JATA環境基金 平成19年度JATA環境基金
助成先報告:
岐阜県本巣市
「樽見鉄道を守る会」

更新日:2022年07月07日


2007年11月19日

平成19年度の助成先のひとつである岐阜県本巣市の団体「樽見手鉄道を守る会」の活動・実施状況を確認するためヒアリング/調査を行いました。

団体名 特定非営利活動法人 樽見鉄道を守る会
活動場所 岐阜県本巣市
事業テーマ 根尾谷断層の保全と、樽見鉄道を生かした通年型のエコツーリズム推進事業
事業内容 国指定特別天然記念物に指定された淡墨桜(うすずみざくら)と根尾谷断層付近に、樽見鉄道の駅が設置されていることを生かし、徒歩で観光することによる環境に配慮したエコツーリズムを啓発し、定着させる。
助成金額 515,000円

1.樽見鉄道について

昭和59年に旧国鉄から営業を引き継いだ岐阜県第三セクター鉄道。大垣から樽見までの34.5キロは、川や畑に沿って走っており、山や谷の四季折々の風景を楽しめるとともに「富有柿」の産地、安土桃山時代の茶人古田織部の里、日本三大桜のひとつ「淡墨桜」等がある。


  • 活動の象徴、ギャラリー列車(樽見駅)

  • 車窓から四季折々の風景を楽しめる

2.特定非営利活動法人 樽見鉄道を守る会について

地域を守るためには公共交通機関は絶対必要との思いから、樽見鉄道を守る会は活動を続けている。枕木オーナーを募る枕木トラスト活動や寄付を募って車両の座席シートを交換するなどその思いは深く現実的。また、沿線での広葉樹の植樹、耕作放棄地の再生活用、バリアフリーワークショップによる福祉などで鉄道を生かした町づくり活動を進めている。
さらに、淡墨桜とともに重要な観光資源である根尾谷断層の保全活動、鉄道を生かした通年型のエコツーリズム推進事業も行っている。

《今年実施されたエコツアー。いずれも根尾谷探検エコツアーとして実施》

  • 第1回 淡墨桜のさくらんぼを探そう!(6月)
  • 第2回 ストーンペインティングで遊ぼう!(7月)
  • 第3回 天然の鮎をみつけよう!(8月)
  • 第4回 濃尾地震の爪跡をさがそう(9月)
  • 第5回 流木でアートを作ろう!(10月)
  • 第6回 水を育む木を植えよう!(11月)

  • 日本三大桜のひとつ「淡墨桜」

  • 根尾谷断層(中央の盛り上がった所)

3.JATAの助成

樽見鉄道を守る会が目指している通年型のエコツーリズム推進事業に賛同し、必要経費のうち案内看板制作費や工具などの一式を助成します。観光資源である根尾谷断層が保全され、通年型のエコツーリズムが定着し、地域が元気を持ち続けて欲しいと思います。

4.地域の切なる思い

樽見鉄道に乗って沿線を見たが、富有柿がたわわに実っている景色、茶人古田織部に関係する「織部駅」、のどかな田園風景、はっとするような渓谷美など観光資源には事欠かないところだ。「地域を守るためには何よりも鉄道の存続が必要」という樽見鉄道を守る会の思いは切実だ。車内は寄付を募って会員の手作業で新調した座席シートがあり、感謝して座らせていただいた。
継体天皇が「身の代と遺す桜は薄住よ 千代に其の名を栄盛へ止める」と詠んだ樹齢1,500年の淡墨桜。年月の重みを感じさせるその姿は春先に圧倒的な人を引き寄せる力を持っているが、通年での状況ではない。

地域を守ろうと先頭にたって樽見鉄道を守る会を運営してきた高橋理事長は、その熱い思いを残して今年突然他界された。ご冥福をお祈りしたい。その意志を継ぐためにボランティアで奔走する会員を、高橋理事長のご家族や地域住民がしっかり支えている。
沿線の豊かな観光資源をもっと有効に活用し、鉄道も存続。旅行会社とも上手にマッチングして持続可能な地域になって欲しいと願い大垣駅で下車した。

特定非営利活動法人 樽見鉄道を守る会
岐阜県本巣市根尾宇津志54番地

本件に関するお問い合わせ

社団法人日本旅行業協会
JATA総合企画部 総合企画・情報管理グループ
  • TEL 03-3592-1271