
ウェブトラベルは、コンシェルジュと呼ばれる担当者がWEB上でコンサルティングをしながらお客様の求める旅を一緒に作り上げていく旅行会社です。8年前にサービスをスタートしました。当時よりも旅行者の旅行スキルが向上したのはもちろんですが、「旅行に何を求めるのか」の部分が大きくなっていると思います。
たとえば、最初の接点となるサイトのお問い合わせフォームに希望する旅行の内容を書いてもらいます。当初、お客様の旅行の「こだわり」を自由に書いていただくようにしていましたが、詳しく記入する人は少なかったですね。そこで、あらかじめ選択肢を用意する方法に変えるなど試行錯誤を繰り返し、現在は再び自由記入方式に戻しました。依然として詳しく記入しない人は多いものの、当初より事細かに記入する人が増えています。現在は行きたいところ、やりたいことを明確にして旅行を計画する人が増えたのでしょう。しかし、面白いことに、こだわりをあまり記入しないお客さまでも高付加価値の旅行を成約することがあるんですね。それは、コンシュルジュのコンサルティングの力によって、お客様が心の中で望む旅行を引き出し、実現できるプランを提案できているからだと思います。成約に至るまで何度となくメールのやり取りをし、場合によっては内容がまとまるまで数カ月かかることもあります。そうやって満足の行く旅行を計画されたお客様は、コンシェルジュとの信頼関係も高まり、リピート化にもつながっています。

昔は旅行のプロが「これです」と出したものを消費者が受け取るだけでしたが、今は自分の希望を引き出してくれたうえで、さらに「これがお勧めです」と言ってもらいたがっている消費者が多いのだと思います。話を進める中で、実は自分がこの旅行で何をしたかったのかに気づいたとおっ
しゃってくださるお客様もいます。コンシェルジュは提案力よりも、実は聞き役の能力の高い人が向いているのでしょう。しかし、大切なのは引き出した要望に対してどのようなプランを提案できるか。そこに知識や経験の裏付けがなくては、お客様は納得しません。

その知識の裏付けのひとつに、デスティネーション・スペシャリスト(D/S)をはじめとしたトラベル・カウンセラー制度が有効と思います。話をする中でお客様も旅行会社の担当者の持つ知識レベルがわかりますが、資格があれば相談の最初の段階でお客さまが担当者を判断する目安になります。そこで当社では資格取得を奨励し、取得にかかる費用を補助しています。D/Sを取得するコンシェルジュは多く、全体の2割は資格取得者です。1つのD/Sを取得すると、別の地域のD/Sを取得する人も多いですね。
JATAに対する要望として、今後は消費者に、トラベル・カウンセラー制度とそれぞれの資格をもっと強くアピールしてほしいと思います。消費者が認知していないとせっかく資格を持っていても効果は薄れます。資格取得の有無の違いを消費者が知ることでその資格の価値が上がると思います。また、同じ資格の中に上級などのランク分けがあるといいですね。上級ランクへのステップアップの動機付けにもなります。ひとつ気になるのは、D/Sに取り組んでいない国があることです。人気デスティネーションを含め、一通りの国々が揃っているといいですね。

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