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社会貢献委員会セミナー報告
「企業成長に不可欠なCSR活動〜CSRコミュニケーションで消費者(社会)を動かす〜」

2016年12月16日

セミナー概要

日   時 2016年11月2日(水)  14:30-16:00
場   所 JATA研修室
講   師 株式会社博報堂 川廷昌弘氏(広報室CSRグループ推進担当部長)
参 加 者 会員会社の社員など23名

冒頭、川廷氏の問いかけに、参加者の多くが「CSRの伝え方」を今回のセミナーの受講ポイントであると挙手されました。このことから、2003年頃、CSRがブームとなり、日本企業が本格的に取り組み始めた一方で、未だCSRを「利益を得てから対応するもの」と捉える経営者等も多く、社内の意識改革がCSRを担当する方の共通課題であることが伺えました。

CSRの現在

貧困問題、環境問題などあらゆる社会課題があふれる昨今において、資本力のある企業のあり方、また事業のなかで企業が社会責任をどう考えているかが、問われています。
川廷氏は、その社会責任の精神は元々日本企業にあった理念であり、全く新しい概念ではないと、渋沢栄一氏の「道徳経済合一説」を紹介されました。それは、真の富を得るには道徳が必要であり、社会全体に対して責任を持たなければ長続きしない、というものです。
いま社会貢献活動だけでなく、社会的に責任ある経営が、市場において支持、評価されており、社会課題をリスクやコストと考えるのではなく、新しい事業の可能性を提示する「投資」の対象とみるようになってきています。

世界の優先課題(SDGs)を通して考える、企業成長とCSR

SDGs(Sustainable Development Goals 持続可能な開発目標)は、自然生態系と人間社会の持続的な繁栄に向けた国際目標です。これまで、国連において環境保全と社会発展(開発)の分野は、各々異なる文脈で活動していましたが、それを束ね、共に推進していくための行動計画がSDGsであり、17の目標から成ります。
なぜ、企業がCSRに取り組むにあたり、SDGsの視点が必要なのか、川廷氏は3つのポイントをあげられました。

  • ① 自社が取り組んでいること、取り組めていないことを棚卸しするチェックリストとしての役割
  • ② 国連が設定した優先課題という点で、業務の価値を高め、持ち場の意義を高める効果
  • ③ 社会課題をフィールドとするNGOとのパートナーシップを開拓する等、ビジネス機会の創発、事業開発のヒント

また、日本がSDGsを採択する際、政府の方針として、「貧困撲滅や気候変動への積極的関与とともにGPIFがPRIに署名し持続可能な開発の実現に貢献する」と安倍総理は表明されました。これは、世界最大の年金基金であるGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)がESG投資*を推進するPRI(国連責任投資原則)に署名するという点において、短期の利益追求だけではなく、長期でしっかりビジョンをもち、持続可能な社会づくりに貢献するような企業に投資をしていく、という日本の姿勢の表れであり、世界にもたらす影響は大きいとされており、グローバルな企業成長を考える上で、ESG投資への対応は見過ごせない時代となってきています。

  • * Environment(環境) Social(社会) Governance(企業統治)に、配慮している企業を重視、選別して行う投資〔持続可能な投資〕

取組み事例

博報堂DYグループのCSR基本構想「生活者と社会の幸せを生み、つなげ、ともに拡げていくこと」は、「生活者発想」「パートナー主義」というポリシーのもと推進されています。

  • 1) SDGsの日本語訳の統一
    SDGsは、日本でも様々な企業・NPO等が関わり、その17の目標について各々の解釈で日本語訳を発出していました。そこで、SDGsを主流化するため、市民が何かをしなければいけないと思ってもらえるよう、国連広報センターへのクリエイティブ・ボランティアとして簡潔な言葉とともにわかりやすいアイコンから日本語訳の統一を手がけられました。
  • 2) 生産者と生活者との共創コミュニケーション
    創り手(生産者・企業)だけでなく使い手(生活者・消費者)が共に同じ方向(課題解決)を向き、一つ先のことを考えていくプロジェクトとして、「OPEN 2030 PROJECT」が2016年に立ち上げられました。
    この中の一つに、FSCやMSC等の国際認証の認知度をあげることで、SDGsの目標12番「持続可能な生産と消費の確保」を具体化する取り組みがあります。企業が違法伐採に関与しない木材資源や、海の資源を守って獲られた海産物資源を調達するにもコスト・負担がかかり、また消費者には、その企業の努力が伝わらず、認証購買が低い状況であります。そんな現状から消費者に国際認証を理解してもらい、認証マークの付いた商品を購入するといった社会変革への参加を高め、また生産者側においても認証企業を増やしていく運動です。
  • 3) 「山さ、ございん」プロジェクト、「海さ、ございん」プロジェクト
    「山さ、ございん」は、宮城県地方の言葉で「山へいらっしゃい」という意味で、南三陸杉を育て、活用する林業の振興を地域の魅力発信を通して進めるプロジェクトです。
    南三陸の平地のほとんどが、津波でダメージを受けたため、海の資源の復興ばかりに目が向けられていましたが、実は南三陸の8割が山。そこで、この豊かな木材資源を活かすために、国際森林認証FSCの取得に向けた支援から、デザインに優れ、高品質な製品を作る担い手を育成するデザイン塾を実施する等、地域の人たちが地域のために立ち上がるサポートをされています。そして、山に続いて、海では国内初の国際養殖場認証ASCの取得も支援され、「海さ、ございん」プロジェクトも立ち上げ、山と海を基点に、南三陸全体の復興と共に地域創生につなぐブランディングやコミュニケーションの道筋をつけていきます。

今回のセミナーでお話がありました持続可能な社会へ向けて、消費者を巻き込み、行動変容を促す点は、旅行業のCSRを考える上でも、欠かせない視点であり、最大限に活用できる見方であります。今回お話いただきました川廷氏は、積極的にCSRを企業成長の機会として取り組まれていらっしゃり、最前線でCSRに携わられる方の生の声であり、参考になるお話を聞けたセミナーとなりました。


講演される講師の川廷氏

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