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更新日:2024年05月21日
法務・コンプライアンス室(監修 : 弁護士 三浦雅生)
2021年改正の障害者差別解消法(障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律)が2024年4月1日から施行されます。
合理的配慮の提供の義務化 障害者差別解消法が求めているのは「不当な差別的取扱いの禁止」と「合理的配慮の提供」です。「不当な差別的取扱い」は従来から行政機関等のみならず、事業者も禁止されていましたが、「合理的配慮の提供」は行政機関等は義務でしたが、事業者は努力義務でした。今回の改正で事業者(旅行業者)も「努力」だけでは足らず、「提供」することが「義務」とされたことが大きなポイントです。そして国交省が定めた事業者が適切に対応するために必要とされる「対応指針」も改定され、その「別紙」に記載されている旅行業に関する「不当な差別的取扱いに該当するか否か」、「合理的配慮の提供義務違反に該当するか否か」の具体例も拡充されました。 JATA/ANTAではこれらを反映させた「障害者の旅行参加を推進するための手引き」の改定版を作成し、その解説動画を配信していますので、是非ご覧ください。(解説動画はこちら)
合理的配慮の提供について 障害のある旅行者からから旅行に参加するにあたって、例えば目の不自由なお客様から取引条件説明書面などを読むことができないと伝えられたときには、旅行業者は負担が重すぎない範囲で必要かつ合理的な対応をする必要があります。「負担が重すぎない範囲」であるかどうかは、①事業への影響の程度、②実現可能性の程度、③費用負担の程度等を考慮して判断するものとされていますので、一概には言えませんが、例えば上述場合は書面を読み上げるなどの方法で対応しましょう。なお、点字の書面を用意することまで必要とされるものではありません。 一方で、「合理的配慮」は「事業の本質的な変更には及ばない(対応指針)」となっていますので、例えば、高度の医療行為や食事・排泄等の介助行為などは旅行業者の本来の業務に付随するものとは言えませんので、合理的配慮として求められる行為にはあたらないと考えられます。
申込みフォームの見直しを 旅行業者がウェブサイトで申込を受ける場合の申込フォームに「参加にあたり特別な配慮が必要か」との質問がなく、またはあったとしてもその項目への入力にかかわらず旅行契約を成立させてしまう仕様になっているものがあります。これでは結果として特別な配慮を提供しないままでの旅行参加となった場合、一部の旅程に参加できない事態にもなりかねません。そこで、「特別な配慮が必要」と回答があった場合はそのまま契約を締結するのではなく、「改めて連絡します」として、後ほど詳細をお伺いしたうえで対応することを推奨いたします。
担当 法務・コンプライアンス室 五十嵐 秀樹
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