環境保全活動 JATA環境対策部会
富士山麓でのごみ拾いと青木が原樹海 実地研修報告(2007年7月実施)

更新日:2023年01月11日


2007年7月2日
(社)日本旅行業協会環境対策部会

JATA環境対策部会(糟谷部会長)は、“環境と観光の両立”を目指し、「JATA環境基金」による市民活動や小学生の環境学習への支援助成、サステイナブルツーリズムに関する各種セミナーを開催しています。また平成14年から日本を代表する自然を有する地域でのボランティア活動や、世界遺産に登録された知床や熊野古道を訪れ、現場の関係者との意見交換も行っています。
今回は、ごみ拾いと実地研修を兼ねて富士山麓と青木が原樹海を訪ねました。


  • ゴミ拾い前のオリエンテーション

  • 回収したゴミの前で
実施日 平成19年6月15日(金)~6月16日(土)
参加者数 総勢19名(関西支部からの参加3名含む)
協力 特定非営利活動法人 富士山クラブ 富士河口湖町
日程

1日目

7:00
新宿集合・出発(車中、ビデオや資料で富士山麓の現状について学ぶ)
9:20
西湖いやしの里根場到着 見学
12:00
富士山クラブ もりの学校でゴミ拾いのためのオリエンテーション
12:30
ゴミ拾いの現場に向け出発
13:00
ゴミ拾い作業 ~15:00(鳴沢溶岩樹型周辺)
15:30
回収したゴミの分別 ~16:10
16:40
ホテル到着
18:00
河口湖町、富士山クラブと意見交換会

2日目

8:30
野鳥の森公園周辺から樹海へ
9:00~
⇒富岳風穴(入洞) ⇒ 鳴沢氷穴 ⇒ 紅葉台 ⇒ 野鳥水飲み場 ⇒ 根場浜(14:15着)

1.富士山のゴミについて

ゴミの問題は、富士山登山道の問題なのか、山麓の問題なのかを整理しておく必要がある。

  • 五合目からの登山道は、関係者の努力、登山者のモラル向上により、「故意によるごみの投棄」はほとんどない。
  • 問題は、山麓での不法投棄と以前に捨てられたゴミである。
    • 国道、県道、林道のすぐ側に、多くの様々な「ポイ捨てゴミ」が実際に捨てられているのが現状。
    • 家財道具や一般廃棄物、自動車やその部品類。家電4品目(テレビ・エアコン・冷蔵庫・洗濯機)やパソコンの不法投棄も目立つ。さらに産業廃棄物等の不法投棄も後を絶たない。
    • 過去に投棄されたゴミが、約40年経った今も分解されずに残り、錆びた缶類、ビニール類や割れたガラス片などが野生動物の足元を危険にさらしている。

(埋まっているゴミを掘り起こして回収)

  • ※ 不法投棄根絶に向けて、抜本的な解決のためには、不法投棄ごみの実態把握が必要である。富士山クラブは、青木ヶ原樹海を含む、山麓部への不法投棄については、ごみの種類、量、投機されている位置の把握のための、「富士山環境ごみマップ」つくりを進めている。

2. 西湖いやしの里根場(ねんば)

根場は富士山を望む茅葺き集落で、日本一美しいといわれていたが、昭和41年の台風で甚大な被害を受け、ほとんどが消失した。平成15年の町村合併を機に茅葺きの集落を西湖いやしの里根場として再生させた。これからの河口湖町の観光地として期待される。


  • その名の通り“いやし”の空間

  • 屋根は兜に似ているので「カブト造り」という
  • 紙の館、大石紬と布の館、つるしびなの館や資料館、体験教室もある。各棟によってテーマが違うので作りが違う。各棟の縁側は「いやし空間」だ。
  • 目の前に霊峰富士山がみえる。
  • 食事をとる場所もある。
  • 茅葺きは火に弱いため全域「禁煙」となっている。

3. 富士河口湖町、富士山クラブとの意見交換

富士河口湖町の小佐野町長、富士河口湖町役場の渡邊観光課長、富士山クラブから舟津理事、佐藤氏が出席して意見交換を行った。
小佐野町長が河口湖周辺の観光の現状、観光振興への取り組み、「エコツアー」の現状などについて説明。旅行会社からは「河口湖周辺の最大の観光資源は富士山。富士山をいかに見せるかがさらなる観光客増加につながるのでは」等の意見がだされた。

fj07fj08

4. 青木が原樹海

青木が原樹海は9世紀頃の富士山大噴火で流れ出した溶岩流上に形成された原生林。ツガやヒノキなどの針葉樹が多く、緑の木が1年中海のように見えることから「樹海」と名づけられた。溶岩大地に森がある様は不思議で、驚かされる。環境学習的なエコツアーが数多く実施されている。

  • fj09
  • fj10
    (写真提供:富士山クラブ)

5. 富士山クラブ

「JATA環境基金」による助成は平成13年にはじまったが、その第1号が富士山クラブである。当時の富士山は「トイレ」が大きな問題になっていた。当協会は、富士山クラブが富士山頂上にバイオトイレを設置するプロジェクトに対して助成した。その成功により、その後環境省や静岡県、山梨県、山小屋が協力しあって、各登山道にバイオトイレが設置されている。

富士山クラブは、富士山周辺の環境保全に対して、率先して汗をかくNPO法人である。今回ゴミ拾いに参加した方々からも、その熱意に対して共感を覚えたという意見が多数寄せられた。舟津理事や事務局の佐藤氏の「熱き思い」に圧倒され、また、参加者の必死な思いにも驚かされた。人間ひとりではできないが、集まれば何かができる、と嬉しい思いに浸った2日間だった。

富士山クラブ 山梨事務所(富士山クラブ もりの学校)
〒401-0332 山梨県南都留郡富士河口湖町西湖2870
TEL(0555)20-4600 FAX(0555)20-4601
E-Mail jjimukyoku@fujisan.or.jp
https://www.fujisan.or.jp/About/history/morinogakko.html

本件に関するお問い合わせ

社団法人日本旅行業協会 業務部第2グループ
  • TEL 03-3592-1274
Get Adobe Reader
説明資料のPDFファイルを開くには、Adobe社のAdobe Readerが必要です。左記へリンクをしていただきますと、無償ダウンロードができます。