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更新日:2023年12月22日
監修:弁護士 三浦雅生
今回のテーマ:パスポートについて~残存有効期間と入国条件
2023年4月以降、日本中至る所で、多くの訪日外国人観光客の姿をコロナ禍以前のように見掛けるようになりました。一方、日本人のパスポート取得率が17.2%というデータが物語るように、なかなか日本からの海外旅行が元のようになりませんが、全国のパスポートセンターでは新規発行が爆発的に増加し、毎日多忙を極めているようです。今回はパスポートについて~残存有効期間と入国条件を取り上げてみます。
申し出内容は以下の通りです
SNS上でフォローしている旅行系You Tuberが「4年ぶりにベトナム旅行!」という動画投稿したことに触発され、私は成田発ホーチミン行き往復航空券を、旅行会社のウェブサイトから手配しました。以前パスポート上のアルファベットの綴りとEチケット上にあるものが1文字だけ違っていて大変なことになったので、今回は何度も確認をして申込みました。出発当日チェックインした際、航空会社のスタッフから「お持ちのパスポートでは、出国時必要な残存有効期間6か月を切っているので搭乗することはできません」と案内されました。色々搭乗の為の交渉はしたものの、「ベトナム政府が決めているルールなので我々はそれに従うしかありません。お気の毒ではありますがこの便へご搭乗承ることできません」と案内されました。
解決に向けての指針
このケースでは、旅行会社のサイト上で航空券の予約・手配の際、どのようなことが案内されていたのかを検証することが解決のポイントになります。手配旅行約款(以下、手約款)第5条に「所定の申込書に所定の事項を記入の上」と契約申込みの規定があり、このサイトには申込者の氏名・パスポート上の名前の綴り・パスポート番号、有効期限他、航空券を手配する上に必要な事柄を入力するフォームが設けられていました。また、注意喚起としてパスポートの残存有効期間など、入国に関するビザ条件等はお客様ご自身が確認する旨や、場合によっては入国条件が満たない場合には予約したフライトに搭乗できないケースがある旨も案内しており、残存有効期間の箇所は赤字で強調してありました。従いまして、旅行会社が渡航できない航空券を販売したのではなく、お客様がベトナムへの入国条件を事前に確認できていなかったので、購入した航空券自体は有効であるものの、持っているパスポートの有効残存期間が出国時6か月以上ないので入国条件を満たしておらず、搭乗できなかったという結果になったと検証ができます。
なお、パスポートの残存有効期間の条件は、入国時や出国時に●●日(●●か月)以上必要など訪問する国ごとに決められており、旅行会社や航空会社がこの条件に関与はできません。参考までに渡航手続代行契約は、旅行者から旅行会社は一定の業務を引き受けることになりますが、渡航手続代行約款第8条2項で「当社は、手続代行契約により、実際に旅行者が旅券等を取得できること及び関係国への出入国が許可されることを保証するものではありません」とあり、旅行会社を通して渡航先の査証を取得しても必ず入国できることを約束しているもではないことがわかります。
とは言え、旅行のプロとしての対応をお客様は期待しており、互いに相手の信頼を裏切らないように誠意をもって行動することが旅行会社に求められています。今後予想される海外旅行の需要増に向けて、各旅行会社はサイト上のパスポートに関する注意喚起事項を、必要に応じて見直ししたほうがよいかもしれません。
担当:佐藤 信吾
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