会報誌「じゃたこみ」 【海外】4月14日(金)、羽田空港国際ターミナル「TIAT SKY HALL」にて
アウトバウンド促進協議会が4年ぶりの総会を開催

更新日:2023年12月22日


政府観光局、大使館、航空会社、空港会社、旅行会社よりおよそ180名が集結

アウトバウンド促進協議会(Japan Outbound Tourism Council、以下JOTC)は4月14日(金)、羽田空港第3ターミナル(国際ターミナル)TIAT SKY HALLにて、4年ぶりに総会を開催しました。
構成メンバーである政府観光局、大使館、航空会社、空港会社、旅行会社よりおよそ180名が集結、JOTCの7つの部会の今後の活動方針や「海外旅行促進プロジェクト」について発表しました。総会終了後に催された懇親会は情報交換やネットワーキングに向け貴重な場となりました。

 アウトバウンド促進協議会はJATA海外旅行推進部が事務局運営を行い、観光局、航空会社、旅行会社、空港会社、大使館等から横断的に構成され、アウトバウンド(海外旅行)を促進するための様々な取組みを行う組織です。7つの部会(※)があり、それぞれがテーマを持って取り組んでいます。コロナ禍を経て新たにメンバーを組み直し、業界一丸となって強力に活動しています。
(※)教育旅行部会、クルーズ部会、北中南米部会、欧州・中東部会、東アジア部会、アジア部会、オセアニア・大洋州部会

 

JOTC(アウトバウンド促進協議会) 第1部 総会    15:00-16:00

5月8日がターニングポイント   海外旅行復活に向けしっかりと成果を
会の冒頭、開催の挨拶に登壇したJOTC 酒井会長(JATA副会長)は「海外旅行の中でも特にパッケージツアーは厳しい状況が続いている。そのような中、先般、観光庁より“アウトバウンドの本格的な回復に向けた政策パッケージ”が発表された。大変、心強い後ろ盾、後押しをしていただいた」と話し、5月8日に新型コロナウイルス、感染症法上の位置づけが5類に移行されることで、水際対策については障壁がなくなり、潮目が変わっていくとの見方を示しました。酒井会長は「今年は海外旅行復活に向けての初年度となる。いろいろな取組みを継続的に実施し、1年間かけて、しっかり成果をだしていきたい」との意気込みを語りました。
JOTC 酒井会長(JATA副会長)

 

2025年度には、アウトバウンド2019年越えという過去最高の水準を目指す
来賓として登壇した観光庁の池光審議官はマーケットの回復状況について説明「10月から水際の措置が大幅に緩和され、それから全国旅行支援という形で新たな国内需要の喚起策を始めて、この観光業界、あるいは海外旅行についてもだいぶ、回復の道筋が見えつつある」と話し、「特にインバウンドについては、極めて堅調に回復してきていて、2月の数字では、2019年比で、中国を除いて74%くらい回復している」「中国についても、今月からはデイリーで便も飛び始め、徐々に回復が始まってきている。他の地域と同じように回復すると見込めば、3200万人の74%、2400万人を越える方が、今年、日本に訪れる可能性がある」との展望を示しました。
観光庁 池光審議官

一方、アウトバウンドについては「まだまだこれから力を入れていかないといけない。例えば、韓国から日本に来られる人はひと月あたり、50万人を超えるのに対し、日本人で韓国に行かれる人はその6分の1くらいに留まっている。もっと遠い地域、円安の影響が大きい地域はさらに厳しい状況にあり、コロナ前の3割レベルだという声を聞いている」と説明しました。池光審議官は「インバウンドとアウトバウンドは両輪で進めるべきもの、観光と言うのは交流なので日本から外国へいっていただく、外国からたくさんのお客様を日本にお迎えする。このような人的な交流により、経済活動が世界的に活発化することを目指していかないといけない」と双方向交流の重要性を説き、3月の末に閣議決定された、新しい観光立国推進基本計画にも、インバウンドとアウトバウンド両方の目標をたてていることについて言及しました。
また、この計画の最終年度となる2025年度には、政府としてインバウンド、アウトバウンドいずれもコロナ禍、前の水準を超えることを目標としていることに触れ「2025年にはアウトバウンド2019年水準越えという過去最高を目指す。あるいは、更にそこを越えていくという、大変、チャレンジングな目標を業界のみなさま方と一体となって実現したい」と意気込みを語りました。池光審議官は、3月15日に発表された“アウトバウンドの本格的な回復に向けた政策パッケージ”には、“諸外国との連携強化”、“戦略的かつ効果的な取組の推進”、“安全・安心な旅行環境の整備・青少年交流の促進”の3つの柱を掲げていることを紹介し、「このような取り組みを、ここにいるみなさま方、幅広い分野の方々と力をあわせ、アウトバウンドを盛り上げ、1日も早く、正常軌道への回復を実現していきたい」と出席者へ協力を求めました。

 

「海外旅行促進プロジェクト」で能動的に潮目を変える
来賓の挨拶に続き行われた各部会からの活動方針発表の後には、「海外旅行促進プロジェクト」の展開について説明。稲田海外旅行推進部長はこのプロジェクトについて「“継続的”、“多面的”、“総がかり”で展開していくことが最大の特徴」と述べ、観光庁の政策パッケージや5類への引き下げなど、海外旅行回復に向け環境が整いつつあり、潮目が変わろうとしている中、我々がやるべきことは「プロジェクトを通じて、その潮目を能動的に変えていくことだと」力強く呼びかけました。

海外旅行推進部 稲田部長

 

国土交通省、観光庁の決意と出席者のパッションを
総会の結びの挨拶で登壇した志村理事長は「コロナ禍は、大変な災厄、災害であったが、悪いことばかりではない」と述べ、「どうしたら日本人に海外旅行へ行ってもらえるのか、多くの関係者が真剣に考えるようになり、その結果、国土交通省がアウトバウンド促進について具体的な政策パッケージを考えることになった」、「政府観光局や大使館においても、日本人マーケットを刺激することの重要性を真剣に考えていただけ、皆様の熱意が今回、結集したのはとても喜ばしいこと」と話しました。

JATA 志村理事長

最後に志村理事長は「国土交通省、観光庁の決意と、会に参集した出席者のパッションを結び付けて、このJOTCを単なる評論家的な会議体ではなく、具体的な成果をだす活動として、維持していく必要がある」とJOTCの活動意義を強調、会場からは盛大な拍手が送られ総会の幕は閉じられました。

 

JOTC(アウトバウンド促進協議会) 第2部 懇親会    17:00-18:30

“今やらずして、いつやるか?” 心を一つに販売サイドと供給サイドが大同団結して
髙橋会長はJOTC総会後に開催された懇親会開会挨拶にて「これまで“海外旅行の復活なくして、旅行業界の復活無し“と呼びかけてきた。ようやく時節到来、我々が本当に反転攻勢に転じる時がきた」「5月8日から新型コロナウイルス感染症が季節性インフルエンザと同等のレベルに引き下げられ、水際制限もなくなり、これまで海外に出掛けることに消極的なっていた人々のマインドが大きく変わっていき、プラスの影響が出てくることを確信している」と海外旅行の復活に向け期待感を示しました。また、アウトバウンド政策パッケージの策定など、観光庁に様々なバックアップをいだいていることについて触れ「政策パッケージの発表により“広く国民に対して国内旅行と同様に海外旅行にもいってください”といったメッセージをだしていただいたのは、画期的で大変意義のあること」と謝辞を述べました。                                                  JATA 髙橋会長

また、髙橋会長は各大使館、政府観光局、航空会社、空港会社ならびに、アウトバンド促進協議会の多くの会員が一堂に会するこの懇親会にて、心を一つにしておきたいこととして「海外旅行と航空と言うのは、切っても切れない表裏一体の関係にあり、これを“鶏が先か卵が先”かの問題にしないように」と話し、「我々、旅行会社は、コロナ禍で航空便が減り、“航空座席が少なくなったことを理由にツアーを思うように販売できない”といった発想になりがち。一方の航空会社においては、“需要が少ないところにむやみに増便したり、供給座席を増やしたりするのは難しい”と考えるのは当然だが、こうした販売が先か、座席が先かといった議論をしても問題解決にならない」と指摘し、“海外旅行の復活”という共通の目標に向けて、販売サイドと供給サイドが大同団結をして取り組んでいく必要性を訴えました。

髙橋会長は「我々、旅行会社は自ら仕掛けて需要をつくり、航空会社に復便や増席をお願いする。航空会社におかれては、意志をもって航空の回復に努めていただき、同時に我々旅行会社に販売要請をかけていただく。このような相互の自助努力と協調関係に基づいて、海外旅行の復活を実現していきたい」との考えを示し、今後の道筋については「夏休み頃までには、海外旅行復活の足掛かりをしっかりと作り、今年、後半からは、復活の流れを本格化し、来年には可能な限りコロナ禍前の状態に近づけるように最大限の努力をしていきたい」との意気込みを語りました。
海外旅行復活に向け絶好のタイミングを迎えている中「“今やらずして、いつやるか?”全力を振り絞って取り組んでいく」との決意を表明するとともに、出席者にさらなる支援、協力を求めました。

 

JOTCとの連携を深め海外旅行の回復へ
続いて、登壇した観光庁の高橋参事官は海外旅行の回復が遅れている現状を踏まえ「アウトバウンドの回復なくして旅行業界の完全なる復活はない」と訴え、「JOTCとの連携を深め、海外旅行の回復に向け一緒に取り組んでいきたい」と奮起を促しました。また、5類への引き下げのタイミングで、さらに前向きな政策を打っていくとの方針を表明、「海外旅行の魅力を少しでも早く、国民の方々、一人一人に、何度も味わっていただくためにも、観光庁としても前向きに政策を進めていきたい」との意気込みを語りました。
                                                                                                                                                                                  観光庁 高橋参事官


約2時間に渡って行われた懇親会は、久々の立食パーティー形式で行われ、各テーブルでは様々な話題で盛り上げり、大盛況のうちに終了しました。