会報誌「じゃたこみ」 【海外・研修レポート】
団体旅行セールスパーソンとして、社員が挑む
「海外団体販売基礎・実地研修」のすべて

更新日:2024年04月17日


座学研修プログラム : 香港政府観光局プレゼンテーション


続いて、登壇いただいた香港政府観光局・東京オフィスの古谷剛マネージャー トレードマーケティングからは、今回の視察で実際に訪れる場所を含む香港を代表する観光スポットやレストランなどについて、法人団体セールスの観点に立って販売手法を説明いただきました。古谷氏は、政府観光局で旅行業界を担当し、過去にはMICEの専任を長年にわたって務めた経験もあります。今回の講義では、他社競合に勝つポイントやプレゼンの仕方などを含め、わかりやすく、丁寧にご説明いただきました。

多くの日本人アーティストや芸能人が訪れる香港


冒頭、古谷氏は、まだ香港の安全性に不安を抱く日本人が少なからずいる点に言及し、デモはコロナ禍が始まる前に終息し、既に4年以上が経過していると説明しました。その上で、至近の1年間に日本人アーティストの香港公演が25本確定していること(2月末時点でうち18本は実施済み)や、テレビ局が計21本の香港特集をオンエアしたことを紹介し、これらが香港が安全であるとお客様に安心してもらえる裏付けの1つになるのではないかと話しました。


香港政府観光局・東京オフィスの古谷剛マネージャー トレードマーケティング

ヒアリングを徹底のうえ政府観光局を上手に活用


古谷氏は、さまざまなサポートを行っている政府観光局について、うまく活用している旅行会社と、そうでないところがあると指摘しました。例えば、旅行会社からアイディア提供を求められた場合、寄せられる情報の質や量により、回答が異なってくると話します。お客様のニーズをしっかりとヒアリングし、より質の高い情報を得ているセールスパーソンには、よりよい提案やサポートが可能で、ひいてはその旅行会社も競合に勝つ可能性も上がると強調しました。キャンペーン特典の提供や画像・映像などの提供、DM費用の負担、MICE販促のサポートなど様々な支援を行っている観光局を積極的に利用して欲しいと訴えました。

香港販売プレゼンテーションのヒント


今回の研修生の中で、香港への渡航経験があるのは3名ということで、比較的初心者が多い中、古谷氏は香港の販売に活かせるポイントを熱心に共有しました。たとえば、フライト時間が短く時差も1時間程度であること、2泊3日や3泊4日から短時間でも旅程が組みやすいこと、さまざまな地方空港からも多くのフライトが就航しているため全国から集まる大型団体でも受け入れやすいことなど、基本的な点をわかりやすく説明しました。
渡航先を香港で提案する際、これらの要点を組み込むことで、より説得力のあるプレゼンテーションになると指摘しました。また、企業の旅行の場合には、社員の安全が重視されることから、香港が世界で最も刑法犯罪率が低い都市のひとつである点などを強調すれば、自由行動の際の安心にもつながると話しました。
さらに、香港で中国料理を食べながらビクトリアハーバーの夜景を楽しむことは、日本人の多くが憧れるものですが、実際には香港は景色が楽しめる中国料理レストランの数は少ないと説明しました。その上で、中国料理と夜景の両方が楽しめるレストランの一覧表を共有するなど、どのように競合との差別化を図り、受注につなげるかの秘訣を述べました。

香港ディズニーランドの魅力と新しい観光スポットを探る


観光スポットの紹介において、古谷氏は香港ディズニーランドの魅力についても語りました。
そのポイントとして、日本にはない4つのテーマランド(トイストーリー・ランド、ミスティック・ポイント、グリズリー・ガルチ、ワールド・オフ・フローズン)を強調しました。また、香港ディズニーランドの象徴であるお城「キャッスル・オブ・マジカル・ドリーム」では、ナイトタイム・スペクタキュラー「モーメンタス」が繰り広げられ、噴水やレーザー光線、花火などで彩られる様子を紹介しました。
さらに、企業の報奨旅行などを想定し、香港ディズニーランド・リゾートでの団体貸し切りについても触れました。20名ほどから利用できる香港ディズニーランド・ホテルのファンクションルームの他、パーク内ではレストランやシアター、テーマランド全体、全園での貸し切りが可能であり、キャラクターを呼んで特別感を演出する手法も紹介しました。そして、新たな観光スポットとして、美術館や戯曲センターなど、芸術にまつわるコンテンツが集まる西九龍(ウエストカオルーン)文化地区を紹介し、香港の多様性や活気ある魅力をアピールしました。

楽しみながら学び、一つでも多くの成約を


古谷氏は、今回の研修について、まずは参加者自身が楽しみながら香港の団体旅行の販売方法や知識を身に着けて欲しいと述べました。そして、帰国後は研修で得た情報やスキルを活用し、1つでも多くの成約に結び付けていただくことが重要であると話しました。そのうえで、団体旅行の受注にはお客様のニーズやこだわりを理解し、観光局やランドオペレーター、ホテル、航空会社、観光施設などのパートナーとの連携が欠かせないと強調しました。最後に、参加者の皆さまが活躍していくことを楽しみにしているとエールを送りました。

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