佐藤 福岡と釜山を結ぶ日韓航路船「ビートル」が就航して21年目になりますが、その間2005年にJR九州の船舶事業部から分社化、2006年には高速船「コビー」を運航する韓国の未来高速(株)と業務提携をしました。現在はコビーと合わせて1日3〜8往復を運航しています。
渡邊 就航当時は日本人にとってまだ釜山の知名度が低く、その魅力をどうアピールしていくかが重要でした。現在は知名度がだいぶ上がり、リピーターも増えました。また、昔は50代の男性が多かったのですが、韓国ブームのおかげで幅広い年齢層の方に利用していただいています。福岡から釜山は「隣町へ行く」感覚で気軽に行けることから、特に若い女性のリピーターが増えています。
奥 ビートルの利用者は、大半が九州北部からのお客様ですが、広島県などから参加する方もいます。広島市内からは新幹線を利用すると博多まで1時間なので、商圏として十分に取り込めます。JRグループとしての強みを活かし、新幹線と組み合わせて利便性をアピールしていきたいですね。また、商圏の拡大という意味では、国内LCCの就航は追い風になると考えます。航空会社とのタイアップなど、関東方面からのお客様を増やしていきたいです。
渡邊 2010年に開通した韓国高速鉄道KTXとビートルを組み合わせた「コリア・レール&ビートルパス」も販売しています。現在、日韓以外の第3国の利用者が全体の3%ほどなので、日本人はもとより第3国のお客様の利用にも期待したいです。
佐藤 ただし、旅行業界全般に言えることですが、その国の状況や為替によって旅客数は変動します。例えば、ウォンが強い時は韓国からのお客様が増えますし、逆に今のように円が強いと日本人の出国が増えます。震災後は自粛ムードがあり、出入国ともに一時は減りましたが、今年のゴールデンウィークは日本からの出国者数は例年を上回りました。どちらかというと震災の影響よりも、現在は為替の関係で、韓国からの入国が少ないと捉えております。
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