会報誌「じゃたこみ」 【訪日】水際対策のさらなる緩和を政府に要請
日本国際クルーズ協会と連名で文書も

更新日:2023年12月22日


水際対策のさらなる緩和を政府に要請
日本国際クルーズ協会と連名で文書も

 

 

伸び悩みが続く訪日観光旅行
 9月7日から1日当たり入国者数の上限が2万人から5万人に引き上げられ、厚生労働省が有効と定めるワクチン接種証明の提出を条件に入国前72時間以内のPCR検査の証明が不要になると同時に、外国人観光客の入国制限についても、旅行会社等を受入責任者とするパッケージツアーの対象国・地域が全ての国・地域に拡大され、添乗員の同行を伴わないパッケージツアーも認められるなど、水際措置のさらなる緩和が実現されました。
 新型コロナウイルスの水際対策として、入国する外国人に代わって日本国内の受入責任者が査証申請を行うために厚労省が管理・運営する「入国者健康確認システム(ERFS)」における今年3月(観光目的は6月10日)以降の1日当たり平均申請件数は、9月8日現在、一般(ビジネス・留学生)の5175人に対し、観光は805人にとどまっており、新型コロナウイルスの感染拡大以前の2019年度におけるビジネス・留学生=1割、観光=9割という数字には遠く及ばない比率となっています。
 また、旅行会社などを受入責任者とする場合に限り、観光目的での短期滞在の新規入国が認められた6月以降の観光を目的とする入国者数は、6月が625人、7月が7903人、8月が約1万2300人で、新規入国希望者の国籍別内訳では、8月25日現在、1位が韓国、2位が米国、3位がタイ、4位がオーストラリア、5位がフランスでした。

 

 

添乗員なしツアーの受入開始
 観光庁は、今年6月から受け入れを開始した観光を目的とした添乗員付きパッケージツアーの実施に当たり、感染拡大防止のために留意すべき事項や陽性者発生時を含む緊急時の対応について、ツアーの各段階で旅行業者、旅行サービス手配業者、添乗員、宿泊事業者などが取るべき対応を整理した「外国人観光客の受入対応に関するガイドライン」を策定していますが、添乗員の同行を伴わないパッケージツアーの受け入れを開始するのに伴い、ガイドラインを改訂。
 ツアー販売時には、“ツアー参加者”に対して、(1)マスク着用、(2)手指消毒、(3)三密の回避といった基本的な感染防止策の徹底、民間医療保険への加入、旅行会社などと確実に連絡がとれるようにすること、などを説明して同意を得ることや、ツアー中についても、旅行会社は“ツアー参加者”が入国後に連絡をとって、感染防止対策の徹底などの注意喚起を行うこと、“ツアー参加者”から感染防止対策の適用に迷う場面などに相談を受けた場合には、旅行会社が適切に対応すること、さらに、陽性者が発生した場合を含む緊急時についても、ツアー実施前と実施中に分けて、様々なケースを想定した具体的な対応について説明が加えられています。
外国人観光客の受入れ対応に関するガイドライン
「外国人観光客の受入れ対応に関するガイドライン」骨子

 

インバウンド全面再開に向けて
 水際措置のさらなる緩和により、1日当たり入国者数の上限を5万人に引き上げることなどが実現されたものの、新型コロナウイルスの感染拡大が発生する前の2019年における1日当たり入国者数は平均14万人で、入国者数の上限を設定したままインバウンドの来訪促進を図るのは極めて難しいのが実情です。
 このため、JATAは日本国際クルーズ協会とともに、9月12日付で武井俊輔外務副大臣宛てに「水際対策のさらなる緩和」を求める文書を提出し、「入国者数上限の撤廃」をはじめ、「早期の地方空港及び港湾における運航の実現」「観光ビザ免除措置の再開」を要望しました。
 空港は、国内の拠点10カ所のみが開かれており、港湾については、外国籍のクルーズ船による入港は一切できない状況で、文書は「地方への直接的な訪問ができないことが、訪問機会の逸失につながり」「期待される地方経済の活性化がかなわないという負のスパイラルが生じている」と指摘。
 また、在外公館では、観光目的で入国するためのビザを求めるアクセスが集中し、「ビザ発給のための要員配置が限定的であったため、明らかに許容量を超える業務が発生」していることから、「外国人旅行客の足が遠のく」事態も懸念されるところです。
 JATA訪日旅行推進部の山田和夫部長は、「インバウンドの全面再開に向けて、観光査証発給と査証免除一時停止の解除、受入責任者によるERFS申請撤廃、利用空港・港制限の撤廃などを、経団連や観光関係団体などと協調しながら粘り強く要請を続けていく」と話します。

 

 

 

 

訪日旅行推進部 山田部長