5月号インデックス│特集1│特集2JATA NOW添乗員のための旅行医学バックナンバー
   特集2:トラベル・カウンセラー制度 取得者に聞く
P2 【特集/トラベル・カウンセラー制度】




 ウェブトラベルは、コンシェルジュと呼ばれる担当者がWEB上でコンサルティングをしながらお客様の求める旅を一緒に作り上げていく旅行会社です。8年前にサービスをスタートしました。当時よりも旅行者の旅行スキルが向上したのはもちろんですが、「旅行に何を求めるのか」の部分が大きくなっていると思います。
 たとえば、最初の接点となるサイトのお問い合わせフォームに希望する旅行の内容を書いてもらいます。当初、お客様の旅行の「こだわり」を自由に書いていただくようにしていましたが、詳しく記入する人は少なかったですね。そこで、あらかじめ選択肢を用意する方法に変えるなど試行錯誤を繰り返し、現在は再び自由記入方式に戻しました。依然として詳しく記入しない人は多いものの、当初より事細かに記入する人が増えています。現在は行きたいところ、やりたいことを明確にして旅行を計画する人が増えたのでしょう。しかし、面白いことに、こだわりをあまり記入しないお客さまでも高付加価値の旅行を成約することがあるんですね。それは、コンシュルジュのコンサルティングの力によって、お客様が心の中で望む旅行を引き出し、実現できるプランを提案できているからだと思います。成約に至るまで何度となくメールのやり取りをし、場合によっては内容がまとまるまで数カ月かかることもあります。そうやって満足の行く旅行を計画されたお客様は、コンシェルジュとの信頼関係も高まり、リピート化にもつながっています。


 昔は旅行のプロが「これです」と出したものを消費者が受け取るだけでしたが、今は自分の希望を引き出してくれたうえで、さらに「これがお勧めです」と言ってもらいたがっている消費者が多いのだと思います。話を進める中で、実は自分がこの旅行で何をしたかったのかに気づいたとおっ
しゃってくださるお客様もいます。コンシェルジュは提案力よりも、実は聞き役の能力の高い人が向いているのでしょう。しかし、大切なのは引き出した要望に対してどのようなプランを提案できるか。そこに知識や経験の裏付けがなくては、お客様は納得しません。


 その知識の裏付けのひとつに、デスティネーション・スペシャリスト(D/S)をはじめとしたトラベル・カウンセラー制度が有効と思います。話をする中でお客様も旅行会社の担当者の持つ知識レベルがわかりますが、資格があれば相談の最初の段階でお客さまが担当者を判断する目安になります。そこで当社では資格取得を奨励し、取得にかかる費用を補助しています。D/Sを取得するコンシェルジュは多く、全体の2割は資格取得者です。1つのD/Sを取得すると、別の地域のD/Sを取得する人も多いですね。
 JATAに対する要望として、今後は消費者に、トラベル・カウンセラー制度とそれぞれの資格をもっと強くアピールしてほしいと思います。消費者が認知していないとせっかく資格を持っていても効果は薄れます。資格取得の有無の違いを消費者が知ることでその資格の価値が上がると思います。また、同じ資格の中に上級などのランク分けがあるといいですね。上級ランクへのステップアップの動機付けにもなります。ひとつ気になるのは、D/Sに取り組んでいない国があることです。人気デスティネーションを含め、一通りの国々が揃っているといいですね。




旅行販売業務の知識・技能を中心に、「コミュニケーション・スキル」「販売実務」「旅行地理」の養成講座が受講できる。受講後、認定申請して取得。総合旅行業務取扱管理者の資格がある場合は、「コミュニケーション・スキル」のみの受講となる。


その国・地域独特のグルメやイベント、歴史、各観光資源の仕入れ・手配に関する注意点など幅広い知識が習得できる。認定試験に合格後、取得。資格の有効期限は5年間。


現状は以下の2種類。


日本外航客船協会が主体となって実施する「クルーズアドバイザー制度」のクルーズ・マスター取得者で旅行会社の社員が認定を受けられる。


世界遺産アカデミー「世界遺産検定1級」 以上の合格者で、T/C取得者など一定要件を満たした旅行会社の社員および添乗員業務に従事する人が認定を受けられる。

 



 近年、旅行者のニーズは複雑化し、高度なサービスレベルが求められるなど市場は変化しています。トラベル・カウンセラー制度は、旅行業界の高度な業務知識をもち、
コンサルティングができる従事者の育成をしていくことが、良質で多様な海外旅行商品の造成につながり、ひいては海外旅行マーケットの拡大へ発展していくとして立ち上がりました。


 6月以降、D/S資格取得者向けとしては初めてのブラッシュアップセミナーを開催します。オランダ、ベルギー、ニュージーランド、タイ、香港、マカオを予定しています。また、マ
レーシア、マカオ、タイのファム研修旅行も予定しています。資格取得者はぜひ参加いただき、知識を深めてほしいと思います。


 D/Sの認定枠を従来の旅行会社社員から大学生にもすそ野をひろげること、また取得者を店頭等で紹介するための盾を授与するなど、この制度を充実するための検討を行っています。また、VWCなどと連携を図り、養成講座を増やしていきます。


 ぜひ、T/CやD/S取得者を店頭やホームページで紹介ください。多くの会社で行われていますが、「D/Sの企画した商品」とパンフレットに明示するなど、商品アピールにも積極的にお使いください。業界全体でこの制度の認知度がさらに高まるよう、ご協力をお願いします。




クラブツーリズムでは パンフレットに顔写真入りで
D/Sをアピール

  特集2:トラベル・カウンセラー制度 取得者に聞く

5月号インデックス│特集1│特集2添乗員のための旅行医学バックナンバー

Copyright (c) 2011 Japan Association of Travel Agents. All right reserved.