3月号インデックス特集PeopleJATA NOW│Cave de JATA│添乗員のための旅行医学バックナンバー
   添乗員のための旅行医学
P10 【Cafe de JATA vol.57】






 

南雲 私たちが提供する旅は「多国籍ツアー」に代表されるように、参加者がバスで移動しながら観光地を巡り、添乗員がきめ細やかにお世話をするツアーではありません。参加者が自分で考え、自主的に動かなければならないフレキシブルなツアーが商品なので、人によって向き、不向きがあります。それを知っていただくために、以前からツアー説明会や報告会などのイベントを頻繁に行っていました。

山口 その時に、イベント後に盛り上がって二次会を飲食店で行うことがよくあったことと、「隊員(お客様)が気軽に戻れる場所」をつくりたいという隊長(社長)の夢もあって、オフィスと兼用で「旅するカフェバー」を昨年6月にオープンしました。

菱川 ツアー説明会や報告会などの用事がないときには訪問しにくいオフィスに比べ、カフェバーがあると旅行とは関係なく気軽に立ち寄ることができると隊員にも好評です。

南雲 内装は、お客様である隊員が手伝ってくれたんですよ。

山口 カフェバーをオープンしてからは、説明会や報告会だけでなく、ツアーに直接関連しない「アフリカン・ライブ」などのイベントを行うようになりました。当社はリピーターが多いのが特徴ですが、イベントという切り口は新規の方も参加しやすく、結果的に新しい顧客層を広げる場にもなっています。

南雲 カフェバーで開催する報告会はスタッフが話をするのではなく、参加した隊員が進行を務めます。そのほうが臨場感があり、参加者も楽しめるからです。

菱川 参加者の中には、ツアーで楽しかったことや大変だったことなどの体験談を話したい人も多いので、報告会を楽しみにしているリピーターの方もいます。

山口 「生」の声はスタッフにもよい刺激になりますね。
 すべてのツアーでアンケートの協力をお願いしていますが、嬉しいことに皆さん結構詳しく書いてくださいます。この情報は次回の企画や手配にも反映でき、お客様にその情報を元に案内したり、ガイドさんにフィードバックをして、より良いツアー作りの参考にしています。

南雲 アンケートはカフェバーで誰でも自由に見ることができます。ツアーに参加したい人にとって、「トータル予算はどのくらいか?」、「服装は?」などリアリティーある回答は、よい参考資料になっているようです。

山口 ツアーの情報交換には、カフェバーを活用した交流に加え、ネットも活用していますよ。「大人の修学旅行」では、国内で体験を主軸にした企画をしたり、「多国籍ツアー」を貸切にして日本から皆と一緒に作り上げるのですが、出発前に掲示板を開設して、ツアーに申し込んでいる参加者同士がネット上で事前に会話できる環境を作っています。
 掲示板では「1日目の食事は〇〇を作ろう」や「〇〇を持って行った方がいいかな」など、参加者同士が相談してツアーの計画を事前に立てています。そのおかげで、出発するときには初対面でもすでに知り合いのようになっていたりして。ニックネームも事前に決まっていたりするので、皆さん初めからスムーズに行動を共にしています。

南雲 さらにツアーが終了してもそれで終わりではなく、報告会などを開いて再びカフェバーに集まったりしています。

菱川 今は隊長がはまっていますが(笑)、フェイスブックが貴重な情報発信ツールです。ミクシーやツイッターなどのSNSにも取り組んでいましたが、フェイスブックはリアルタイムに情報のやり取りができ、反応が即座にわかるので楽しみながらやっています。

山口 隊員同士のやり取りを見ることもできるため、「〇〇ツアーがないかな〜」とか「行きたいツアーが満席になっていたよ」など、数字だけではわからないお客様の動向や心理を知ることができます。
「次回は席数を増やそう」、「このツアーはこの時期に人気があるな」などとビジネスヒントにもなりますね。


スタッフが参加したボリビア&ペルー3weeksの
多国籍ツアー。写真はボリビアのウユニ塩湖

元スタッフ、現隊員が行ったモロッコ。
スタッフが経験したツアーはその後、
隊員間でブームになることも

多国籍ツアー」で利用するバス(一例)


「多国籍ツアー」を同社で貸切にし、
日本人向けに日程などをアレンジして行った
「大人の修学旅行 インカトレッキング

エクスプローラ主催の「大人の修学旅行in屋久島」。
旅程が進むうちに旅仲間としての連帯感が生まれる

南雲 ツアーにはスタッフが同行することもありますが、隊員はみんなニックネームで呼び合うようにしています。僕はナグモなので、隊員に「ナグ」や「ナグさん」と呼ばれています。ニックネームで呼び合うとより親近感が沸きます。

山口 私はお客様に友達、仲間として接することもあります。顔見知りのリピーターの隊員には、友達感覚で話しかけたりするなど、話しやすい雰囲気作りを心がけています。メールのやり取りでは堅苦しいビジネス文章ではなく、ちょっとお茶目にしたりして(笑)。

南雲 ツアーに同行するときは、最初こそスタッフがグループを引っぱりますが、そのうちリーダーシップを発揮する人や英語の通訳担当など、それぞれ参加者の中で役割分担ができてきます。だから自然と私たちはグループの中で、不足している部分を補うような役目になるんですよ。それが、隊員自らが主体的に「旅」をしている感じを味わえるんだと思います。

菱川 スタッフが個人的に旅行した地域が人気になることが多いのも、隊員と距離が近いからかな。
 地球探検隊独自のブームがあるんですが、スタッフの誰かが最近行ったエリアがそれになることが多いんですよ。今は、アフリカや南米。自分が旅行に行った場所は熱を込めて説明するので、その思いが隊員に伝わり、独自のブームとして広がっているようです。

南雲 よい意味で「プロ」になりきらず、スタッフも楽しむことが重要ですね。自分が楽しくないと感動は人へ伝わりません。今後も自分が面白いと思うことが、ツアーとしてカタチになっていければと思います。


お客様(隊員)が参加したケニアの多国籍ツアー。
ツアー後に写真を持ってきてくれる隊員も多い


昨年6月にオープンした、オフィス兼用の「旅するカフェバー」。
月数回はイベントを開催する


今回の特集では、旅行業界を目指す学生さんを取材しました。やる気あふれる学生さんたちばかりでしたが、彼らのような学生が数多く旅行業界を志望してくれることを願わずにはいられませんでした。(さ)

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