトルナトーレ監督は、作品の舞台にもなったこのシチリアの出身である。

いずれも名作揃いとはいえ、時代的な背景や上映時期もあり若年層への訴求は少し難があるかも知れないが、40代後半からシニア層への訴求は可能である。特にイタリア映画マニアには、たまらないデスティネーションである。その他、郷土料理やワインなど「優れた食材に支えられるシチリアの食事」や「変化に富んだ景色」「シチリア手配上の特性」もポイントとして挙げられる(別枠参照)。

個性的な観光素材が揃うシチリアでは、ワイナリー訪問やアグリツーリズモ、 料理教室などのアレンジも可。とりわけ海の美しさは大きな訴求要素であることから、海岸沿いのドライブや小休憩を取りつつ、多種多様な時代、テーマ、景観を組み合わす事ができれば、リピーター層にも対応可能な、かつ満足度の高い商品企画が期待できる。

ポイント

シチリアをより魅力的に伝えるための「10のキーワード」
点在する世界遺産
異民族支配による文化の多様性
古代ギリシャ文明全盛期の遺跡
文明のるつぼパレルモ
エトナ山 (富士山と同期の世界遺産)
後期バロック建築(世界遺産「ヴァル・ディ・ノートの後期バロック様式の町々」)
映画のロケ地としてのシチリア
優れた食材に支えられるシチリアの食事
変化に富んだ景色
シチリア手配上の特性
企画可能な期間 4〜10月
アクセス
シチリア地図
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製作:Team EUROPE ニューデスティネーション部会
シチリアの特性
世界遺産
アグリジェントの考古学地区
ほぼ完全な形をとどめている「コンコルディア神殿」をはじめ、紀元前500年から400年の大ギリシャ時代に建築された大小7つの神殿遺跡が残る。
 
シラクサとパンタリカ
シラクサは、古代ギリシャ時代に最も栄えたポリスの一つ。考古学地区には紀元前3世紀頃に建造された「ギリシャ劇場」などが残る。紀元前13世紀から紀元前7世紀頃の岸壁墓地遺跡「パンタリカ」は、ほとんど知られていない世界遺産の一つである。
 
ピアッツァ・アルメリーナ / ヴィッラ・ロマーナ・デル・カサーレ
古代ローマ時代、アフリカ方面への遠征や赴任から帰還するローマ政権上層部の別荘として建てられた保養所跡。ビキニ姿の女性など、保存状態の良いモザイクの床が有名である。
 
ヴァル・ディ・ノートの後期バロック様式の町々
後期バロック時期に再建された町々。カターニア、カルタジローネ、ラグーサ、モディカ、ノート、ミリテッロ・イン・ヴァル・ディ・カターニア、シクリ、パラッツォーロ・アクレイデの8つから成る。町の規模や見どころは、それぞれで異なる。
 
エオリア諸島
メッシーナの北側に点在する8つの島からなる群島。70万年前の噴火によって生まれ、現在もヴルカーノ島、ストロンボリ島は火山活動が盛んである。
 
エトナ山
シチリア島のシンボル。ヨーロッパ最大の活火山。

異民族の支配による文化の多様性
古代から地中海における戦略上の重要拠点となっていたシチリア島。時代によってギリシャ、カルタゴ、ローマ帝国、東ローマ帝国(ビザンチン)、イスラム、ノルマン、フランス、スペインと支配者を変えてきた。そのため、この小さな島の中にそれぞれの時代の文化が残り、短期の滞在でも多様な文化遺産に触れることができる。

特に古代ギリシャ時代の遺跡は島内各所で見られ、ビザンチン以降の遺跡はパレルモに数多く残されている。カルタジローネの有名な陶器は、スペインからもたらされたマヨルカ焼きで、城塞建築にはフランスの影響が多く見受けられる。

古代ギリシャ時代の遺跡
アグリジェント
上記「世界遺産」を参照
 
シラクサ
上記「世界遺産」を参照
 
セジェスタ
パレルモから西に車で約1時間の山中にある遺跡。劇場と神殿が、谷をはさんで残されている。
 
セリヌンテ
シチリアの西端、マルサラから車で1時間程の美しい海岸沿いに残る遺跡群。
 
タオルミーナ
シチリア随一の観光地として知られる町。このタオルミーナを象徴する「ギリシャ劇場」からの眺めは素晴らしい。
 
その他
ソルント、パラッツォーロ・アクレイデにもギリシャ遺跡が残る。

文明のるつぼパレルモ
州都パレルモはフェニキア人によって築かれたが、古代からローマ帝国時代に至るまで、遺跡はほとんど残っていない。その後、東ローマ帝国、イスラムと征服者が変わったが、11世紀初頭にノルマン人がイスラム勢力を駆逐。ノルマン・シチリア王国の首都を起こし繁栄した。
ノルマン王朝は、東ローマ時代のビザンチン様式とイスラム支配によるアラブ様式を融合させ独特の文化を創り出した。アラブ・ノルマン様式の特徴と、市内に残る。代表的な建造物は以下の通り。
 
金を多用した豪華で緻密なモザイク
ビザンチン様式を継承したもの ◇ 代表的な建造物:ノルマン王宮内のパラティーナ礼拝堂、マルトラーナ教会。郊外モンレアーレのドゥオモ
 
赤い半円形のドーム
イスラム寺院の名残り ◇ 代表的な建造物:サン・カタルド教会、サン・ジョヴァンニ・デッリ・エレミティ教会
 
広大な中庭を囲む回廊
◇ 代表的な建造物:ノルマン王宮でも見られるが、郊外のモンレアーレのドゥオモに隣接する中庭が見ごとである。
 
幾何学模様
◇ 代表的な建造物:本家のアラベスク程ではないが、カテドラーレ、ノルマン王宮でも見られる。

エトナ山 〜 エトナがシチリアにもたらしたもの
シチリア東海岸の町のどこからでも望めるエトナ山は、まさにシチリアの象徴である。
 
イタリアの3大活火山では唯一の女性名詞「母なるエトナ山」
 
火山灰が作り出した、肥沃な農地と豊富な水資源。麓ではオレンジ、ブドウ、野菜の生産が盛んに行われている。また近年は、豊かな農産物を利用したアグリツーリズモが地元でも人気である。
 
独特の自然景観を織り成す「アルカンターラ峡谷」では、清涼な水と固まった溶岩による渓谷美が見られる。山頂近くの荒涼とした景色は、炎を上げるエトナ山の噴火口とともに『スターウォーズ・エピソード3』のロケでも使われた。
 
時に大きな破壊力をもつ大噴火の脅威。2002年の噴火以降、火口近くまでの登山が禁止された。2011年にも規模が大きめの噴火が起きている。

後期バロック建築
「ヴァル・ディ・ノートの後期バロック様式の町々」として世界遺産に登録された町々。1,669年にエトナ山が大噴火を起こし、カターニア及び近郊の町々で1万人の死者を出す惨事となった。1.693年には大地震も発生し町が壊滅。18世紀に入り各都市で復興が始まり、当時の建築様式であったバロック様式の町並みが、各所で見られるようになった。
 
 「ヴァル・ディ・ノートの後期バロック様式の町々」の特徴と見どころ》
カターニア
シチリア第2の都市。後期バロック建築のみならず、ベッリーニの故郷としても知られ見どころも多い。ドゥオモ広場から至近の魚市場もお勧めである。
 
カルタジローネ
スペイン人によって伝えられた「マヨルカ焼き」の陶器で有名である。この陶器で飾られた大階段「ラ・スカラ」は、一見の価値あり。
 
ラグーサ
渓谷をはさんで旧市街のラグーサ・イブラと新市街(とはいえ18世紀以降)がある。丘の町なので、年配者には少しきついが絶景が自慢。
 
モディカ
ラグーサ同様、丘の上に築かれた町。イタリア3大チョコレートの一つ「モディカ・チョコレート」でも有名。スペイン統治時代に持ち込まれた。現代のチョコレートとは異なり、カカオ豆と砂糖の素朴な味わいが特徴である。
 
ノート
緩やかな斜面と区画整理された広い道路があるため、年配の方でも観光し易い。5月の「インフィオラータ」が有名である。
 
その他
シクリ、ミリテッロ・イン・ヴァル・ディ・カターニア、パラッツォーロ・アクレイデがある。

映画のロケ地としてのシチリア
版権の関係もありパンフレットで謳うのは難しいかも知れないが、ツアーのサプライズポイントとして押さえておくと便利。
 
『ゴッドファーザー』
モッタ・カモストラ、フォルツァ・ダグロ、サヴォカ、フィューメフレッド・ディ・シチリアのデッリ・スキャーヴィ城(全てタオルミーナ近郊)。マッシモ劇場、ヴィラ・マルフィターノ(パレルモ)。
 
『ニューシネマ・パラダイス』
パラッツォ・アドリアーノは、アグリジェントとパレルモの中間の山中に位置する静かな村。村の中心のウンベルト1世広場は、映画を観た人なら一目でわかるはず。映画のヒットは村おこしにもつながったようで、小さな博物館もある。一方、チェファルは映画のヒット前から風光明美な保養地として有名で、海岸や駅などが使われた。
 
『グラン・ブルー』
タオルミーナの「カポ・タオルミーナ」と「サン・ドメニコ・パレス」。どちらも宿泊しないと見られない。
 
『マレーナ』
シラクサ、ノート、シクリ。
 
『イル・ポスティーノ』
エオリア諸島のサリーナ島など。

優れた食材に支えられるシチリアの食事
回りを海に囲まれ、火山灰による肥沃な大地に恵まれたシチリアは、食材の宝庫である。素材を生かしたシンプルな味付けが多く、日本人の口に良く合う。
 
魚介類
国産品に比べると小粒で濃厚さに欠けるが、ウニはイタリアでもパスタと合えるなどして食されている。タオルミーナやパレルモなど、観光客の多い場所の方がアレンジし易い。メカジキはシチリアでも良く食されている魚の一つで、魚屋の店先に剣先のついた頭が飾られているのを目にする。大型のハタの一種トランチア・ディ・チェルニアは、シチリアでは高級魚。その他、イワシ、マグロ、タコ、イカといった新鮮な魚介類が豊富である。
 
農産物
シチリアは、レモンやオレンジ、アーモンドの産地として知られ、エトナ山麓やアグリジェント近郊に多く見られる。ナスはよく使われる食材の一つで、玉ねぎやニンニクなどもイタリアのブランド産地である。日本人にあまり馴染みのないフェンネル(伊語:フィノッキオ)の茎も、よく使われる。エオリア諸島のケッパーと、エトナ山麓ブロンテのピスタチオも有名である。
 
ワイン
石灰質の土壌がブドウ作りに適しており、日差しも強いのでしっかりとしたワインが造られている。最高品質の証しである「D.O.C.G.」のワインは、ラグーサの西にあるチェラスオーロ・ディ・ヴィットーリアのみで産する。
それに次ぐ「D.O.C.」の産地は、パレルモ近郊のアルカモ、そこから少し南に行ったコンテッサ・エンテッリーナ、エトナとリパリ島(エオリア諸島)のマルヴィジア・デッレ・リパリ。
個性的な観光素材
(一例)
1. ワイナリー訪問
エトナ山の周辺や島内は、ワインの産地としても近年注目を集めている。約3時間半程度でワイナリーを訪問し、試飲や購入が可能。ツアーに組み込むか、オプショナルツアーとして販売することもできる。
 
2. アグリツーリズモ
「気軽に健康的な田舎風の暮らしが体験ができ、地産地消の農作物を使った食事を食べる」 というスタイルが定着してきた。アグリツーリズモに宿泊し、地元特産のシチリア料理を満喫することもできる。
 
3. 料理教室
太陽をたくさん浴びて育った野菜、獲れたての魚介類など、シチリアの新鮮食材を用いての料理教室。イタリア版のミシェランシェフによる料理教室から、レストランとは異なる素朴な家庭の味、地元の人の優しい素顔に触れることができる教室まで、多彩な料理教室の手配が可能。
 
4. 周遊鉄道
エトナ山をぐるっと取り囲むように走る、全長約110キロの鉄道。リポストとカターニア間を結ぶ。車窓からはエトナ火山の雄大な姿が見られる。列車の時刻や乗車時刻については要確認。
手配上の特性
一つのテーマだけに偏らないよう、多種多様な時代、テーマ、景観を組み合わす事ができれば満足度もアップ。
とにかく海がきれいなので、行程中どこかで海岸沿いのドライブや小休憩などがお勧めである。
パレルモやカターニアの下町も以前に比べると治安が良くなってきたが、夜の一人歩きはあまりお勧めできない。
エトナ山は標高3,000メートル近くまで到達できるが、麓との気温差が20℃近くあるので服装には注意が必要。
注意事項
交通関連
シチリアの地方道路は道幅の狭い山岳道路が多く、大型バスの通行が困難なところもある。要事前確認。
交通機関の時刻表などはシーズン毎で変わる事が多く、間際になるまで情報が入らない場合もある。

食事・宿泊関連
ホテル数が多く、5ッ星も数多く存在するのはタオルミーナ。パレルモも比較的苦労しない。
ヴァル・ディ・ノートなど、カターニアを除き小さな町が多いため、小さなホテルが多く数も限定される。ラグーサには5ッ星ホテルもあるが、早めの予約が必要。
暖かなイメージから冬に商品設定される事も多いが、最も観光客の多いタオルミーナは11月から3月中旬までクローズするホテルが多い。特に旧市街の高級ホテルは要注意。
アグリツーリズモは至る所にあるが、宿泊施設として使えるところは少ないため、あくまでもランチ場所のバリエーションの一つとして考えた方が良い。
地産地消の食事が基本なので、事前のメニュー取り寄せはほぼ不可能。また食事に要する時間も、1.5時間は見ておいた方が無難。
関連・参考サイト http://www.raileurope.jp (レイルヨーロッパ・ジャパン)
http://www.regione.sicilia.it/turismo (シチリア州観光局)
現地コンタクト シチリア州観光局
E-mail:urp.dipturismo@regione.sicilia.it
問い合わせ先 イタリア政府観光局(ENIT)
コックス・アンド・キングス・ジャパン
G2 Travel Japan
クオニイ グループ トラベル エキスパート
ミキ・ツーリスト
トラベルコーポレーション・ジャパン
ツムラーレ コーポレーション
更新日 2015年2月27日