日本有数のリアス式海岸である陸中海岸。岩手県・田野畑村はその中でも絶景で知られる北山崎を抱えながら、大半の観光客が展望台に寄るだけの典型的な通過型の観光地でした。ほかの地域同様、住民の高齢化、主要な産業である林業、漁業の衰退は避けられず、100万人弱の観光客がただ通過していくだけの現状に危機感を抱いた田野畑村は2003年、現在の「体験村・たのはたネットワーク」(第6回オーライ!ニッポン審査委員会長賞受賞団体)の前身となる体験村・たのはた推進協議会を設置。海や山での体験を主体とした21の体験プログラムを作成し、翌年から活動を開始しました。初年度は全プログラムを通して450人弱の利用者数でしたが、プログラムの質の向上や料金体系の見直しを行った結果、旅行会社との取引も始まった2006年には、利用者は約2,000人まで増加。特に、村の漁師がアワビやウニを採るために使用するサッパ船で遊覧する「サッパ船アドベンチャー」は、地元テレビ局が取材に来るなど人気のプログラムに。田野畑村の認知度も上がり、推進協議会をNPO法人化した2008年にはプログラム利用者が5,868人と増加し、2009年は7,998人に。林業、漁業、農業従事者がガイドをすることで彼らに副収入が生まれるなど、観光が経済に寄与し始めています。 |