会報誌「じゃたこみ」 【総務部】社会貢献委員会
「JATA SDGsアワード」受賞ツアーを現地視察
沖縄でビーチクリーン活動を実施しました

更新日:2025年11月25日


JATA社会貢献員会は、2025年11月12日(水)、「JATA SDGsアワード」環境部門 特別賞の取り組みである、沖縄ツーリスト株式会社の『ビーチクリーンで想いを繋ぐ沖縄の離島全島チャレンジ』の現地視察を行いました。

今回はツアー内容に準じ、ビーチクリーン活動、ゴミ処理施設の視察等を実施。ビーチクリーン活動は、当初、慶良間諸島・渡嘉敷島での活動を予定していましたが、海上の悪天候により船が運休、急遽那覇市内の「波の上ビーチ」に変更となりました。
JATAからは、社会貢献委員9社/9名(エイチ・アイ・エス、エムオーツーリスト、沖縄ツーリスト、KNT-CTホールディングス、東武トップツアーズ、日本旅行、阪急交通社、フィンコーポレーション、ベルトラ※五十音順)、事務局6名の計15名が参加しました。

■ビーチクリーン活動
「波の上ビーチ」は那覇空港から車で約15分、国際通りからもアクセスが良好な都市型ビーチです。
当日は天気が危ぶまれましたが、汗ばむほどの陽気となり、参加者は3班に分かれて約30分間、ビーチクリーン活動を行いました。遊泳期間終了後のため砂浜には目立ったゴミはほとんどありませんでしたが、周辺の公園や飲食店付近にはタバコの吸い殻など都市型ゴミが散乱しており、ペットボトル・缶・ビンのゴミ袋各1袋、その他一般ゴミ3袋を回収しました。
ビーチクリーン活動後には、拾ったゴミを画用紙に貼り付けてアート作品を作る子ども向けワークショップを実際に体験、環境教育の一環としての意義も感じ取ることができました。

■ゴミ処理に関する問題
受賞会社の、沖縄ツーリスト株式会社 SDGs・ESG経営推進本部 執行役員 栩野浩氏、一般社団法人しまぬわ 石塚茉尋氏より、ビーチクリーン活動を実施するに至った背景や離島におけるゴミ処理の課題について講演をいただきました。
講演では、「ゴミは大きく2種類に分けられ、一般廃棄物(主に家庭ゴミ)は区市町村がその処理を担当し、産業廃棄物(事業活動に伴うゴミ)は許可を受けた指定事業者が処理を行います。海岸漂着物等のゴミの取扱いが不明確な時期もありましたが、現在は市民ボランティアが回収したゴミは一般廃棄物として扱うとの通達が環境省より出され、一般廃棄物として処理されています。しかしながら、ここでも離島ならではの課題が浮き彫りになります。焼却施設があっても、それは主に家庭ゴミ用であり、大量の漂着ゴミには対応できないのが現状です。多くの離島では回収したが処理できない海ごみを積み上げておき、国や都道府県のお金がついたときに、トラックと船で沖縄本島に移送し、沖縄本島の産業廃棄物処理事業者で処分しています」という説明があり、実態として、分別作業・輸送費・処理費など多くのコストがかかり、結果として処理が追いつかず、離島には回収されたゴミが積み上がったままである現状が共有されました。

■受賞ツアー(沖縄ツーリスト『ビーチクリーンで想いを繋ぐ沖縄の離島全島チャレンジ』)の特徴と社会的意義
ビーチクリーン活動に関心が高い方は多い一方、離島での活動は、地元との調整や移動手段、ゴミ処理の課題が多く、個人では実施が難しいのが実情です。
そこで、観光客が比較的少なく地域への負担もかかりにくいオフシーズン、かつ漂着ゴミが増える「秋〜春」の時期を中心に、ツアーとして展開することで持続可能な活動として成立させています。
また、沖縄本島を中心としたビーチクリーンの愛好家を緩やかなコミュニティとしてつなぎ、安定した顧客層を形成していることも、ビジネスモデルとして成り立つ大きな支えとなっています。
実際のツアーでは、体力面を考慮しクリーン活動自体は1時間程度に留め、ゴミ処理施設や漂着ゴミの集積現場の視察を必ず組みこむことで、参加者が現状を知り、課題を認識してもらう機会を提供しています。
さらに、沖縄県は子どもの貧困率が全国平均の約2倍とされる社会課題を抱えており、クリーン活動を通じて子どもの居場所づくりにも取り組んでいることが紹介されました。
取り組みを直接見聞きすることで、環境保全の重要性を再認識するとともに、地域社会が抱える課題に向き合い、持続可能な社会づくりに向けてできることは何か、意識をあらたにする機会となりました。

■今回の活動を振り返って
今回のビーチクリーン活動を通じて、離島におけるゴミ処理の課題や現状を知り、また、沖縄本島の方々も離島の海の美しさに感動されると伺い、貴重な自然環境を守っていくためにも、例えば水筒の持参など、観光客も旅先でゴミを出さない意識や工夫が必要であると強く感じました。
今回視察したツアーは、審査委員からも、離島の環境保全と地域交流を両立させた点が評価されました。単なるボランティアに留まらず、ビーチクリーン愛好家である参加者の満足と社会課題の解決を両立し、事業化した持続可能なモデルです。
「JATA SDGsアワード」を通じて、各社の取り組みを知る機会が提供され、こうした事例の共有が個人の行動変容や新たな事業の創出にもつながる可能性を感じています。(事務局:JATA総務部 齊藤祐子)