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– 外務省邦人テロ対策室 – 2022年10月31日発行 第1号

更新日:2022年12月14日


★★★ 海外安全対策便り-外務省邦人テロ対策室- ☆☆☆
2022年10月31日発行 第1号

国際的な人の往来が再活性化する今、皆様に最新の海外安全情報や必要な安全対策のポイントをご紹介すべく、毎週メールマガジンの配信を行っていきますので、皆様どうぞよろしくお願いします!


邦人テロ対策室新室長からのご挨拶
ゴルゴ13からの伝言
邦人テロ対策室からのお知らせ


邦人テロ対策室新室長からのご挨拶

 

はじめまして。9月に邦人テロ対策室長として着任しました、鴨下誠と申します。7月半ばまで、在ベルギー日本国大使館兼NATO日本政府代表部参事官として、ブリュッセルに勤務していました。海外にお住まいの日本企業関係者や日本人の皆様がテロに巻き込まれないように全力を尽くしてまいりますので、どうぞよろしくお願いします。

皆様におかれては、過去2年間、コロナ対策に大変なご苦労をされてきたことと思います。しかし、今年に入ってから、多くの国が入国制限等の措置を緩和しています。10月11日には我が国も水際措置の更なる緩和を実施しました。今後、国際的な人流の再活性化が期待されるところです。

 

しかしながら、過去2年間に国際情勢は大きく変わりました。国際的なテロに加え、コロナ禍に伴う社会不安やオンライン活動が増大したことを背景に、欧米では極右・極左主義者による暴力的な活動が活発化しているとされています。例えば、米国での人種差別に基づく暴力は、2019年中の3,963件が2020年には5.227件と前年比約32%増加(FBI年次報告書)、ドイツでの2020年の極右主義の犯罪件数は1,023件(前年比約11%増)、極左主義の犯罪件数は1,237件(前年比約34%増)(ドイツ連邦内務省報告書)というデータもあります。

テロについても、イスラム過激主義勢力のサハラ砂漠以南のアフリカや南アジアなど、活動範囲の世界的な広がりが指摘されています。特に、本年9月に過激派組織「イスラム国(IS)」が発出したメッセージでは、フィリピンやシンガポール、マレーシア、インドネシア、インド、パキスタン、バングラデシュなどに言及しつつ、世界各地で新たな構成員を集めるよう明示的に呼びかけています。

このような状況を踏まえ、世界規模でテロへの危機感が格段に高まっています。例えば、私が携わったNATOでは、この6月末の首脳会合において、今後約10年を見据えた戦略(「戦略概念」)の改定が行われましたが、その中で、引き続きテロは「脅威」であるとされ、「テロ組織は、その範囲や致死性を高めるため、ネットワークを拡大し、能力を強化し、新技術に投資している」との現状認識が示されています。私も、ベルギー在勤中、職務を通じて、テロや暴動といった国際的なリスクに対する欧州の「嗅覚」の鋭さに多くを学ぶところがありました。

皆さんがビジネスチャンスを更に確実につかんでいただくためには、危機への「嗅覚」を高め、安全対策に万全を期していただくことが不可欠です。外務省としても、国内外のセミナーや各種講演、また、「ゴルゴ13の海外安全対策マニュアル」の積極的な配布、デジタル広告といった啓発を通じて、テロ等の脅威に関する傾向や、緊急時の対応等についての情報提供を行い、皆様の安全対策見直しのお手伝いをさせていただいています。更に、過去2年間はコロナ禍のために官民合同訓練の実施を見合わせていましたが、感染状況等をみつつ、本年度は実施すべく準備を進めています。

着任してからの1か月間、過去の事例を紐解く中で感じておりますのが、事前の備えがいかに重要かということです。ゴルゴ13のデューク・東郷の言葉のごとく、ベルギーの天気のように(ベルギーでは、1日に四季があるといわれるほど天気が変わります。)、情勢と情報は変化します。何よりも、日ごろから危機管理への意識を高め、情報を収集し、今一度、体制を含めた安全対策の見直しを是非お願いできれば幸いです。我々でお手伝いできることがありましたら、遠慮なくご相談ください。

 

ゴルゴ13からの伝言

外務省作成『ゴルゴ13の海外安全対策マニュアル』第4話「安全対策は情報収集から」より
ゴルゴも薦める「情報」とは‥‥‥詳細はこちらから episode4.pdf (mofa.go.jp) PDFファイル

 

邦人テロ対策室からのお知らせ

(1)国内安全対策セミナー(アジア・大洋州地域、11月10日開催)
外務省邦人テロ対策室は、11月10日(木)、海外進出企業向け安全対策オンラインセミナーを開催します。
今回は、アジア・大洋州地域にフォーカスして、外務省及び危機管理の専門家が、海外での様々な脅威への安全対策、有事の初動対応等について演習を交えて講演します。
セミナーの詳細とお申し込み方法は、フライヤーや以下のURLをご確認ください。
https://www.anzen.mofa.go.jp/c_info/safety_seminar20221110.html

(2)官民合同テロ・誘拐対策実地訓練(12月8日開催)の御案内
外務省邦人テロ対策室は、12月8日(木)午後、官民合同テロ・誘拐対策実地訓練を開催します。 危機管理の専門家が、海外での様々な脅威とその予防策や対処法について、講演と訓練を通じて、海外赴任者・出張者向けのトレーニングを行います。
外務省からも、緊急事態に対応する職員が参加します。詳細・募集要領はリンク先をご参照ください。
https://www.anzen.mofa.go.jp/c_info/terro_kunren.html
訓練のイメージ動画はこちらからご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=ICo43pVpztM

(3)講師派遣・寄稿(随時受付)
また、外務省邦人テロ対策室では、中小企業の海外進出のための安全対策啓発のため、講師派遣や寄稿等の取り組みをおこなっています。
詳細はこちらのページもあわせてご覧ください。
ご希望があれば、ryoutai@mofa.go.jpまでお気軽にご相談ください。

外務省領事局邦人テロ対策室 ryoutai@mofa.go.jp
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