第2回 JATAエコツーリズム調査報告
「中高年の旅行市場とエコツアー」
希望する旅行全般に関する調査項目

更新日:2022年03月22日


1) 中高年市場の旅行指向

A.希望する旅行

自然観賞の旅行、癒しの旅行、歴史探訪旅行に希望が高く、概して自然指向。

  • 「自然景観や風景を見て回る旅行」(41.0%)、「保養・休養・温泉浴の旅行」(36.7%)、「歴史・史跡・有名な建築物を訪れて知識を深める旅行」(30.6%)が、中高年に指向されるトップ3の旅行。
  • 「自然に浸り、動植物の観察やそれらの生態環境に接し親しむ旅行」を望むサンプルは全体の18.0%で、男性よりも女性に多く(21.5%/14.8%)、年令階層では65才以上が急減する。
  • 男性が女性よりも希望する割合が顕著に高い旅行は「歴史・史跡・有名な建築物を訪れて知識を深める旅行」(40.7%/29.0%)及び「スポーツを楽しむ旅行」(12.6%/6.8%)。
  • 女性が男性よりも希望する割合が顕著に高い旅行は「浜辺や高原など自然に囲まれてのんびりする旅行」(31.9%/23.0%)及び「有名なリゾート・ホテルや旅館に泊まる旅行」(23.1%/14.8%)。
  • 年令階層別に顕著な差違が見られるのは「保養・休養・温泉浴の旅行」で、45~54才(48.2%)の年令層が最も高い希望を示している。(55~65才は34.0%、65才以上は34.4%。)
  • 「歴史・史跡・有名な建築物を訪れて知識を深める旅行」及び「美術館・博物館を巡る旅行」は、高学歴のサンプル程その希望が高い。(34.7%/27.8%、24.8%/11.8%)

B.希望する旅行と同行者

希望する旅行のトップ3はいずれも約60%のサンプルが同行者に配偶者を選択。
子供を伴ったり、三世代で旅行を希望する割合は低く、概して一般的な傾向には至っていない。

  • 「登山や山歩きの旅行」、「スポーツを楽しむ旅行」等、趣味を目的とする旅行は、同行者に友人・知人を選択するケースが最も多い。(80.0%、67.6%)
  • 同行者を伴わず個人での旅行参加を希望するケースも、「美術館・博物館をめぐる旅行」(39.5%)、「自然に浸り、動植物の観察やそれらの生態環境に接し親しむ旅行」(29.4%)、「登山や山歩きの旅行」(26.2%)等、個人の趣味の域に踏み込んだ旅行が多い。
  • 「自然に浸り、動植物の観察やそれらの生態環境に接し親しむ旅行」は、配偶者を除き、家族同伴には排他的な傾向が見られる。

C.国内旅行の現実的な希望旅行期間

基本的に国内旅行は5日間以内が大勢。
希望する旅行のトップ3はいずれも3日間あるいは2日間。

  • やや長めの傾向が認められるのは、「自然に浸り、動植物の観察やそれらの生態環境に接し親しむ旅行」、「浜辺や高原など自然に囲まれてのんびり過ごす旅行」、「その土地の生活や習慣・伝統に触れる旅行」、「有名なリゾート・ホテルや旅館に泊まる旅行」及び「歴史・史跡・有名な建築物を訪れて知識を深める旅行」。(4~5日間を希望するサンプルがそれぞれ24.4%、24.1%、18.2%、16.8%、15.9%)
  • 「自然に浸り、動植物の観察やそれらの生態環境に接し親しむ旅行」は全旅行の種類の中にあって最も時間をかけて楽しむ旅行と認識されている。

D.海外旅行の現実的な希望旅行期間

概して8~10日間までの旅行期間を希望する傾向が主流と認められる。

  • 希望する旅行のトップ3を構成する「自然景観や風景を見て回る旅行」は6~10日間が大勢でその中でもやや長めの傾向、「保養・休養・温泉浴の旅行」は4~10日間と大勢の選択に幅があり、6~7日間が中間値、(36.7%)、「歴史・史跡・有名な建築物を訪れて知識を深める旅行」は6~10日間が大勢で、その中でも10日間に近い長めの傾向が認められる。
  • 「自然に浸り、動植物の観察やそれらの生態環境に接し親しむ旅行」は6~10日間が大勢で、その中でもやや長めの傾向。
  • もっとも長い旅行期間は「クルーズ旅行」で8日間以上が70%。なお15日間以上がその30%以上を占める。

2)旅行を動機づける情報源、旅行情報の入手源

所属するクラブツーリズムの機関誌・会報を除外すると、最も旅行を動機づけるメディアは新聞とテレビの一般媒体。
購買行動を起こすための具体的な旅行情報は「旅行会社のパンフレット」と「旅行ガイドブック」から。

  • 旅行関連のチャネル、口コミは着実な影響力を持つ。
  • 一般媒体ながらラジオは極めて影響力が小さい。(3.6%)
  • 中高年市場においては「駅・車内のポスター」及び「一般雑誌」は10%程度と低い影響力である。
  • 旅行商品の購買に際しては旅行会社への依存度が極めて高い。
  • 中高年市場においてはクラブ組織など囲い込んだ会員組織が旅行販売に有効に影響している。
  • 会員組織の機関誌を除外すると「旅行会社のパンフレット」が最も具体的な旅行情報として認識されている。
  • 観光案内所、情報センター、観光局利用は専門情報提供機関にも関らず13.4%に過ぎない。
  • 具体的な旅行情報入手のためのインターネットへのアクセスは8.5%。

3)インターネット利用率

中高年市場において旅行情報入手にインターネットを利用する割合は全体の16.6%。
ただし、年令層の違いによって大きく利用率が異なり、年令の低いほど利用率は高い。
45~54才の年令層では35.3%と高率を示し、メディアとして活用できる状況と言える。