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   旅の力
P4 【特集/旅の魅せ方 Part.2】



 『世界!弾丸トラベラー』の放送開始から4年経ちますが、週末プラスアルファの旅行がここまで広がるとは思いませんでした。女性の旅行に対するモチベー
ションの高さにはいつも感心しています。
 番組ではこれまで60カ国以上を訪れましたが、パリ、ハワイ、韓国など同じ国や都市に複数回訪れることも多いです。たとえ同じ場所でも、行く人が違えば見せ方も変わります。人の興味に
よって旅のテーマや切り口は千差万別。同じショッピングでも、人気モデルのAMOさん、AYAMOさんなどストリート
ファッション系の方がパリに行くと伝統的なカフェやブランドショップの紹介ではなく、ファストフードで食事してヤスカワグッズを発掘するという、通常イメージされるパリ旅行とはまったく異なったものになります。むしろ意外性も生まれて、パリの新たな一面を紹介できたと思います。
 
 そのパリもそうですが、ショッピングは視聴者の皆さんに好評ですね。女性はショッピングをしていると、いわゆる「アガる」(=「気分が高揚する」の意)という状態になるんでしょうか。トラベラーが本気で楽しんでいる姿を見せることで、視聴者の皆さんに「この場所、楽しそう。私ならこういう買い物がしたい」と自分に置き換えて旅をイメージできるように心がけています。そのため、通常の半分のスタッフ数でロケを行い、普通の旅っぽさを演出しています。「こんな旅、テレビだからできるんだよね」と思われてはダメなんですね。また、例えば「アザラシに会いに行く」といったちょっと冒険要素が強いものは視聴者からは意外と反応が薄く、若い女性にはライトに経験できるものがウケるようです。


インドの世界遺産フマユーン廟。
ショッピングメインの女子旅でも世界遺産は立ち寄る (C)NTV

 

 番組で行う旅のプランニングは、基本的には出演者であるトラベラーの希望に沿っています。ただ、最初からトラベラー自身に明確な「旅の目的」がないことも多いので、初回の打ち合わせでは普段どういったことが好きか、何をしてみたいか、どこに行ったことがあるか、どこへ行ってみたいかなどを聞き出します。その中から、自然が好きなのか、
ショッピングがいいのかなど方向性を絞り、「そこではこんなことができるんですよ」など情報を投げかけて、トラベラーが「それ面白そうですね!」と反応がよかったものを具体化していきます。こうしてプランニングの流れを言葉にしてみると、旅行会社のちょっとした旅行相談みたいなノリですね(笑)。その後、2?3のプランを提案して詰めていきます。
 最近では、気に入ってくれた出演者自ら「次はここに行ってこんなことをしたい」と提案してくることもあります。

 情報は本や雑誌などから広く浅く集めつつ、会社の女性社員や番組の女性スタイリストさんなどに、最近気に入っているもの、流行っていること、気になることなどを聞いています。業界柄、ファッションや流行の先端を行くスタイリストさんやモデルさんから若い女性たちの感覚を聞けるのは大きいですね。影響力のある人が「イイ!」と言うと、これまで注目されていなかったものも注目されます。有名スタイリストが雑誌でモロッコについて話をしていればモロッコというキーワードが読者に残りますし、ネイティブアメリカンのアクセサリーが特集で紹介されていればアメリカがキーワードになります。もちろん、ある観光局がプロ?モーションに力を入れている場合は全体的な露出も増えるため、その流れに乗ることもあります。定番で人気が続く国、今後人気が出そうな国などを織り交ぜながら企画しています。普段のこまめで地道な情報収集が、企画を考えるときに生かされています。

 放送当初はトラベラー1人の旅が多かったのですが、最近では実際の女子旅に合わせて2人での旅が増えています。また、カップルではありませんが、異性がガイド役をするような旅も番組として面白いかもしれません。
 番組作りの根底には、視聴者の皆さんがこの番組を見て、海外旅行をする人が増えてほしいという思いがあります。今後も、さまざまな国を魅力あるテーマで切り取って紹介していきたいですね。

 
南米イグアスの滝も1泊5日の弾丸ツアーで。(C)NTV


人気のパリはテーマや切り口を変えることで
様々な旅ができる (C)NTV


10月から新MCに加わった佐々木希さんと、
中川翔子さん、山崎静代さんとの親睦弾丸旅行 (C)NTV



この番組が始まった時、「弾丸」というコンセプトが面白いと思いました。旅行業界としては、せっかく行くのであれば短期間の旅行ではなく、ゆっくりと旅行をしてほしいというのが本音ですが、「この国でも案外、このくらいの期間で行けるんだ」と旅を身近に感じてもらえるのはいいですよね。テレビの影響はとても大きいので、どのデスティネーションが放映されるのかが商品企画の前にわかるといいんですけどね。
番組ではトラベラー個人の趣味やこだわりを実現しています。添乗員付きのツアーが主要商品である当社では実現しにくいところもあるのですが、今後若年層向けの商品も充実させていきたいと思っていますので、「若い女性の感覚」は参考になります。
また、女性向けの旅行商品を男性が企画する上で難しい部分もあると思っていたものの、番組ディレクターの石村さんは男性で長い間番組を続けられています。男性でも女性が喜ぶ旅行がプランできるんだと感心してしまいました。
番組中のような旅を実現させるには通常フリープランになってしまうでしょう。ただ、石村さんが出演者の方々と行っているように、旅行会社のカウンターがお客様の旅心を引き出していければ、その人にとって心に残る旅を提供できるんだと思いました。

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