3月号インデックス特集1特集2旅の力JATA NOW│Cafe de JATA │添乗員のための旅行医学バックナンバー
   添乗員のための旅行医学
P10 【Cafe de JATA vol.52】







 

金澤 もともとは一般の観光ツアーを手掛けていたのですが、(社)日本獣医師会のツアーを手掛けたことがきっかけで信頼をいただき、徐々に獣医師関連の仕事が増えてきました。価格競争に拍車がかかる中、観光から徐々にシフトしたことで、今では獣医師関係のツアー企画や手配が主な仕事になりました。
 近年のペットブームで、世間では獣医師の需要が高まっているのも私たちには追い風。日本の獣医師は動物の身体全般を診ることが多いですが、海外では人間と同様、獣医療が専門的になっています。そのため、獣医学の学会も人間の医学同様、心臓病や皮膚病など専門的分野に分かれ高度な獣医療の研究発表が行われています。人気の高い学会はやはり需要が多い犬や猫などの小動物系です。

長澤 獣医学会のツアーで多くの参加者を集めるには設定する時期が重要です。4〜6月は狂犬病の予防接種の時期で忙しいため、参加が難しくなります。比較的ドクターが時間を取りやすい1?2月に多くのツアーを企画しています。
 獣医師は独立開業医が多いためか、われわれのような中小の旅行会社に親近感を持ってくださるようです。ニーズに応えられるよう、小回りのきく対応を心掛けています。

江藤 そのためにも、私たちは担当者がツアーに同行し、現場での要望にフレキシブルに対応しています。時に、睡眠時間が2時間ぐらいになることも…。ただ、同行することでドクターがどのような学会を求めているのか、どのようなセミナーに行きたいのかといったニーズを知ることができ、次の企画のヒントをもらうことができます。なにより、ドクターと一緒にセミナーや学会を見ることができるので、専門的なツアーを造成する上でも勉強になります。

金澤 通訳が必要な場合は、通訳者も日本から同行します。現地にも日本語通訳はいますが、専門用語が多く、特に質疑応答は英語はもとより専門知識の深い理解力がないとできません。私など日本語訳を聞いても専門用語だらけでわからないほどですから(笑)。そこで私たちは獣医師の先生に通訳を依頼しています。多忙を極める優秀な先生方なので移動にはビジネスクラスを用意したり、宿泊するホテルにも要望が出ます。そのため、参加者が10人ぐらいでは通訳代の元も取れませんが、高度な通訳はツアーの要であり外すことはできません。

長澤 その分、現地手配に関しては基本的に海外のランドオペレーターを通さず、私たちが直接海外のサプライヤーや学会本部とやり取りしてコストを下げています。それに直手配は、急な現地での変更もスムーズに要望できて便利です。

金澤 特に学会の参加者は行程の変更希望が多く、急に観光場所やショッピングを追加することが日常茶飯事。直手配なら現地で交渉して、すぐに対応できます。その他、宿泊施設もフレキシブルに対応できるようにオーストラリアのブリスベンに30数名が一堂に宿泊できるコンドミニアムを所有し、利用していただいています。。

長澤 ツアーは、基本的に例年人気の学会をベースに企画していますが、毎年2〜3本ほど新しい学会ツアーやオリジナルのセミナーを企画しています。その企画が好評であれば、次の年に定番ツアーとして売り出しています。数ある学会やセミナーの中から、どれをツアー化するかを決めるのは、社長の長年の経験ですね。

金澤 こればかりは、時期、デスティネーション(訪問国)、先生方との普段のコミュニケーションから感じる勘みたいなもの。参加者が10〜100人程度のものが多い中、場所がよかったのかフランスのリヨンでの学会ツアーは、150人ほど集まり好評でしたよ。

長澤 ペットブームで多種多様な動物が家庭で飼われるようになり、動物の種類も豊富になってきています。今後はメジャーな動物だけでなく、必要に応じてニッチなニーズの学会ツアーも案内していけたらと思います。

江藤 現地のドクターから新しいツアーのヒントをいただくこともありますね。いろいろな国の学会に同行すると、権威あるドクターと知り合う機会も多くなりますから。

金澤 これも旅行業に携わる者の楽しみのひとつです。

江藤 そうですね。そのドクターから「次の○○の学会はお勧めだよ」、「オリジナルで○○セミナーを企画してツアーをつくったら?」、「ここの動物園のバックヤードツアーが面白いよ」、「この動物病院はいいよ」などアドバイスをいただくことも。こうした情報を元に、新しいツアーを企画することもあります。

長澤 学会やセミナーに参加するドクターは、自らすすんで参加する人から、病院からの勧めで参加する人などとさまざまです。また、家族同伴で参加するドクターも多いので、セミナーや学会以外のエクスカーションも新しいアイディアをどんどん取り入れています。

江藤 添乗帰国後はツアーレポートを作成して、サイトにアップしています。少しでも多くの人に興味を持っていただき、新規顧客開拓の手助けになれば嬉しいです。


ウエスタン獣医学コンファレンス実習セミナー。
人気のセミナーには多くの獣医師が参加する。


カリフォルニア大学デービス校獣医学セミナーの講義風景。


同じく、顕微鏡実習風。

江藤 今後は、まず学会参加者からリクエストのあった動物の目の学会やリハビリ分野のセミナーなどを実現していきたいです。

長澤 獣医学での先進国はアメリカになりますし、オーストラリアやヨーロッパも専門医制度が定着し、レベルが高いのです。日本の獣医学生は臨床経験が少ないので、海外との違いを知って刺激を受けてもらえるような教育プログラムを作成していきたいですね。さらに、獣医学部以外の学部の教育プログラムも企画していきたいと考えています。

金澤 今後、経営面では獣医師の参加が少なくなる4〜6月をカバーすることを念頭に、この時期に開催される国際ロータリー年次大会参加ツアーにも力を注ぎたいと考えています。もちろん今後とも獣医界に少しでも役に立てるような新たな企画も開拓していきます。



ハワイ獣医師会年次大会の実習風景。実際の医療器具を用いての説明。


今後、力を入れていきたい国際ロータリー年次大会。写真はモントリオールでに朝食会の風景。


全国公営競馬獣医師協会、
ラスベガスでの馬実習セミナー。



12月に羽田空港から海外に行った際、クレジットカードに付帯する海外旅行保険だけで済まそうと思っていました。が、海外旅行保険が自動付帯から利用付帯に変わっていました。あわてて出発前に空港で保険に入って出かけました。出発前にしっかりチェックしないといけないことをあらためて実感しました。(さ)

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