金澤 もともとは一般の観光ツアーを手掛けていたのですが、(社)日本獣医師会のツアーを手掛けたことがきっかけで信頼をいただき、徐々に獣医師関連の仕事が増えてきました。価格競争に拍車がかかる中、観光から徐々にシフトしたことで、今では獣医師関係のツアー企画や手配が主な仕事になりました。
近年のペットブームで、世間では獣医師の需要が高まっているのも私たちには追い風。日本の獣医師は動物の身体全般を診ることが多いですが、海外では人間と同様、獣医療が専門的になっています。そのため、獣医学の学会も人間の医学同様、心臓病や皮膚病など専門的分野に分かれ高度な獣医療の研究発表が行われています。人気の高い学会はやはり需要が多い犬や猫などの小動物系です。
長澤 獣医学会のツアーで多くの参加者を集めるには設定する時期が重要です。4〜6月は狂犬病の予防接種の時期で忙しいため、参加が難しくなります。比較的ドクターが時間を取りやすい1?2月に多くのツアーを企画しています。
獣医師は独立開業医が多いためか、われわれのような中小の旅行会社に親近感を持ってくださるようです。ニーズに応えられるよう、小回りのきく対応を心掛けています。
江藤 そのためにも、私たちは担当者がツアーに同行し、現場での要望にフレキシブルに対応しています。時に、睡眠時間が2時間ぐらいになることも…。ただ、同行することでドクターがどのような学会を求めているのか、どのようなセミナーに行きたいのかといったニーズを知ることができ、次の企画のヒントをもらうことができます。なにより、ドクターと一緒にセミナーや学会を見ることができるので、専門的なツアーを造成する上でも勉強になります。
金澤 通訳が必要な場合は、通訳者も日本から同行します。現地にも日本語通訳はいますが、専門用語が多く、特に質疑応答は英語はもとより専門知識の深い理解力がないとできません。私など日本語訳を聞いても専門用語だらけでわからないほどですから(笑)。そこで私たちは獣医師の先生に通訳を依頼しています。多忙を極める優秀な先生方なので移動にはビジネスクラスを用意したり、宿泊するホテルにも要望が出ます。そのため、参加者が10人ぐらいでは通訳代の元も取れませんが、高度な通訳はツアーの要であり外すことはできません。
長澤 その分、現地手配に関しては基本的に海外のランドオペレーターを通さず、私たちが直接海外のサプライヤーや学会本部とやり取りしてコストを下げています。それに直手配は、急な現地での変更もスムーズに要望できて便利です。
金澤 特に学会の参加者は行程の変更希望が多く、急に観光場所やショッピングを追加することが日常茶飯事。直手配なら現地で交渉して、すぐに対応できます。その他、宿泊施設もフレキシブルに対応できるようにオーストラリアのブリスベンに30数名が一堂に宿泊できるコンドミニアムを所有し、利用していただいています。。
|