会報誌「じゃたこみ」 【海外】国際往来の完全再開に向けて前進
水際対策緩和でアウトバウンド拡大へ

更新日:2023年12月22日


国際往来の完全再開に向けて前進
水際対策緩和でアウトバウンド拡大へ

 

海外旅行機運醸成の追い風に
 新型コロナウイルスの感染拡大防止と社会経済活動の両立を図るため、9月7日から水際対策が緩和されました。1日当たりの入国者数上限が2万人から5万人に引き上げられると同時に、日本人を含むすべての入国者に求められてきた陰性証明書の提出についても、3回目のワクチンを済ませていることを条件に免除されています。
 入国・帰国時におけるPCR検査の条件付き免除が発表されたことを受けて、JATAの髙橋広行会長は8月24日付のコメントで、「国際往来の完全再開に向け、また一歩前進した」と評価し、入国時のPCR検査が海外渡航を控える最大の要因となっていたことから、「今回の緩和策の実施により、海外旅行需要の拡大につながっていく」という見方を示しました。
 JATAでは、アウトバウンド促進協議会(JOTC)が7月から“JATA 海外旅行再開プロジェクト”を始動させるなど、海外旅行の需要喚起に向けて本格的なプロモーション活動を展開しています。JATA海外旅行推進部の稲田正彦部長は、「全国8カ所で行った海外旅行再開宣言イベントも一定の成果をあげたものの、感染拡大の第7波による影響で海外旅行機運の醸成には必ずしも結びついていないため、今回の水際対策緩和を機運醸成の追い風にしていきたい」と話します。


7月15日全国8ヶ所で行ったプロモーションイベント(東京 八重洲口)

 

フィンランドへ視察団を派遣
 海外旅行の再開に向けて、ハワイと韓国での現地視察を実施してきたJATAでは、8月24日から29日まで6日間の日程でフィンランドへ視察団を派遣しました。
 今回の視察団派遣は、フィンランド側からの強い要請もあって実現したもので、JATA役員も務めるフィンツアーの美甘小竹代表取締役社長が団長を務めた視察団は、ヘルシンキとタンペレの2都市を訪問。フィンエアー本社やヴィジット・フィンランドで意見交換を行ったほか、フィンランド外務省でヴィッレ・スキンナリ開発協力・外国貿易大臣とも面談しています。
 今年5月、サンナ・マリン首相とともに来日した際に髙橋JATA会長を表敬訪問したスキンナリ大臣は、JATAがヨーロッパでの初めての視察先としてフィンランドを訪問したことへの謝意を表明し、「日本人旅行者が早期に戻ってくることを期待している」と語りました。
 また、フィンエアーのトピ・マンネル社長も、2019年に同航空の路線網では日本路線の搭乗率が最も高かったことに言及。視察団が「フィンエアーによる復便は、アウトバウンドのみならずインバウンドにとっても重要」と説明したのに対して、マンネル社長は「冬季スケジュールからヘルシンキ/羽田路線に就航する」と語り、新規路線の開設計画を明らかにしています。


フィンランド外務省訪問 
開発協力・外国貿易大臣スキンナリ氏と面会


タンペレでは世界で唯一のムーミン美術館を視察

 

「Z世代」を知るセミナー開催
 稲田部長によると、トルコなどの中東各国もJATAに対してファムツアーの実施を要請しており、欧米をはじめ世界的に国際旅行流動の動きが本格化してきている中、段階的な水際対策の緩和が進む日本からのアウトバウンド復活に向けられる視線も熱を帯びてきているようです。
 さらに、9月2日には台湾の桃園で、第13回日台観光サミットin桃園 2022」が開催されました。「ポストコロナ時代における日台観光産業復興に向けたリカバリーについて」をテーマに掲げたサミットには、日本と台湾の双方から200人以上が参加。意見交換会では、日本側が「台湾は日本からの修学旅行先として人気ナンバーワンだが、燃油や円安による修学旅行費用の高騰がネックとなるため、支援が必要」と提言。一方、台湾側は、訪日インバウンドのリカバリー策について「航空の復便やキャンペーンによる世論醸成も必要」と指摘しています。
 また、JATA海外旅行推進委員会は、9月22日から25日まで東京ビッグサイトで開かれる“ツーリズムEXPOジャパン2022”の会期中、業界日の23日にプロフェッショナルセミナー「緊急報告『Z世代の海外旅行意識調査』」を開催します。セミナーでは、マーケティング会社による調査発表とZ世代の学生を交えたパネルディスカッションも行われることになっており、稲田部長は「Z世代の情報の取り方や海外旅行に対する考え方などを知る絶好の機会」になると話します。

 

 

海外旅行推進部 稲田部長