会報誌「じゃたこみ」 【海外】ヨーロッパ観光委員会
(ETC:European Travel Commission)がメディアイベントを開催
JOTC欧州部会も参加

更新日:2024年02月09日


 ヨーロッパ観光委員会(ETC:European Travel Commission)※は、2024年2月1日(木)、赤坂プリンスクラシックハウスにて、ヨーロッパ各国の観光政府局と共同でメディア向けイベントを開催しました。イベントは発表会とネットワーキングの2部構成で進行され、ヨーロッパのツーリズムの現状や2024年のETCの活動計画について報告が行われました。さらなる連携の促進に向け、JOTC欧州部会のメンバーもこのイベントに参加しました。※ヨーロッパ観光委員会(ETC:European Travel Commission)とは、1948年に第二次世界大戦後の復興活動の一環として設立された、欧州連合(EU)地域の観光プロモーションを担う非営利団体。

イベントにはJOTC欧州部会のメンバーも参加しました。今後、さらなる連携強化が期待されます。

 発表会では、ETCが実施した日本におけるヨーロッパ旅行への意識調査の結果が示され、海外旅行意欲の伸びが顕著であることが強調されました。特に、日本人にとってヨーロッパの魅力は、多様性に富んだ国々の歴史と文化であり、食文化への憧れが高まっていることが示されました。また、特別に用意されたパネルディスカッションでは、ETC日本支部の会員国代表(フランス観光開発機構 日本代表 フレデリック・マゼンク氏、オーストリア政府観光局日本支局長 ニコール・キルヒマイヤー氏、ドイツ観光局アジア地区統括局長兼日本支局長 西山 晃氏)が登壇し、新しい旅のスタイルや観光トレンド、サスティナビリティに焦点を当てた広範なトピックが議論されました。モデレーターはJATA海外旅行推進部副部長 阿部かすみが務めました。

パネルディスカッションに登壇したETC日本支部の会員国代表、右から フランス観光開発機構 日本代表 フレデリック・マゼンク氏 オーストリア政府観光局日本支局長 ニコール・キルヒマイヤー氏 ドイツ観光局アジア地区統括局長兼日本支局長

                                                                                                                

 ETC本部から寄せられたExecutive Directorのエドゥアルド・サンタンデール氏によるビデオメッセージでは、能登半島の地震と津波に対する哀悼の意が表明され、観光業による復興の重要性が強調されました。国際情勢の中で分断が進むなか、ツーリズム産業がもたらす国際理解や相互協力、そして平和な世の中を保つ上での重要性についての考えも示されました。

ETC本部から寄せられたExecutive Directorのエドゥアルド・サンタンデール氏によるビデオメッセージ

 ヨーロッパ観光委員会日本支部委員長の沼田晃一氏は、ETCの概要や最新の活動について説明し、ETCのミッションが各国に有益なメリットを提供し、観光産業の成長と促進に寄与することだと強調しました。リサーチ、マーケティング、アドボカシーの3つの領域で活動しており、ヨーロッパ観光産業のプロモーションを推進している非営利団体であることに言及し、36カ国のメンバー国を抱え、昨年にはトルコが新規メンバーとして加わったことを報告しました。

ETCの概要や最新の活動について説明する日本支部委員長の沼田晃一氏

 パネルディスカッションでは、日本人海外旅行の需要回復状況やコロナ禍を経ての消費者の旅行に対する意識の変化について、パネリストたちが意見を交わし、「オーバーツーリズム」に対する取り組みや、鉄道旅行の促進など、環境への配慮が進む様子なども紹介されました。また、ヨーロッパ観光においては、より長い滞在が好まれ、地元の食文化や観光地を楽しむスタイルが注目されつつあり、これがサスティナビリティにも合致しているとの見解が示されました。モデレーターの阿部副部長は、2019年と2020年にJOTC欧州部会で進行していた「美味しいヨーロッパ100」というガストロノミーツーリズム推進のプロジェクトについて、新型コロナの影響で中断となったことに言及し、今後は、ETCとJOTC欧州部会で連携のうえ、改めて「美味しいヨーロッパ」を選出し、プロジェクトを再始動させることを表明しました。最後に、各パネリストから、平和な世界を築く上で観光産業が果たす役割は、ますます重要になってくるとの認識が示され、ディスカッションは終了しました。

モデレーターを務めた JATA海外旅行推進部副部長 阿部かすみ、コロナ禍により中断していた「美しいヨーロッパ」プロジェクトの再始動を表明。

 発表会に続き行われたネットワーキングでは、JATA理事長 蝦名邦晴が開会の挨拶を行いました。蝦名理事長はヨーロッパ駐在経験を振り返り、その多様性に焦点を当て、ヨーロッパの魅力に触れました。欧州との双方向交流の活性化に向けては、サステイナブルツーリズムなどの新しいトレンドを捉え、日本人の観光に対する意識を高めていく必要があると強調しました。

ネットワーキングの冒頭、挨拶を行うJATA理事長 蝦名邦晴