5月号インデックス特集旅の力JATA NOWCave de JATA│添乗員のための旅行医学│バックナンバー

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P12 【シリーズ:添乗員のための旅行医学 Vol.60】


 旅行者の約4%は子どもで、旅行に関連した病気で入院した人の25%が子ども、というデータがあります。下痢、マラリア、狂犬病、デング熱、熱中症などは大人よりかかりやすく重症化しやすいのが特徴です。ワクチンを含め、渡航前の準備が大切です。

◎下痢
 途上国への旅行では、自分で歩き出してから3歳までの間は下痢になる可能性が極めて高いです。特に子どもはよくある大腸菌感染症だけではなく、生命を脅かす腸チフスのリスクも高まります。子どもはいろいろな所をさわり、手をよく口に持ってくる。風呂やプールで水を飲みやすい。背が低く地面に近いので、親が知らないうちに落ちたものを拾ってしまうなどの原因が考えられます。
 予防は、十分に加熱した物を食べることです。調理してあってもハエがたかっていたり、汚い手で触ったら食べない方がよいでしょう。また、屋台はなるべく避けましょう。
 なお、下痢で最も怖いのは“脱水”です。真っ先に水分補給を行うことが最善の治療です。この時、吸収を高めるため塩などの電解質が入ったものを飲む必要があります。海外ではポカリスエットの代わりとなるORS(Oral Rehydration Salts)という粉が薬局で手に入るので、水に溶かして飲ませてください。入手できない場合は、水とともに塩分を含むものを摂ることで代用できます。

◎マラリア
 海やプールなどで蚊に刺されやすく、大人に比べて脳マラリアなど重篤化しやすいのも子どもの特徴です。予防方法にはいろいろな選択肢があり、年齢、渡航する地域、季節、活動内容、基礎疾患などを考慮して最良の予防方法を考える必要があります。渡航する前に、感染症の専門医に相談してください。

◎狂犬病
 子どもは狂犬病のハイリスクグループです。原因は、犬にちょっかいを出すために多数の箇所をひどく噛まれる。背が低く脳に近いところを噛まれるため潜伏期間が短い。怒られるのが嫌で、噛まれたことを隠してしまう、などが考えられます。
 発症防御には大人同様に予防的なワクチン接種、もしくは噛まれた後にワクチンを接種する暴露後接種の2つの方法があります。なによりも、不用意に犬に近づかないように注意することが重要です。

◎日本脳炎
 子どもは大人に比べて日本脳炎のリスクが高く、アジア地域や中国、インドなどに渡航する際は、特に注意が必要です。近年、日本脳炎ワクチンの接種については副作用の問題から賛否両論ありますが、治療法がなく予防するしか方法がない病気です。発症のリスクを考慮し、予防接種を受けるべきかどうかを専門医と慎重に話し合うといいでしょう。

◎高山病
 子どもは高山病の中でも重篤なHAPE(低酸素に伴う肺水腫)を起こす危険性が高く、特に注意をはらう必要があります。一般に高山病の予防にとても効果があるといわれているダイアモックスは、実は軽い頭痛などを抑える効果はあるものの、重篤な高山病を予防するには十分とはいえません。子どもを高地に同伴することは基本的にはお勧めしませんが、やむをえない場合、時間と日にちをかけて高度に慣らしながら登ることが最大の予防となります。症状が出た場合は、速やかに低いところに降りることで重篤化のリスクを減らせます。

 渡航先での子どもの死因のトップは交通事故です。危険性は日本にいる時より、はるかに高くなります。原因は、交通ルールの違いや、不慣れな土地であることから保護者の子どもに対する注意がおろそかになる、途上国では現地の車の運転が乱暴であることなどが考えられます。
 次に多い死因は溺水です。海辺の観光地へ行くことが多く、潮の流れが予想外に速かったり、潮の満ち干きで浜辺から遠くに残されてしまうなどの原因が考えられます。

 生後6週間は、航空機の利用は避けたほうがいいでしょう。また子どもは耳管が細く、航空中耳炎になりやすいためご注意ください。中耳炎を患っている場合や、耳鼻咽喉科の手術直後は危険性が高いため、渡航前に医師にご相談ください。



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