会報誌「じゃたこみ」 【法務の窓口】
第111回 改正個人情報保護法が成立しました

更新日:2026年09月07日


法務・弁済部
(監修 弁護士 三浦雅生)

 

 2026年7月10日に個人情報保護法(個人情報の保護に関する法律)の改正が国会で成立し、同月17日に公布されました。

 今回の改正は、デジタル社会の進展に伴って個人情報を含む各種データの利活用需要が増大している一方で、違法な個人情報の取扱いによって個人の権利利益が侵害されるリスクが高まっているという現状を踏まえた上で、「事業者による適正なデータ利活用の促進」と「個人の権利利益の一層の保護」との調和を図ることが主な目的となっています。

 改正内容は多岐にわたり、世間では課徴金制度の導入が話題になっているようですが、今回は旅行業の実務に関連しそうな内容のうち、以下の2つのポイントについて、その影響についての見通しをお伝えします。

1.第三者提供に関する同意要件の見直し
 従来、個人データの第三者提供には原則として本人の同意が必要でしたが、厳格な同意取得は事業者の負担となり、サービス提供の円滑性を損なう側面があるとの指摘がなされてきました。
 旅行業務においては旅行の手配に際し、運送・宿泊機関等に個人情報を提供する必要がありますが、この行為が「個人データの第三者提供」に該当するとして、当協会が発行する「個人情報取扱いガイドライン」でも、事前に本人の同意を得ておく必要がある、としているところです。
 旅行手配でホテルや航空会社に旅行者の氏名等を提供するのは当たり前のことなのに、それなのに敢えて本人から同意を取らなくてはいけないのか?と、窮屈さを覚えていた人も居るかも知れません。
 今回の改正では、「本人との間の契約の履行のために必要やむを得ないことが明らかである場合その他当該個人情報の取得の状況からみて本人の意思に反しないため本人の権利利益を害しないことが明らかである場合として個人情報保護委員会規則で定める場合」(改正法第18条第3項7号)には、本人同意の取得の規定を適用しないことになりました。
 旅行手配は、まさにこの要件に該当すると思われますので、今後は本人の同意の取得は不要であるという方向で整理が出来そうです。

2. 16歳未満のこどもの個人情報保護の強化
 新設された 改正法第40条の2 により、16歳未満のこどもの個人情報を取り扱う場合の法定代理人の関与が法律上の義務として明確化されました。
 例えば、旅行契約の申込みを受けるに際して、氏名・年齢等の個人情報を取得する場合は、あらかじめ本人に対しその利用目的を明示しなければなりませんが、今後は、16歳未満のこどもから個人情報を取得する場合は、その利用目的を法定代理人に明示しなければなりません。
 今までも、法定代理人の同意が無い未成年者との契約については、民法上の取消権を行使されることによりその契約が無効となり、旅行業者は取消料を収受できなくなるというリスクがありましたので、法定代理人からの同意を取得しているケースが多いと思われます。改正後は、法定代理人の同意を得ていないと、利用目的の明示を怠ったとして個人情報保護法上の義務違反となり、個人情報保護委員会による勧告・命令等の行政措置の対象となる可能性のあることが異なる点です。
 改正法の主要部分は、公布日から2年以内に政令で定める日(遅くとも2028年7月)から施行される予定です。
 具体的な実務運用については、今後、個人情報保護委員会規則や関連ガイドラインが順次整備され、2027年中に意見募集を経てQ&Aと共に公表される見込みとなっています。JATA事務局では、これらの内容も踏まえて、「個人情報取扱いガイドライン」の改訂作業を進めていく予定です。

担当 法務・弁済部 中島 一則