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   添乗員のための旅行医学
P10 【Cafe de JATA vol.53】







自然を肌で感じるカヌー体験。

 

森川 モンベルは、アウトドア商品のメーカーとして設立し、今年で創業36年目になります。創業者で会長の辰野勇は、創業前に日本初のロッククライミングの学校を開校するなど、アウトドアツアーの可能性を模索していました。そして、まずメーカーとして、アウトドア市場の基盤を作り、アウトドアスポーツのすそ野を広げることから始めました。

目次 90年代から、商品販売(ハード)だけでなく、イベント(ソフト)をお客様へ提供しようとカヌースクールやトレッキングツアーを企画するようになりました。その後、モンベルネイチャートラベルを立ち上げ、現在では海外トレッキングやカヌーツアーなどの企画も行っています。

森川 アウトドアのツアーは、観光が中心のツアーとは異なり装備が重要です。ツアーの内容によっては、参加者自身がアクテビティに合った装備を用意しなければ参加をお断りせざるを得ない場合があります。

目次 そうですね。そのため事前に、担当者が必要な装備などを参加者にご案内しています。参加者が不安にならないように努めるのも、アウトドアツアーでは大切な役割です。

森川 装備の面では、メーカーの強みが生かせますね。Webサイトやパンフレットでは、ツアーやイベントごとに必要な装備や推薦する道具を掲載しています。参加者に、自社商品に興味を持ってもらえることも、メーカーがツアーやイベントを企画し催行する大きなメリットです。

目次 ただし、野外活動のツアーでは天候に左右されます。私は、クライミングのサブスタッフとしてイベントに同行していますが、天気がよくても岩が濡れていると滑るので岩に登ることが難しくなります。

森川 ラフティングもそうだよね。晴天でも、前日の雨で川が増水している日はNGだったりする場合があります。雨で中止ならまだ参加者は納得してくれますが、天気がよくて中止になる場合は、理解していただくのが難しい場合もあります。しかし、アウトドアのツアーは安全第一。理解していただくために、丁寧に説明しています。

目次 また、参加者1人ひとりのレベルを見極めていくことも重要。事前に電話などでどの位のレベルか聞いていても、実際見てみないとわからないことが多い。クライミングの場合は、日帰りイベントが多いので、当日速やかに参加者のレベルを判断して、安全に遂行できるよう臨機応変な対応を心がけています。

目次 交通や宿泊を伴うツアーの手配は大阪のモンベルネイチャートラベルが行いますが、ツアーやイベントの企画そのものは、グループ会社の社員だれもが提案できます。なので、地域に密着した企画ができるんですよ。

森川 店ごとに周囲の環境や客層が異なるので、来店したお客様の声を元にツアーやイベントを企画することが多いですね。基本的には発案者の社員が、現地発着イベントのリーダーになったり、ツアーに同行したりします。参加者からの「こんな商品ないの?」や「こんなイベントをしてほしい」といった声は、次の企画や新しい商品開発のヒントになります。参加者に装備の正しい使い方を案内するのですが、自社商品だと説明に熱が入ってしまいます(笑)。

目次 私はまだ、アシスタントとしての同行ですが、ゆくゆくは、新たなイベントやツアーを企画していきたいです。

森川 国内外で年間230本ほどツアーやイベントを催行していますが、一番人気は、モンベル会長の辰野と行くツアーです。リピーターも多いですよ。その他には、地図の読み方や登山技術を磨く山歩き講習会、女性のためのトレッキングイベントも人気です。

目次 社会的に山登りの認知度が上り、トレッキングに興味を持つ女性の1人参加も増えました。「山登りを始めたいけど1人では不安」といった人が参加しています。女性では30代、男性では40代前後と、比較的若い方の参加者が多く、店舗に足を運んでくださったお客様が、店員のアドバイスから興味を持って参加することも多いです。「この山に登りたい」という意気込みで参加する人より、「山に行って何かを楽しもう」という参加者が増えてきているのも近年の傾向です。

森川 山の中で楽しむスポーツも年々増えてきていまね。専用のロープやサドルハーネス(安全帯)をつかって木に登るツリークライミングや、木と木に縄を張り綱渡りをスポーツのように楽しむスラックラインは、スポーツとして人口が増えてきています。


美方高原でのスノーシュー。初対面の人でも、
体を動かした後は会話が弾む。


クライミングは近年女性にも人気。

森川 今後は、親子で参加できるツアーやイベントをもっと増やしていきたいです。若い親はアウトドア体験をしたことがない人が多く、子どもと野外で楽しみたくてもその方法がわからないという声を聞きます。イベントを通して、お父さんやお母さんにも自然に触れていただき、親子の絆を深めてほしいですね。

目次 私は、将来的には、ロープをつかったクライミングの講習を開催してすそ野を広げていきたいです。

森川 そうそう、初心者向けだけではなく、レベルアップする為の講習も増やしたいです。やはり、参加者も経験を積むとレベルアップしたいと考えるもの。モンベルでは、日本各地の有名な山へのツアーも数多く用意しています。さらに、佐渡やニセコなど日本各地にフレンドエリア(協力地域)として提携しているアウトドアエリアがあり、その場所に精通した地元のガイドさんもいます。そのガイドさんたちと協力して、地域の自然を最大限に生かした、地元ガイドならではのきめ細かいアドバイスのできるアウトドアイベントを企画していきたいと思っています。



北アルブル縦走など中?上級者向けのイベントも
多数揃えている。


女子登山イベント。
女性はやはりファッションにもこだわりがある。


雄大な景色を楽しめる
カナダ・ユーコンでのひととき。



4月、5月に被災地でボランティアを行いました。被害があまりにも大きく、1日だけのボランティア活動では被害に対してほんのわずかしかお手伝いできていない思いになりました。旅行商品による支援、ボランティアなどの社会貢献活動などいろいろな方法で息の長い支援を行うことが求められるのではないでしょうか。

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