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更新日:2023年12月22日
監修 弁護士 三浦雅生
「往路便が欠航したので自力で向かった」―旅程管理債務を免除する特約― ANAで行く金沢2日間 「旅行に途中から参加したものの、予約が取り消されている」という連絡を頂くことがあります。現地から参加するので、宿泊と帰りの便はそのままにしておいてくれというものです。国内旅行において散見される事案を検証します。 ◆替わりに新幹線で向かった! 旅行出発当日、大雪警報のためANAの往路便が欠航。自分の判断で運行していた北陸新幹線で金沢に向かい、ホテルにチェックインしようとしましたが、ホテルの予約が取消になっていました。旅行会社に連絡したところ、「往路の飛行機が終日欠航のため、旅行の企画・実施は致しません」と言われました。金沢のホテルに着いてから連絡があったのでは遅すぎます。 ◆旅行契約を解除する意思 航空機が大雪のため欠航し、終日運航中止予定。この場合、旅行会社としては速やかに旅行実施の可否について判断し、催行を中止するのであれば、旅行契約を解除する必要があります。そうすれば旅行者と旅行会社との間に契約関係はなくなります。 航空機が終日運航中止という情報を得た時点でしっかりと契約の解除を伝えないと、募集型企画旅行の契約関係が結ばれたままの状態と解され、万一重大な事故等が発生した場合は補償を請求されることになるかもしれません。 旅程管理債務を免除する記載例は、いくつかの旅行会社では契約の段階の旅行条件書で「航空機や列車が欠航の場合」という条文があり、そのなかで対応を説明しています。 この記載は解除の意思表示をしないで、解除(催行中止)の効果を出すための一種の催行条件になりますから、募集段階から旅行者に説明しておく必要があります。 ところで、「旅程管理債務の免除を特約」とする旅行契約が結ばれたものでも、募集型企画旅行で負う手配債務、安全確保債務、旅程保証責任、そして特別補償責任は旅行会社の債務として残ります。この特約があるからと募集型企画旅行で負うべき債務が一切なくなるものではないので、十分注意してください。
担当:曽田 五夫
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