チームヨーロッパレポート

パッケージツアーに消費者を呼び戻す

2014年6月10日

ミキ・ツーリスト 執行役員
今野淳子 氏

Team EUROPEフェーズ2から新設された素材研究部会は、ヨーロッパの魅力を素材の観点から研究・調査するだけでなく、既存部会との連携の役割も担います。部会長に就任したミキ・ツーリスト執行役員の今野淳子氏に、ヨーロッパ商品の現状や、新部会にかける意気込みなどをお聞きしました。



日々の業務でパッケージ離れを実感

 最近、旅行会社からヨーロッパのグループツアーにおいて、集客が思うように伸びないという話を耳にします。ところが、航空会社に聞くと、座席は埋まっている。これはつまり、消費者が旅行会社のパッケージツアーを買わず、自力で旅行しているということです。こうしたパッケージ離れについては、私自身もここ1年程、日々の業務の中で強く感じるようになりました。特に、かつてのように値段を下げれば売れる傾向は、明らかに見られなくなってきました。一方、こうした中で奮闘しているのがベストシーズンの高額商品です。

 これは何を意味するのか。それは、一生に一度しか訪れないかもしれないヨーロッパなら、お金を出しても価値のある旅をしたいと考える人が多いということです。過去を振り返れば、旅行業界は、9.11や東日本大震災などに際し、旅行者減少の危機を「旅行価格を下げる」という形で乗り切ってきました。これで海外旅行の裾野を広げ、多くの人にヨーロッパを訪問していただく機会を提供できたことは確かです。ただし、マイナスの効果も生みました。旅行会社の提供するツアーで期待通りの満足感を得られず、より高い自由度を求め、パッケージツアーから離れるお客様が現れるようになってしまったのです。こうした消費者の動きを後押ししたのが、航空券やホテルをより気軽に安価にインターネットで購入できる仕組みです。

ヨーロッパの価値を見直す最後のチャンス

 こうした状況に皆が疲れてしまっているというのが現状ではないでしょうか。旅行業界も消費者もハッピーではありません。こうした中、Team EUROPEが発足、素材研究部会が立ち上がり、ビジネス上ではライバル関係にもなり得るメンバーも一堂に会し、素材を調査・研究する機会を持てたことは、非常に意味のあることだと思います。

 本来ヨーロッパは、世界の中でも付加価値を生み出しやすいデスティネーションです。同時に、日本に紹介し切れていない価値も多いと感じています。ヨーロッパ各地に埋もれた素材を見直し、質の高いヨーロッパツアーを企画して、消費者をパッケージツアーに呼び戻すタイミングとしては、今がラストミニッツかもしれません。


3つの部会をつなぐ横串的存在に

 部会ではまず、日本人の多くが興味を持つ「食」に注目したいと考えています。食は旅に欠かせない要素ですが、一方で最もコストカットしやすい部分でもあります。食は旅の記憶に残りやすいだけに、多くのツアーで消費者の期待に応え損ねてきたと言えるかもしれません。「半期を通じて同じ食事を提供する」「全員で食べる」「全食付きがベスト」という従来の概念は、そろそろ見直してもいいのではないでしょうか。ツアーに自由度を求める消費者は増えています。自由度、付加価値ともに高いヨーロッパツアーの実現に、食が果たす役割は小さくないでしょう。

 ただし、素材だけでは商品にはなりません。フェーズ1から活動を続けているデスティネーション部会、オフ・シーズン対策部会という2つの部会との連携を図り、研究した素材を活かしてもらうことも非常に重要になります。素材研究部会立ち上げの背景には、Team EUROPEの各部会をつなぐ横串的役割もあると認識しています。魅力的なヨーロッパ商品開発につながるよう、部会同士の良好な関係構築にも注力していきたいと思っています。

プロフィール

今野淳子氏(ミキ・ツーリスト 執行役員)
大学卒業後、91年、ミキ・ツーリスト入社。主として素材開発・仕入れ業務に従事。1年間、ロンドン支店に赴任。2011年、営業部門に異動、シリーズパッケージを担当。現在、全国のシリーズパッケージの統括を担う。2013年より執行役員。