会報誌「じゃたこみ」 【関東支部】
「第12回 JATAインバウンドセミナー」を開催

更新日:2025年08月22日


2025年8月20日(水)、JATA関東支部インバウンド委員会は、共催:東京都産業労働局観光部、協力:JATA本部訪日旅行推進部のもと、 東京都議会議事堂1階・都民ホールにて「第12回 JATAインバウンドセミナー」を開催しました。
経済活動はほぼ新型コロナ前の状態に戻り観光・旅行マーケットも飛躍する中、インバウンド(訪日旅行)はその牽引役となっており、2025年上半期(1~6月)の訪日客数は前年比21%増の2151万人と過去最速で2000万人を超えました。そのような中、インバウンドマーケットにおいては、最新情報の共有・幅広い知見や深い理解・継続的成長のための課題解決など、様々な対応が求められています。
セミナーは、好評だった前回に続き、今回も行政や業界より多様な方々にご登壇いただき、若手を含む実務担当者にも役立つプログラムで行われました。
参加者は昨年の100名を上回る150名以上となり、関心の高さが伺えました。

 

JATA関東支部 足立雅彦支部長

開会挨拶をしたJATA関東支部 足立雅彦支部長は、インバウンド市場を継続的に盛り上げ観光産業をさらなる成長軌道に乗せるために、行政に対して以下4つの提言を行った旨、説明をしました。

1.持続可能な観光を実現させるための規制緩和の推進、公平な競争環境の確立
 →資源を守りながら観光客を誘致するために、環境保護と経済活動が両立する仕組み作りが必要
2.高付加価値旅行商品を核とした地方部誘客事業の自走化に向けた各種支援
 →量から質への転換(地域の特色を活かした商品の造成)と、国や自治体の支援による継続的な運用
3.観光産業における人手不足・人材不足解消に向けた各種支援

 →教育機関や地域企業との連携、雇用環境の整備、人材育成のための助成金等の支援
4.地方誘客促進・一部地域におけるオーバーツーリズム解消に向けた受入環境整備の促進

 →大都市や有名観光地に偏る観光、観光客と住民生活のバランスに配慮した体制の整備

そして、これらの背景や課題に対して、「行政・業界が一体となって取り組み、具体的な連携や協力体制を築いていくことで、インバウンドを一時的なものでなくわが国の観光産業・地域経済を長期的に支える重要な柱としたい。そのためにJATA関東支部としても力を尽くし共に創造していきたい」と述べました。

 

東京都産業労働局 江村信彦観光部長

続いて、東京都産業労働局 江村信彦観光部長が挨拶をしました。まずはじめに2024年の東京都におけるインバウンドの数値に触れ、旅行者数は約2479万人、旅行消費額は約3兆9625億円といずれも過去を更新しており、東京都の各種取り組みが実を結び、多くの外国人が東京を訪れ観光を楽しみ、経済活性化にもつながっていると述べました。
そして、東京都では今年3月に「2050東京戦略」を策定し、東京の多彩な魅力を活かした誘客を進めるとともに、観光関連事業者の支援、旅行者のマナー啓発などにも取り組み、持続可能な観光の推進に努めていると説明しました。
また、東京の姉妹友好都市であるニューヨークやパリをはじめアジアの各都市とも連携の上、相互の旅行者送客に向けたPRを促進し、東京の観光都市としての国際競争力をさらに強化していきたいと述べて締め括りました。

 

 

その後、以下の内容でセミナーが行われました。

第12回 JATAインバウンドセミナー 次第

◆東京都の観光施策について
東京都 産業労働局 観光部 企画調整担当課長 村野 哲寛 様

◆東京観光産業ワンストップ支援センターの事業説明と支援メニューの紹介
公益財団法人 東京観光財団 観光産業振興部 次長 兼 観光産業振興課長 田中 正 様

◆これからの旅行会社に求められるインバウンドの視点と実践
株式会社やまとごころ 代表取締役 インバウンド戦略アドバイザー  村山 慶輔 様

◆「持続可能な観光」というものに取り組む意義とその取り組み方
国土交通省 観光庁 観光産業課 専門官 大野 一 様

◆観光立国推進基本計画のこれまでの振り返りと新たな計画に向けて
帝京大学 経済学部 観光経営学科 教授 吉村 久夫 様

東京都の観光施策、ワンストップ支援センターの紹介、オーバーツーリズムについてなど訪日旅行に関する取組みや課題など、様々な角度からの講演が行われ、熱心にメモを取る姿や、講演後に名刺交換をし交流を図る参加者の姿も見られ、大変有意義なセミナーとなりました。

JATA関東支部では 行政・業界の方々と連携し、様々な知見やアイディアを結び付け、訪日・国内・海外いずれにおいても、旅行全体を盛り上げていくための様々な取り組みを今後も行ってまいります。