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更新日:2022年06月09日
2013年2月26日開催
平成25年2月26日(火)13:00より、東京・ロイヤルパークホテルにて「グローバル視点で強くなる! ~新たな価値創造に向けて~」を総合テーマにJATA経営フォーラム2013が開催され、会員会社の経営幹部、管理職の方々、旅行業界関係者、プレスの方々合わせて350余名が参加されました。
「経営基盤の改革なくしては、旅行業界が観光で経済を活性化するための中核的な立場にはなり得ない」と菊間潤吾JATA会長。来賓挨拶に立った井手憲文観光庁長官は「実際にサービスを提供する旅行業の力強い発展と利益の上がる経営が、何よりも求められている」と話されました。
特別講演は、東日本旅客鉄道株式会社相談役/経団連副会長/観光委員長の大塚陸毅氏が「観光は物見遊山か」をテーマに話され、続いて「旅行業経営分析2013」では公益財団法人日本交通公社の黒須主任研究員が利益率の動向などについて解説しました。各分科会では、旅行市場におけるそれぞれのテーマや課題について、白熱した討議が交わされました。
菊間 潤吾JATA会長
経営基盤の改革に本気で取り組む時
「JATA経営フォーラム2013」の開会に当たり、主催者として挨拶した日本旅行業協会(JATA)の菊間潤吾会長は、海外旅行市場について、「2012年は海外渡航者数が速報値で1849万人と過去最高を記録し、ようやく1800万人の壁を越えることができた。(目標とする)2000万人の達成に向け、今年は足がかりの年になる」と述べ、大きな成長期を迎えていることを強調しました。
また、国内旅行、訪日旅行についても「観光の力(ちから)に対する多大な期待が集まっている」とし、旅行業界にさらなる奮起が求められていることを強調しました。
一方で、「旅行業界は長年にわたり低価格競争にもまれ、収益性の低い代表的な産業になっている」と業界が抱える根本的な課題を強調。さらに、「国境のないオンライン・エージェントの進出やコミッションレス化が進み、旅行業を取り巻く環境は、今まで以上に厳しい状況にある」と最近の動向を指摘しました。
菊間会長は「経営基盤の改革なくしては、旅行業界が観光で経済を活性化するための中核的な立場にはなり得ない」と語りました。
さらに「旅行会社の営業利益率は過去10年間において、0.24%から0.55%で推移している。30年以上前から(営業利益率)『めざせ1%』が声高に言われ続けてきたが、なかなかその1%の壁を破ることができないのが現状。抜本的な基盤強化のためにも、業界内でやれることや工夫できることを皆で本気になって取り組むべき時が来ている」と集まったJATA会員らに訴えました。
井手 憲文観光庁長官
観光成長に旅行業の発展不可欠
来賓として挨拶した観光庁の井手憲文長官は、「観光を経済成長のドライバー(牽引役)として、産業そのものを強くしていく取り組みが大事」と強調。「昭和30年代から40年代にかけて日本全国が工場誘致に取り組んだ。今はそれに変わるべきものが観光への誘客、集客になりつつある」と観光が成長エンジンであることをはっきりと指摘しました。
そして、「実際にサービスを提供する旅行業の力強い発展と利益の上がる経営が、何よりも求められている」と旅行業の発展に健全経営が不可欠であることを強調しました。
さらに井手長官は、昨年発生した高速ツアーバス事故や万里の長城での遭難事故を例に、「法律的な責任論を越え、安全の確保を旅行会社の経営の柱に入れることが必要」と述べ、“斡旋業”の意識そのものを改革すべきことを合わせて強調しました。
井出長官は、観光庁がインバウンド(訪日旅行)の促進に傾注しつつも、「いずれ折を見て、国内旅行の振興についても省庁横断的な取り組みを行う意向を表明。訪日旅行、国内旅行で、「様々な形でJATA会員皆様のお力をお借りしたい」と語りました。
大塚 陸毅氏
日本の国家的課題解決への鍵は「観光」
「観光は物見遊山か」をテーマに特別講演を行った日本経済団体連合会の副会長で、観光委員長も務める東日本旅客鉄道の大塚陸毅相談役は、まず、今の観光業界に不足しているものとして、産官学のそれぞれの課題を列挙。業界については、収益性の低さや経営力の弱さ、高い離職率、旧来型の ビジネスモデルが続いていることなどを指摘するとともに、「観光業界には産業としての誇りが足りない」と訴えました。
また、アカデミズムにおいては、観光人材の育成が急務であり、行政においても、ビジョン・戦略を明確にし、政治のリーダーシップの発揮が不可欠であると指摘し、「観光業界がいまだに『物見遊山』として見られてしまうのは、産学官の努力が十分ではないため」という認識を示して、「産官学が連携し、観光の持つポテンシャルを最大限に発揮する必要性がある」と強調しました。
大塚相談役は、東日本大震災から4カ月後の2011年7月に開催された「経団連夏季フォーラム」で講演した米国のシンクタンク・戦略国際問題研究所(CSIS)のマイケル・グリーン氏が、「復興の第一の鍵は観光だ」と指摘したことを紹介。「震災からの復旧・復興をはじめ、少子高齢化や地域間格差、産業の空洞化といった日本が抱える課題への解決の鍵は『観光』だ」と語り、観光の意義を改めて訴えています。
さらに、大塚相談役は、「経済波及効果」「雇用創出力」「外需の内需化」といった観光が持つ意 義の経済的側面について言及すると同時に、「交流によるソフトパワーや人材力強化」「平和へのソフトインフラ」「交流による実体験の価値」「地域力の強化や国民の暮らしの質の向上」といったソフト面での貢献も大きいことを指摘しました。
旅行業界は中枢産業としての「自覚」と「誇り」を
大塚相談役は、JR東日本の社長として経営改革に取り組んだ経験や総合商社における変革の事例なども紹介した上で、旅行会社に今、必要なこととして(1)意識改革、(2)新しい価値・需要の創造、(3)人材の育成、という3つのポイントを示しています。
意識改革については、観光が国家戦略であることの「自覚」と「誇り」を持ち、「他の産業や業 種に観光の重要性を理解してもらう努力をしなければならない」と呼びかけました。大塚相談役は、「観光の重要性について説得しなければならない側が自分の仕事に誇りを持っていなければ、周りに理解してもらえるはずがない。具体的な行動も必要だが、まず、関係者自身が観光の重要性を認識 し、観光業界全体としても外向きになっていくことが重要だ」と語っています。
大塚相談役が冒頭でもふれたように、日本が抱える課題解決の鍵は「観光」であり、日本の経済成長やソフトパワー強化の切り札として注目されています。「『物見遊山』の需要を取り組むことだけ に安住する業界であっては、絶対に生き残ることはできない」というのが、大塚相談役の主張です。
新しい価値・需要の創造については、1971年に日本人出国者数と訪日外国人旅行者数が逆転し て以来、その格差は進む一方で、現在は約1000万人までその差が開いていることから、大塚相談役は、「アウトバウンドへの傾注から脱却して、ツーウェイツーリズムの推進を図るべきだ」と指摘しました。
また、カウンターなどを通じて顧客のニーズを肌で感じることができるのは旅行会社だけであり、 大塚相談役は、「そうした強みを生かして、旅行会社こそ、広がりのあるコーディネーター役を目指 すべきだ」とも語っています。日本の各地で誘客に向けた取り組みが進む中で、地域にある資源の価 値を発掘し、多くの人に感動を与える新しい旅行形態を開発するため、大塚相談役は、「地域の人た ちと連携して、求められる旅行を創り上げていくのが旅行会社の役割だ」と呼びかけました。
さらに、「人が唯一・最大の資源」である旅行会社は、社員だけでなく地域リーダーや地域のおも てなしの担い手なども含めた人を育む企業へと転換していくことも求められており、大塚相談役は、 「観光の力を発揮するためにも、人材育成の取り組みが必要だ」と訴えています。そのための教育や 研修を継続できる態勢を日本観光振興協会と連携して整えることなども、旅行業界の大きな役割とし て期待される時代を迎えているようです。
大塚相談役は、これからの旅行業界にとって重要なテーマとして、(1)経営者が「夢」や「ビ ジョン」を持つこと、(2)「貿易立国」、「科学技術立国」に続くのが「観光立国」であると認識 すること、(3)観光による震災復興や日本経済活性化を目指すこと、という3つのポイントを提示 した上で、「日本や海外の将来にとって重要な業界であるということを信じ、その重要性をいろいろ な機会に訴え、知恵を出して行動してほしい」と重ねて要請。「これからの日本を担う中枢産業とし て、私も皆さんと一緒に頑張っていきたい」と決意を示しました。
黒須 宏志氏
黒須氏は2011年度の旅行業について、東日本大震災の影響を受けていない2009年度の数字と比較。比較可能な113社分のデータを抽出し、旅行業経営の動きを解析しました。
企画旅行よりグループ旅行が粗利拡大に貢献
黒須氏は、2009年度に比べ2011年度は「流れとしては黒字の会社が増えている」と指摘したうえで、売上高と粗利益率の変化では「売上高を伸ばしている会社では粗利益が低下し、逆に売り上げが下がっても粗利は向上している傾向が見られる」と分析しました。「売上増と粗利の確保は両立しない」点を旅行業経営の特徴に挙げました。 2011年度は好調だった海外旅行部門も、売上増に一定のプラス効果はあったものの、粗利面でマイナス作用に働いていたとし、売上高の規模を問わず同じ傾向が当てはまるとしました。 海外旅行のうち、営業収入に対する売上と利益率への増加寄与度を調べたところ、企画旅行は売上を伸ばしたものの、粗利への貢献度は小さく、グループなど受注型の旅行が粗利拡大を牽引したとの見解を示しました。 黒須氏は「利益率の動向についても解析を試みたが、取扱いの規模と粗利益率は相関しない」とし、経営規模の拡大による利益向上は難しい点を指摘しました。
コストカット、人件費より「その他経費」寄与
2011年度は、コストカットによって増益を確保した会社が多かったことを導き出しましたが、「コストカットでは『人件費』を削減するよりも『その他経費』を削減する方が利益確保への寄与度が大きい」点を指摘。「ちょっとした注意の欠如で利益を低下させている傾向がある」との見解を示しました。 黒須氏は「2011年は海外旅行がリードして業況は好転し、営業所の拡充など積極的な動きも見られた」と分析。一方で、売上の伸びに対し利益率の向上が小さかったことから、「利益率の中でも死活を分ける営業利益率に改めて注意してもらいたい」と呼びかけました。
取扱高営業利益率0.53%、海外旅行好調で改善
2011年度(2011年4月~2012年3月)の旅行業経営分析によると、第1種旅行業者の取扱高営業利益率は平均0.53%となり、前年度のマイナス0.38%から大きく改善、2009年度と比較しても0.25ポイント上昇しました。1社あたり平均の営業利益は1億177万円に達し、過去10年で初めて1億円台を突破。11年度は海外旅行の粗利益構成比率が前年度より8.3ポイント上昇し、東日本大震災で落ち込んだ国内旅行をカバーして旅行業全体の利益を押し上げました。 同調査は前回(2010年度)から観光庁長官登録旅行業者(第1種)のうち、実績報告書作成に際して、JATAの旅行業分析の趣旨に同意した196社からの報告を分析したもの。 2011年度の1社平均の取扱高は前年度比6.2%減の190億5210万円、営業収入は同22.5%減の20億1950万円と減収だったものの、営業費を同28.5%減の19億1772万円と前年より7億円以上圧縮したことが利益確保につながりました。ただし、人件費は同1.9%増の9億3453万円と1700万円程度上昇しています。 取扱高営業利益率を従業員規模別に見ると、21~50人のグループが1.32%、301人~500人のグループが1.46%と1%を超えた一方で、51~100人のグループはマイナス0.12%、501人~1000人のグループもマイナス0.08%と、二極化が鮮明になりました。このほか、20人以下のグループは0.35%、101人~300人のグループは0.41%、1001人以上のグループは0.34%でした。 経常利益が黒字決算のいわゆる「健全企業」に限っては、20人以下のグループで1.05%、21~51人のグループで1.58%、301人~500人のグループで1.65%などと、さらに利益率が高まりました。 その他の経営指標を見ると、営業収入率(粗利益率)は10.60%、取扱高営業費率は10.07%となり、過去最高だった2008年度(営業収入率9.96%、取扱高営業費率9.55%)に次ぐ数字。人件費が上昇したことで、取扱高人件費率は2008年度と比較して0.38ポイント上昇して4.91%でした。 また、生産性の指標となる従業員1人あたりの取扱高は、前年度比3.2%減の1億1294万円となり、営業収入は同20.1%減の1197万円。営業費は同26.3%減の1136万円で、従業員1人あたりの営業利益は60万3000円(前年度は44万円の赤字)と大幅に改善しました。
ホールセラーの業績好調、ネット販売比率は低下
2011年度は海外旅行が牽引しましたが、実績に占める海外旅行の割合は、取扱高で44.7(前年度より2.8ポイント増)、営業利益で47.6%(同8.3ポイント増)でした。一方で国内旅行は取扱額で50.6%(同6.2ポイント減)、営業利益で47.0%(同11.6ポイント減)と大きく減少し、東日本大震災の影響が大きかったと見られます。海外旅行の内訳を見ると、募集型企画旅行が40%、受注型企画旅行が6%、手配旅行が54%でした。 調査対象とした196社の経営分析を業態別に見ると、「ホールセラー」の好調が目立ちます。ホールセラーは業態別で営業利益率が最も高く22.7%、経常利益率もトップで23.1%。取扱高増加率は44.3%に達しました。このことから、2011年度は海外ホールセール商品が好調だったことが伺えます。 また、インハウスなど「業務性旅行特化系」の利益率も引き続き高く、営業利益率は業態別で2位の15.0%、経常利益率は15.6%でした。 「メディア・通信販売系」は営業利益率が業態別で3位の10.9%、経常利益率も11.8%でした。 生産性が比較的高かったのは「インターネット販売系」で、1人当たり取扱高はホールセラーについで2位の1億6015万円を確保、1人あたり営業利益は132万円に達しました。ただ、広告宣伝費比率が13.2%と業態別で最も高く、営業利益率は8.3%にとどまりました。 2011年度はインターネット販売のシェアが低下し、1社当たり平均旅行取扱高は190億5210万円(前年度比6.2%減)だったが、旅行者へ直接販売されたのはこのうち133億5719万円(同2.1%減)、直接販売のうちインターネット販売は11億3814万円(同12.6%減)で、直接販売で占めるシェアは前年より1.0ポイント低下して8.5%でした。
旅行業経営委員会 石川委員長の挨拶から意見交換会が始まりました。旅行業経営委員会経営フォーラム部会の今部会長が乾杯の音頭をとられ、登壇者、参加者がなごやかに交流しました。
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