会報誌「じゃたこみ」 【JATA活動】3年3カ月に及んだ
「JATA新型コロナウイルス感染症対策部会」がついに終了

更新日:2023年12月22日


5月8日に新型コロナウイルス感染症が2類相当から5類へ移行されたことで、JATAの取組みにもひとつの節目が訪れました。3年3カ月、39回に及んで続いた「JATA新型コロナウイルス感染症対策部会」がその役割を終え、5月19日、ついに最終の部会を迎えました。

「JATA新型コロナウイルス感染症対策部会」は国際往来を中心に、旅行を取り巻く環境が日々刻々と変わる中、過去の疫病や災害の事例を参考に、いま必要な情報交換や対策を検討するために設置されました。2020年2月、第1回が開催された対策部会には、会員会社、事務局など合わせて20名が参加しました。

第1回から19回まで部会長を務めたのはJTB(当時)の大野正則氏でした。「実際に各社で起こっていることや、各社が抱える悩みを包み隠さず話せる場でなければこの部会を実施する意味はない」と、大野氏は自ら会社の実情について大きく踏み込んで話をしました。そして敢えて議事録を残さず、誰もが本音で話せる場を作ったのです。その思いが参加者に伝わり、第1回から最後に至るまで、全員がどんな事でも相談し、解決に向けて意見を言い合える重要且つ貴重な部会として、一時期は月に2回実施し、感染が高下する中、緊迫した話題を共有し合うことも数多くあり、コロナ禍において大きな役割を果たしました。

対策部会の役割のひとつにはコロナ禍での旅行の実施に関わるガイドラインの作成がありました。旅行は宿泊、食事、観光施設など様々な場面の集合体であり、それぞれのサービス提供事業者毎に産業別のガイドラインが作成されたことから、重複を避ける観点からも、店舗等でのお客様と従業員の感染対策、旅行催行の判断、旅程上での健康管理等の旅行業特有の事項に関して議論を重ねながらガイドラインを作成しました。また、貸切バスについては、バス事業者と旅行会社がどの場面でどのような責任を持つかの議論を重ね、バス協会と共同での発行となりました。これらのガイドラインはコロナ禍での旅行実施において重要な指針となりました。

初回から部会の事務局として携わってきたJATAの渡辺正樹次長は「発足初期は、未知の感染症の今後の収束想定や、感染者が出た場合の対処と情報発信のあり方など、自社のみでは答えの出にくい事案に対して、相互扶助の機能を果たせたように思います。その後、初めて緊急事態宣言が発出された頃からは、ガイドラインや新しい旅のエチケット発行など、コロナ禍でも旅行ができるようにするための出口戦略の実行と、部会員から提供されたデータを基に月別の売上想定グラフを作成することで、後に実現した雇用調整助成金特例措置や国内旅行需要喚起策の要望の裏付け資料とするなど、多くの会員企業の経営を支える活動を行えたのではないかと思います」と振り返ります。

迎えた最終日、初回から部会長を務めた大野氏からの手紙をJATA事務局の鈴木副部長が代読しました。そこには手探りの中でのこれまでの道のりと、包み隠さず各社の実情をお話いただいた会員各社の担当者の皆様への心からのねぎらいと感謝の思いが綴られていました。第20回から部会長を引き継いだ若松英樹氏(日本旅行)も「皆様のご協力のおかげで20回もの部会を有意義に運営することができました」と挨拶され、未来の災害時に役立てるための情報アーカイブの進捗を確認し、閉会となりました。

平時はライバル関係にある旅行会社ですが、緊急時において力を合わせることで、支え合いながらこの難局を乗り切ってきました。この経験はいつかまた来るかも知れないパンデミックに大いに活かされることでしょう。コロナ対策部会の皆様には見えないところでコロナ禍での旅行業を献身的に支えていただきました。本当にお疲れ様でした。そして、ありがとうございました。