会報誌「じゃたこみ」 【JATA活動】2022JATAインターンシップ開催

更新日:2023年12月22日


 

業界の卵をあたためる 2022JATAインターンシップ開催 
会員会社9社にて50名を受け入れ実施

 日本旅行業会は2022年8月29日~9月3日の6日間、旅行業への就職を第一志望として考えている大学3年生を対象に業界の最新事情や魅力を伝えることを目的としたインターンシップを実施しました。会員会社での就業体験を通じ、旅行業の実情や課題を肌身で感じ、旅行業界への就業意欲を高めることを狙った当該インターンシップは、会員会社の協力により本年度で9回目の開催となりました。コロナ禍により2年ぶりとなった今年のインターンシップには観光系の授業やゼミを実施している学校14校(亜細亜大学、跡見学園女子大学、桜美林大学、川村学園女子大学、杏林大学、帝京平成大学、獨協大学、東洋大学、日本大学、文教大学、明海大学、明治大学、立教大学、早稲田大学※五十音順)より50名 〈男子12名、女子38名 〉が参加、就業体験の受け入れ企業として、9社(ANA X、KNT-CTホールディングス、JTB、ジャルパック、東武トップツアーズ、日本旅行、農協観光、阪急交通社、名鉄観光サービス)が参画しました。

 

 

職業としての旅行業

就職活動を勝ち抜くセミナー

 

旅行業界に熱い思いを抱き、コロナ禍を過ごした学生の業界就職に対する意識

 大学担当教授の推薦が必要とされる当該インターンシップには、目的意識の高い学生が多く集まってきます。彼らの志望動機には「旅行会社の仕事はコロナ以前とどう変化したのか知りたい」、「変革期にある旅行産業が抱える課題について知りたい」といった業界の動向把握の他、「ツーリズム産業における地域創生の過程を体験したい」、「旅行会社が社会や人にどのように貢献しているのか、旅行会社の本質を学びたい」など旅行会社の存在価値に対する興味、また、「大学での学びを仕事に活かしたい」、「“旅行業の仕事”について、イメージと現実のギャップを小さくしたい」など業界で働くことに対する適正確認といったものが多く見受けられました。コロナ禍において、観光を学んできた学生の中には、業界で働くことに対する強い意思はもっているものの、不安を抱いている人もいるようです。インターンシップを通じて、その思いを確固たるものにしたいといった気持ちが伝わってきました。

 

熱心にインターンシップに取り組む学生たちと、
そんな学生から刺激を受けた社員

 就業体験の受け入れ企業からは、業界就職に向けての意識が高い学生が多いことを裏打ちする報告やインターンシップ受け入れによる効果についてのコメントが寄せられています。

 「学生に対し希望する職種を尋ねたところ、具体的にやってみたい仕事のイメージを持っている学生が多く、志望度の高さを感じられました」、「観光業の持つ問題点の洗い出しを行った際に、知識の豊富さを感じました」、「テーマに沿ったプレゼンのためのグループワークの様子も積極的で大学で学んだ知識や想像力を働かせながら取り組んでくれました」(日本旅行)。「予め自社について調べてきてくれている学生さんも多く、業界知識はさることながら、何事にも積極的に取り組み、前向きな学生でした」、「地域活性化に興味を持っている学生が多く、積極的にメモをとり質疑応答も盛んで、日頃から観光について学んでいる学生ならではの視点に驚かされました」(ジャルパック)。

 また、「就活時の質問について、学生にお答えする中で、自分がなぜ旅行業界を志すようになったか、何がしたくて入社をしたのかを振り返る良い機会となり、引き続き頑張ろうという気持ちになりました」(日本旅行)、「学生の前向きな姿勢を目の当たりにすることで、自分も初心に帰ることができました」、「旅行業を希望する学生が将来も旅行業界で輝き続けられるよう、我々が持続可能な旅行業界を創り上げていきたいと思います」(ジャルパック)といったコメントも寄せられています。受け入れ企業においては、インターンシップで学生と触れ合うことにより、業界で働くことについてのモチベーションやロイヤリティ向上につながるといった効果も得られたようです。


 

コロナ禍での観光系学部の悩み

 今回のインターンシップの運営を担当した総務・広報部の鈴木副部長は次のように話します。インターン生募集にあたっては、大学教授と様々なやり取りを重ねてきました。その中で、コロナ禍を受けての観光系学部を抱える大学の悩みも知らされました。旅行業界の採用については、この2年、中止、縮小となり、観光系学部の教授の最終目的ともなるツーリズム業界への入社はとても狭き門となっていました。コロナ禍の影響を受け観光系学部の人気は落ち、かつては300名以上の応募があった学部も100名程度になったりと、大学も厳しい状況が生じていたようです。親御さんからみても補助金なしではもたないような業界に子供が就職するのは不安なことかと思います。就職先として旅行業界の人気は間違いなく落ちていました。このような背景もあり、採用について改善傾向が伺える中、開催された今年のインターンシップについては、「どうしても参加させてあげたい」、「既定の人員募集に対して、もう少しお願いができないか」といった依頼も担当教授より受けていました。また、「これからは、学生に対しツーリズム業界への就職と結びつける指導が可能となり、希望を持った話ができるようになった」といったとても前向きなお話も聞かれるようになりました。JATAとしては、その期待に応えたいとの強い思いで今年のインターンシップ開催に臨みました。

 

 

 

総務・広報部 鈴木俊哉副部長

 

人生を託すことができる業界だと確信をもてるようなインターンシップに

 インターンシップ受講にあたっては、就業体験を通じて“コロナ禍により広がりを見せた産業”だということを体感してもらいたいと考えました。ツーリズム産業は経済を支える大きな産業です。コロナ禍の中で、企業や自治体に対してのソリューションビジネスなど、観光以外の取り扱いも増え、広がりを見せています。いかなる状況に追い込まれても、新たな可能性を導き出すことのできる、そんな業界の魅力を伝えることができればと準備を進めてきました。
 コロナ禍を経て、ツーリズムについての価値が見直され、観光系学部の人気はますます高まっていくものと考えます。一人でも多くの優秀な学生が業界の仲間となり、観光業界のさらなる活性化、成長に繋げられるよう、研修プログラムに磨きをかけ、参加した学生から「自分の人生を託していける業界だと確信できた」と言ってもらえるようなインターンシップにしていきたいと思います。

 

 

 

 

 

インターンシップ振り返り評価

  事後アンケートによる学生からのコメントには有益であったとのコメントが多く寄せられています。
 (以下、アンケートコメント抜粋)

・「コロナ禍により対面でのインターンが限られている中、
  就業体験においては深く、企業と関われ大変有意義なものとなりました」
・「学外と関わることで様々な刺激を受けました」
・「就職活動における仲間も増えていい経験ができました」
・「旅行業界を深く知るきっかけになりました」
・「旅行会社の特徴や業務内容は会社により大きく異なっており、
  自分と会う雰囲気の会社、会わない会社があると感じました」
・「従来のビジネスとは異なっており、旅行とは直接関係のない価値を
  提供することも重要だと理解を深めることができました」
・「インターンシップを通じて学んだことをこれからの就職活動に活かしたいです」
・「初日に最終日に設けた職業としての旅行業や就職活動セミナー、
  振り返りなどがあることで、効果的に学ぶことができました」

 尚、同アンケケート内にて「今回のインターンシップを通じて旅行業のイメージは変わったか?(1~5段階評価)」との問いに対して、60%(5=33%、4=27%)の学生が、良い方に変わったと回答し、また、「インターンシップ参加、事前・事後の旅行業界への志望度」については、絶対に就職したいが+23ポイントとなりました。旅行業界への就業意欲を高めることを狙った当該インターンシップ実施にあたり、一定の成果をあげることができました。