会報誌「じゃたこみ」 【法務の窓口】
「離団確認書等」の役割

更新日:2025年07月24日


法務・弁済部
(監修 弁護士 三浦雅生)

 旅行者から「ツアーの途中だけど、少しの間だけグループを離れて行動したい」という離脱の申し出があった時、「離団確認書」や「離団届出書」などの書面(以下、「離団確認書等」)のご記入いただくことは、皆さんもよく経験されていることと思います。今回は、その「離団確認書等」の役割と誤解されがちな点についてお話ししたいと思います。

・「特別補償規程」ってなんだろう?
 まず、「離団確認書等」の理解を深めるために、その前提となる「特別補償規程」について簡単におさらいしましょう。「特別補償規程」は、旅行業者が企画したツアーに参加中の旅行者が、突然の事故でお亡くなりになったり、後遺障害を負ったり、また、身の回り品に損害を被ったりした場合に、たとえ旅行業者に落ち度がなくても、旅行者に一定の補償金等を支払う制度です。

・「企画旅行参加中」はいつからいつまで?
 その「特別補償規程」の対象となるのは、「企画旅行参加中」に発生した事故となりますが、「企画旅行参加中」とは具体的にどの期間を指すのでしょうか? 原則として「企画旅行参加中」とは、旅行開始(始期)から終了(終期)までの間(下記別表1参照)を指しますが、旅行者が離脱及び復帰の予定日時をあらかじめ旅行業者に届け出ることなく離脱したとき又は復帰の予定なく離脱したときは、その離脱の時から復帰までの間又はその離脱した時から後は「企画旅行参加中」とはなりません。

※別表1

・「離団確認書等」の役割は?
 つまり、「離団確認書等」とは、旅行者がツアーから離脱する意思と離団期間を確認して「企画旅行参加中」の期間を明確にするための届出書面であり、旅行者が一時的にツアーから離れる場合でも、「特別補償規程」が適用されるようにするための手続きです。

・「離団確認書等」の受け取り方や書き方は?
 「離団確認書等」の収受方法や記載内容に特に規定はありませんが、離脱日時や場所及び復帰予定がある場合の復帰予定日時や場所など「離脱」と「復帰」の時期が明確にわかるような内容にしていただくのが良いでしょう。

担当 法務・弁済部 京近秀典