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   旅の力
P3 【特集:羽田から海外へ!】




 近畿日本ツーリストでは、羽田再国際化に合わせて路線が開設される9方面を別刷の専用パンフレットで展開しています。ホノルルに関しては、ホリディの通常商品を「成田・羽田発」としました。9月末現在の滑り出しは、ホノルルが想定以上に好評です。成田発の予約が減ることなく羽田発の予約が入っていることから、首都圏内で需要の奪い合いが起きているのではなく、「羽田発だから行ってみよう」という新たな層の掘り起こしとなっているのではないでしょうか。

 一方で、アジア方面とアメリカについては、まだ動きが鈍いですね。本数の豊富な成田に比べ、運航時間帯が厳しいのが要因と思われます。また、平日の成田発でハネムーン向けの添乗員付きヨーロッパ商品を展開しておりますが、これを週末の羽田発で設定したところ、予想以上の反応がありました。こちらもハワイ同様に、これまでとは違う需要が掘り起こせていると感じています。


 今回の国際化に際し、羽田発限定の特別な商品は用意していませんが、地方からの需要を見込んで、前泊・後泊プランや列車で首都圏に乗り入れるプランを設定しました。予約の現状は東京都の西側や神奈川県からの動きが多く、地方は1割程度です。オープンが近づくとメディアで報道される機会も増えますし、「羽田発の海外旅行」が周知されれば大きな動きになるのではないでしょうか。

 また今後は、成田空港の発着料や発着枠の関係から日本就航を見送っていた航空会社が羽田に乗り入れたり、新規の路線が開設される可能性もあります。そうなれば、新たな需要が掘り起こされ、海外旅行市場全体が活性化されると思います。羽田発着のスケジュールは若い人には適していると思いますので、若年層が動くゴールデンウィークや来年9月の連休が楽しみです。

 全日空では、羽田空港再国際化に合わせ、夜間・早朝時間帯にロサンゼルス線、ホノルル線、シンガポール線、バンコク線を、昼間帯に台北線を新規就航しました。このほかに、これまでチャーター便として運航していたソウル(金浦)線、北京線、上海(虹橋)線、香港線(昼間帯にダイヤ変更)を定期便化しました。羽田線はビジネス需要が多いと予測しておりますが、夜間・早朝時間帯の路線についてはホノルルからの深夜到着便を除いて夜間発・早朝着で設定しているため、地方空港を利用する旅行者の皆様にも活用しやすいスケジュールになっていると思います。国際線との乗り継ぎ時間も、新しいターミナルは店舗が充実していますし、食事や買い物などでそれほど長時間に感じることなくお過ごしいただけるのではないでしょうか。なお、ファースト、ビジネスクラス利用者やマイレージサービスの上級会員の方々には、ラウンジでお食事を提供するなどのサービスを行います。

 羽田の再国際化は大きなビジネスチャンスと捉えています。羽田発国際線と当社の強みである国内線ネットワークとを繋げることで、地方から海外旅行に出かけるお客様の利便性を高め、新たな需要を掘り起こすることができます。一方で成田は、当社が加盟するスターアライアンスのアジアゾーンの重要なハブとして位置付けられています。アジアから成田を経由して欧米へ移動するなど、ネットワークを活用することでアライアンス内の国際線のバリエーションが増え、マニラやジャカルタなど振興するアジアの都市部からの新たな顧客が拡充されていくと思います。
 羽田と成田がそれぞれの役割を果たすことで、首都圏の利便性がアップし、地方では国際線のルートが増える。このチャンスを需要喚起に繋げていきたいですね。

羽田に就航予定の機材、B767-300ER


羽田線に就航するB777-300ERは、
人気のA380と同じシートを利
   シンガポール航空では、成田?シンガポール線を11時台と19時台のダブルデイリーで運航しています。これに羽田発6時台、24時台が加わったことで、ほぼ6時間おきにシンガポールへの航空路線が整ったことになります。お客様には首都圏発、1日4便の中からご自分のスケジュール、空港へのアクセスに鑑みて利用しやすい便を選んでいただけるようになりました。各便のターゲットをビジネス重視、レジャーとセグメントするのではなく、豊富な時間帯を用意して、お客様の都合に合った便を選んでいただく利便性の向上に注力しました。一例として、深夜に羽田を出発して日中にシンガポールで仕事をし、夜シンガポールを出発して日本に早朝着という0泊出張も可能になります。一会社員としてはかなりハードなスケジュールだと感じますが、ビジネスマンの需要の可能性が広がります。

 レジャー需要においては、シンガポール以遠の利用も視野に入れています。例えば、深夜便をご利用いただければ、仕事の後に羽田を出発し翌昼にはバリ島のビーチでのんびりできますし、アンコールワットなどは同日乗り継ぎも可能になります。また、早朝の羽田発はシンガポールに12時台に到着するため、これまで無駄になりがちだった到着初日を有効に活用できます。すでに、羽田線を利用して到着日にシンガポール発着のクルーズに乗り継ぐ商品を企画した旅行会社もあります。路線や日程に柔軟性が生まれれば、これまで旅行を考えていなかった層が旅行に興味を示すなど、新たな顧客の創造に繋がるのではないでしょうか。

 また、一部地方の団体旅行のお客様については、早朝発の便のみ、旅行会社に対して一定の範囲内でバス代の補助を行っています。羽田までの移動手段がない早朝便もバスを設定することで、地方からでも利用できるスケジュールを組むことが可能になります。旅行会社の皆様には、6時間おきに発着するシンガポール線を上手く利用していただき、海外旅行市場の活性化に共に寄与していきたいですね。 。

 ニュースなどで大きく報道されていることから、ここ秋田でも羽田空港の再国際化を知る人は多く、中には「これからは羽田経由で海外旅行に行けるね」と期待感を持つお客様もいらっしゃいます。ただ、秋田では海外旅行の全体的な需要の落ち込みなどもあり、すぐに商品化を検討するには至っていません。まず、国内線と国際線のスケジュールをじっくりと検討したいと思います。中でも特に後泊の問題は重要です。帰国して、同日中に自宅に帰り着きたい心理は大きいと思いますので、羽田空港に夜間到着する路線を利用するのはなかなか難しいですね。早朝着のみでは方面が限られてしまいます。次に、運賃が気になります。アドオンはあるのか、IT運賃はどうなのか。そして、3つ目にバゲージの問題があります。バゲージスルーは非常に重要な要素。同一空港内で乗り換えができるとはいえ、荷物を持って国際線へ移動しなければならないとなると、地元空港での手続き後は現地到着まで身軽に移動できる仁川経由の方が便利になってしまいます。秋田ではなかなか情報が入ってこないため、積極的に動きにくいというのが実情です。

 情報が出そろっていない現状では対応できないのが本音ではありますが、国内・海外のどこかで乗り継ぎが必要な秋田にとって、羽田空港の再国際は非常に嬉しい
ニュースです。羽田から成田に移動する手間が省けますし、秋田-関空線がなくなってしまった現在、「羽田から海外へ」というルートは秋田発の海外旅行の可能性を広げるうえ、利便性が高く、期待しています。
 今はまだ様子見といった段階ですが、来年になれば路線や航空会社も増えますし、いろいろな面で状況や情報が整ってくるのではないでしょうか。羽田の国際線のオープン時には大きく報道され注目も集まります。我々のような地方の旅行会社としては、それらを見てから、来年以降にオーガナイザーものに利用できるかなど、羽田空港の利用に向けて具体的に動いていきたいと思います。

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