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更新日:2026年05月12日
法務・弁済部 (監修 弁護士 三浦雅生)
企画旅行参加中のお客様を対象として、別途にオプショナルツアーをご案内することがあると思います。このオプショナルツアーにおける安全確保義務について、今回は考えてみます。
・オプショナルツアーとは?
旅行業公正取引協議会の「募集型企画旅行の表示に関する公正競争規約」によれば、第4条8号において「『オプショナルツアー』とは、募集型企画旅行中の主に旅行サービスの提供のない時間帯を利用して、当該募集型企画旅行の参加者が別途料金を支払うことにより任意に参加できるように設定された小旅行等をいう。」と規定しています。
その小旅行が募集型企画旅行であるならば、企画・実施者が本体の企画旅行を企画・実施する旅行業者と同一であることもあれば、他の旅行業者であることもあります(募集型企画旅行商品の受託販売)。また、海外で日本の旅行業のような事業を営む者のツアーやバス会社が路線運行する定期観光バスなどを手配旅行契約により手配するケースもあると思われます。
・他社が実施する小旅行に対してどこまで安全確保義務はあるのか?
過去の裁判において、「旅行契約関係にある旅行業者は、旅行契約における旅行業者の主要な義務に附随して行う信義則上の義務として、安全確保義務がある。」と判示されています。ここでいう、「旅行契約における旅行業者の主要な義務」とは、企画旅行契約においては「手配完成義務」、「旅程管理義務」のことになります。
したがって、オプショナルツアーが自社の企画旅行であれば自社に安全確保義務があり、他社の企画旅行の受託販売であったならば、それが、自社の企画旅行の自由行動中であったとしても、他社に安全確保義務があるということになります。また、手配旅行契約で成立させた運送契約等である場合、そもそも、旅行業者は、旅行者の依頼に基づき、善管注意義務をもって運送・宿泊等の手配業務を行うことでその債務は終了しており、旅行業者があらかじめ選定したサービス提供機関から旅行者が選択したものでない限り、旅行業者に安全確保義務は生じないものと考えられます。
・表示には十分に注意
ところが、旅行契約が成立したときに契約書面の一部となるパンフレット等(受注型企画旅行における企画書面なども同様)に小旅行の実施者が他社である旨を表示していたとしても、実態として自社が旅行契約の当事者に見えるような外観を自らが作り出していたとしたらどうなるでしょうか。その場合、旅行者は小旅行についても自社と企画実施するものとの前提で旅行契約を結んだ可能性に基づき、裁判所は、自社の安全確保義務に違反があったのかなかったのかなど判断する可能性があると思われます。
例えば、小旅行に関して、自社の企画旅行の契約書面の一部としての「日程表」において、本来は「○日目 自由行動」と書くべきなのに「○日目 オプショナルツアー(△△△観光)」と記載したりしては、「オプショナルツアー」が他社で企画・実施される企画旅行(契約)であるにも関わらず、自社との企画旅行契約の締結によりサービスを受けるものとして安全確保義務を求められてしまうこともあり得るということです。
特に、オーガナイザーもののグループ・団体旅行においては、オーガナイザーの意向で旅行業者が関与していないアクティビティ等までも、サービス精神旺盛なところを見せようと日程表に入れてしまいがちです。本来、契約という行為は、感情や思いやりといった曖昧な要素を排し、権利と義務を明確に定めることにあります。日程表も契約書面の重要な一部であると認識して作成することが必要であると肝に銘じておかなければなりません。
担当 法務・弁済部 杉原賢二
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