東北復興支援活動 「JATAの道」 第2回イベント
(10月23日~24日;
福島県新地町、相馬市)実施報告

更新日:2022年03月14日


当協会では2015年10月23日と24日の2日間にわたり福島県新地町と相馬市で、環境省の設定する東北地方太平洋沿岸地域のトレイルコース“みちのく潮風トレイル”を活用した「JATAの道」プロジェクトの2回目となる活動を実施しました。

実施日
:2015年(H27)10月23日(金)~24日(土)
実施場所
:福島県 相馬市・新地町区間
活動内容
:トレイルコース体験、地元関係者と意見交換(1日目)、案内板除幕式、トレイルコース体験(2日目)
参加者
:54名(JATA役員・会員会社社員、プレス関係者など)
協力
:環境省、新地町、相馬市をはじめ地元関係者

10月23日〔1日目〕

新地町区間

出発式(新地町役場)

主催者挨拶

社会貢献委員会 副委員長 黒川惠JATA運営役員

『観光が復興の土台になるというつもりで「JATAの道」プロジェクトの活動を行っている。今回も新地町と相馬市の関係者や環境省の皆さんのご協力により、第2回の活動が実施できたことに感謝するとともに、ぜひとも新しい東北観光につなげていきたい』と決意をあらたにしました。

来賓挨拶

新地町 佐藤清孝副町長

『「みちのく潮風トレイル」に新地町の鹿狼山が取り入れられ、(コースは)相馬市の海へとつながっている。海・山・里と自然豊かな地域の魅力を体験いただきたい。』と当地でのプロジェクト実施を歓迎されました。

協力関係者挨拶

環境省 東北地方環境事務所 堀内洋次長

『トレイルコースは計画の全長700kmのうち約370kmが開通している。各地域にどういった良い素材があるのか、地元と一緒に掘り下げていきながら進めている。地元の文化、地元の方とのふれあいを通じて、復興につなげていきたい』とトレイルの趣意を説明されました。

トレイルコース体験(鹿狼山)(約90分)

参加者は、鹿狼山(標高約430m)の樹海コースを地元の「山の会」の方にガイドいただきながら登りました。片道約1.6kmの道のりを40分ほど登ると、太平洋が一面に見渡せる頂上に到着しました。
元旦には、太平洋から昇る初日を見るために多くの人が集まる鹿狼山は、新地町を代表する観光スポットです。

復興支援道路の視察

途中、建設中の「相馬福島道路(復興支援道路)」*の一区間である相馬西道路を訪れ、掘削作業について、実際に作業を担当する方より説明を受け、視察しました。このような視察は近隣住民への説明会の他、小中学生の社会科見学の一環として取り入れられています。

  • * 常磐自動車道と東北自動車道を結ぶ自動車専用道路(無料)として、早期復興を図るリーディングプロジェクトとして位置づけられています。

  • 防水シートに復興へのメッセージを刻みます

意見交換会(たこ八)

佐藤憲男相馬市副市長、佐藤清孝新地町副町長、観光協会の方をはじめとした地元観光関係者、環境省の方と参加者が集まり、新しい東北観光の実現に向けて、意見交換を行いました。
会場は、震災前より県内外の方から人気を集める御食事処「たこ八」で、武将の衣装を着用された関係者の方に出迎えられ、地元からの温かな歓迎ムードの中、行われました。

10月24日〔2日目〕

相馬市区間

案内板 除幕式(千客万来館)

プロジェクトの取り組みに合わせ、寄贈した相馬市街地と相馬市広域の案内板は、相馬市の観光交流の拠点となる千客万来館などに後日設置されます。

なお、相馬市内観光案内版を刷新し東北復興支援の手助けをさせていただき、こうした活動が認められ、相馬市長より感謝状を贈呈いただきました。

来賓挨拶

相馬市 立谷秀清市長

『松川浦は潮干狩りで有名なところであったが、震災でダメージを受けた。コースにある松川浦環境公園はNPO、ボランティア、市民が団結して作り上げたもの。復興へのその取組みを実際に観光客の方に訪れて、見てもらいたい』とトレイルによる観光客の来訪に期待を示されました。

主催者挨拶

団長・国内旅行推進委員会 委員長 戸川和良JATA副会長

『相馬市の皆様をはじめ関係者の方々のご協力により、今回案内板の刷新の機会をいただきましたことに感謝する』とともに、『旅は歩くことが原点で、人気があるもの。国の施策で基幹産業とされる観光業を通じて復興を後押ししたい。』と新しい東北観光の実現に向けて呼びかけられました。

トレイルコース体験(移動含めて約150分)

馬陵公園

国の重要文化財に指定される相馬中村神社など相馬野馬追の舞台となる馬陵公園を相馬市観光協会(ふくしま復興応援隊)の藤本篤央氏のガイドを受けながら、歩き踏査しました。

相馬市伝承鎮魂祈念館

東日本大震災による巨大津波を映像と写真で紹介する祈念館の隣には、震災で亡くなられた458名(相馬市内)の慰霊碑が建立されており、震災の記憶を伝える貴重な施設を見学しました。

和田観光苺園

津波被害を乗り越え再開したいちご園にも立ち寄り、再開後の栽培過程や訪れる観光客の動向について、農家の方からお話を伺いました。

松川浦環境公園

トレイルの始点・終点である松川浦環境公園で、地元NPOによるお振舞を受けました。津波の被害から、NPOを中心に再建された公園には、ボランティアの方の手で植えられた花壇や芝生が広がります。また、NPO法人松川浦ふれあいサポートの佐藤邦房事務局長に再建までの経緯をお話いただき、行政と市民が一体となった復興への取組みに触れました。


  • 津波の影響で枯れてしまったヒマラヤ杉もチェーンソーアート作品に

参加者の声

1.視察箇所レポ-ト

(1日目)鹿狼山トレッキングコースについて

  • 日帰りトレッキングツアーに組み入れ、相馬港周辺で新鮮な海産物を食していただくなどのツアーは比較的簡単に企画が可能だと感じました。
  • 午前中にトレッキングをして、その後に鹿狼の湯での入浴・昼食をセットにしたメニューにするのもおもしろいと思います。

(1日目)福島復興道路について

  • 移動時間が大きく短縮されることは地域間交流が活発となりえる。
    将来的に、沖縄・広島・長崎での平和学習に変わる高等学校の震災学習をメインとした修学旅行仕向地となる為に非常に重要な道路だと感じました。

(2日目)馬陵公園について

  • 中村神社はその歴史では他の神社に見劣りするものではなく、ガイドさんがついて、神社の建築技術も紹介していくと更に魅力が高まると思います。
  • ガイドさんの説明がないと市内散策は難しいと感じました。
  • 物語性をだして誘客にあたれば、インバウンドに面白い素材だと感じました。
  • 移動幅が結構あることやバスの停車場所の間に千客万来館などもあるので、いいコースだと思いました。

(2日目)慰霊碑・伝承鎮魂祈念館について

  • 未曽有の大惨事を後世に伝えるためにも、大変重要な施設であると思います。
  • 防災学習として教育旅行の素材には有効であると感じました。

(2日目)みちのく潮風トレイル“和田観光苺園~松川浦環境公園”区間について

  • 環境公園での事務局長のお話しは立派な観光資源になると思います。
  • 車の往来が多い車道を歩くため、安全性の確保が必要であると感じました。
  • バードウォチングにも環境公園は活用できると感じました。

2.貴社商品の企画・造成・販売に向けて

  • 常磐線の開通、復興道路の開通時に商品造成を考えたい。
  • 震災復興プランとして福島浜通を全国に企画提案しているので、今回の視察を踏まえて商品内容の充実を図りたい。
  • 数回に分けて現地に赴くことになるので、同一客のシリーズ参加がベストだと思います。
  • 健康増進のためにトレッキング、温泉、グルメを取り込んだプランを考えています。
  • 野馬追などはインバウンドのお客様には非常に喜ばれるものと考えます。

3.「JATAの道」第2回プログラム全体について

  • なぜ仙台発着なのか疑問でしたが、仙台から新地町や相馬市までの距離感が理解できてよかったと思います。
  • 鹿狼山でのホルン演奏や松川裏環境公園での豚汁振舞い等、地元の方との交流があり、地元の方々が旅行業へ期待する所が大きいものが伝わってきました。
  • これまで相馬地区の観光といえば「馬追い」程度しか知られていないこともあり、新たな観光スポットの発掘に繋がるのではないかと感じています。
  • 松川浦環境公園の事務局長のお話のように復興への歩みを、ユーモアを交えてお話ししていただけると、中高生の行き先として勧める大きなポイントになります。
  • 現地の宿泊事情が厳しかったのは理解しますが、ホテルではなく旅館や民宿などに泊まって、飲食店事業者や宿泊事業者の方々とも意見交換してみたかったです。
  • 相馬や新地での宿泊業についても視察する場面があっても良かったのではないかと思います。
  • 旅行業としての最大の東北復興支援はより多くの送客であろうことは理解するところですが、潮風トレイル整備や復興事業など何か形の残る(昨年の標識設置)活動を組み入れた方が良かったのではないかと思います。

以上