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   添乗員のための旅行医学
P10 【Cafe de JATA vol.53】







 

カルロス 中南米専門の旅行会社として92年に設立、今年で20年目を迎えます。立ち上げた当初は、日本人にとって中南米地域は未知のデスティネーションだったと聞いています。しかし、ここ4?5年は個人からの問い合わせが多くなり、中南米に興味を持つ人が増えてきたと実感しています。

ルイス 中南米の中で人気の国は、マチュピチュ遺跡があるペルーです。当社に申し込むお客様の7割がペルーを含めた旅行を希望されています。でも、「せっかくだから」とあれもこれもと行きたい場所をいっぱい挙げられるお客様が多いですね。

筒井 ペルーは面積が日本の3倍以上。ブラジルは22倍以上と想像以上に南米大陸は広い! さらに、飛行機など公共交通機関が遅れることは日常茶飯事ですし、ストライキや道路封鎖でルートを迂回することもしばしば。景勝地などの観光では、天候にも左右されます。ですので、ルート作りは余裕をもって組むようにしています。

カルロス ギアナ高地のエンジェルフォールはボートでしか行くことができず、たどり着くまで約3時間半はかかります。しかも、川の水位が低いとボートを出すことができず、逆に多すぎても見に行くことができない秘境。「行きたい」と言われた地域を単純に手配するのではなく、ベストシーズンを理解してお客様がどの景色を見たくてその場所に行きたいと思っているのかを知ることが重要です。オフシーズンの場合は、あらかじめその旨を案内して、時期や旅程を一緒に組み立てていきます。

筒井 昨年はマチュピチュで土砂崩れがあり、道が封鎖されて山から下山できなくなったことがありましたし、今年はチリで噴火がありました。自然の状況は日々変わるもの。現地の情報をしっかり把握しなければなりません。

ルイス そのため、私たちは現地の新聞をインターネットで利用して目を通すことを日課にしています。現地オペレーターの情報を聞くのはもちろんですが、必要な時は直接現地の気象庁などの行政機関に電話したこともあります。こうして入手した最新情報を一般の方にはブログで、旅行業界の方にはニュースレターで発信しています。

カルロス 人気の高いペルーは高地が多く、参加者の中には高山病を心配される方も多いです。

筒井 その不安を取り除けるように「高山病予防7つのポイント」というパンフレットを独自で作成し、個人のお客様にお渡ししています。また、ガスを利用しない飛行機に持ち込み可能な携帯用酸素発生器を持参することも勧めています。

ルイス ただ高山病対策は、出発前の体調管理も重要なんですよ。出発前日までハードに仕事をこなし、寝不足でペルーに入ると高山病にかかる確率が高くなります。また、年配の方がかかりやすいと思われがちな高山病ですが、実は若い人の方が現地でよく動き回るためかかりやすい。高地ではゆっくり行動することが大切です。

カルロス 旅程を組む場合は、就寝時が一番高山病になりやすいので、始めはできるだけ標高が低い地域のホテルを手配しています。そして徐々に標高を上げて体を慣すことができるような行程を組むように心がけています。

筒井 日本のお客様は旅先でゆっくりお風呂に入りたい方が多いのですが、お風呂に入ると心拍数が上がり、多くの酸素が必要になります。高山病予防として高地での宿泊は、できるだけシャワーのみの入浴を勧めています。また、高地では消化機能が低下するので、食べる量を七分目程度に抑えた方がよいですね。

カルロス 海外旅行保険の種類も重要です。高山病で緊急輸送が生じた場合、ヘリコプターをチャーターすることがあります。その際に発生する費用が保険の種類によってカバーできる場合と、できない場合があります。出発前に保険の種類をお客様自身で確認することを呼びかけています。


湖が鏡のようになる雨期のウユニ塩湖は、日本人に人気の観光スポット


ギアナ高地エンジェルフォールは
世界最大の落差979m

ルイス 先日ファムトリップで参加したメキシコの「テキーラ列車」はツアーで利用したいですね。列車内では現地の人たちとテキーラを片手に交流することができ、思い出に残る旅を演出できると思います。

カルロス 珍しい体験として、チリの砂漠で咲くワイルドフラワーも7年に1度しか見ることができない貴重な経験。自然が相手なので行程を作成するのは難しいのですが、日本のお客様に見てもらいたいですね。また、最近は日本のアニメ文化も中南米で人気なので、交流会を含めたツアーを実現したいです。

筒井 私はハネムーンで利用できる、民族衣装を装ったウェディングセレモニーを普及させたいです。最近は、観光中心のツアーから現地の人との交流を求める声をよく聞きます。そのためホームステイ、語学留学、料理教室など地域密着型ツアーを広げていきたいです。

ルイス 現地交流といえば、マチュピチュの土砂崩れに遭遇したお客様が、「復興の手助けに、もう一度ペルーに行きたい」という要望がありました。ボランティア活動も交流の一つ。このように、現地を思って再度渡航してくれるお客様は嬉しく、ボランティア先のアレンジにも思わず力が入りました。

カルロス 中南米の魅力をわかってもらうためには、もっとプロモーションも必要だと思います。まだまだ情報が少ない地域なので、情報発信に力を注ぎたいです。

ルイス これからの南米は2014年のサッカーワールドカップや2016年のオリンピックとスポーツイベントが目白押し。その他、中南米はまだまだ日本に伝わっていない面白いイベントがありますので、随時情報を流して行きたいと思います。



現地の人たちと交流できるのも旅の醍醐味


チチカカ湖に浮かぶ
葦の島ウロス島にて記念写真


テキーラでサルー(乾杯)! 
メキシコテキーラ列車


カラフルな雑貨はメキシコならでは!



9月号は例年どおり「旅博」の特集でした。3月の震災の影響も心配されましたが過去最大級の出展国数となり、さらに国内ブース、セミナーなども充実しています。個人的には仕事を離れても役立ちそうな旅行写真のセミナーが楽しみです。(さ)

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