海外旅行関連情報 海外安全対策便り – 外務省邦人テロ対策室 –
2023年9月29日発行 第15号

更新日:2023年09月29日


★★★ 海外安全対策便り-外務省邦人テロ対策室- ☆☆☆
2023年9月29日発行 第15号

皆様、長らくご無沙汰しております。残暑の厳しい今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。今回は、米国・NYでの滞在経験のある邦人テロ対策室職員が、銃乱射事案に居あわせた時の対応方法をご紹介します。また、本年も、安全対策に向けた訓練やセミナーを開催いたします!皆様のご参加をお待ちしています。

■  無差別銃乱射に遭遇したら
■  今年もやります!訓練、セミナー
■  ゴルゴ13からの伝言

無差別銃乱射に遭遇したら

▸ 魅惑的な米国・NY
このメルマガを書いている邦人テロ対策室員は、研修で米国NYに滞在しておりました。恥ずかしながら留学中は少々浮かれており、国連総会前のお手伝いの後や期末試験明けに、日付が変わるまでジャズバーなどで飲んでいました。(もし今の私が当時の私を見かけたら、喝を入れると思います。)しかし、当時も、観光名所に隣接する公園が大麻の取引場所になっていたり、大通りとたった1本しか違わないはずなのに、なぜか人が全くいない路地があったりしたのをよく覚えています。


複雑に入り組むNYの摩天楼

▸ 数字で見る米国の治安
悲しいことに、最近は毎日のように米国での悲惨な事件のニュースが日本のメディアでも報道されます。筆者が滞在していた2017年当時のニューヨーク市は、2000年以来殺人件数が最も少なく、2000年の約4割に減少するまで治安が改善していました(2000年:673件、2017年:292件。 ニューヨーク市警調べ。 PDF)
しかし、コロナが流行し始めた2019年以降は殺人件数が再び増加傾向に転じ、2022年のニューヨーク市内の殺人件数は、2017年の1.5倍にあたる438件となりました(出典同上)。

また、米国疾病予防管理センター(CDC)は、毎年、米国内で亡くなった形の死因別統計を出しているのですが、全米で火器により殺害された被害者数は、2014年に11,008人でしたが、2019年には14,414人、2020年には前年度比約34%増の19,384人となりました(出典:CDC WISQARS)(上記数字を365日で単純に平均すると、1日当たり約50人が火器を用いて殺害されている計算になります。)なお、CDCによれば、2020年に火器により殺害された被害者数は、直近25年間で最も多かったようです(出典:CDCプレスリリース)。

具体的な事例で見てみると、NYだけでも、昨年4月にはマンハッタンの地下鉄内で銃撃事件が発生したり、5月には白人至上主義思想を持っていると見られる犯人によるスーパーマーケットの襲撃事件が発生しました。コロナが明けて米国に行かれる方にお話しを伺うと、コロナ以前と比べて治安状況が悪化したと感じるとおっしゃる方もいました。


図:米CDC作成の統計(出典:https://www.cdc.gov/vitalsigns/firearm-deaths/#challenge)
(※上段:火器による自殺者数、下段:火器による殺人被害者数(いずれも10万人当たりに換算した場合の死者数))

▸ もしもの時の備え
もし無差別銃乱射に遭遇したら、あなたならどうしますか?初動をいま一度振り返ってみましょう。
まずは、① 身を低くし、一瞬呼吸を整えてください。一般に、無差別乱射では水平に発砲することが多いと言われているため、なるべく姿勢を低くする事で銃弾に当たる確率を減らすことが出来るとされています。また、目の前に銃を持った人がいれば、誰しもパニックになると思いますが、緊急時こそ冷静な状況判断が大切です。
身を低くしたら、② すぐに周囲の状況を確認してください。確認にあたっては、逃げる事を最優先にしてください。有事の際に守るべき唯一のものは命です。逃げる際には、犯人とは別の方向に、なるべく身軽にして、逃げてください。
③ もし逃げる事が難しければ、低い姿勢のまま、柱や階段等硬いものの物陰に隠れてください。木製のものは銃弾が貫通してしまいます。また、その際に、携帯の着信をサイレントモードにするなどして、気配を消してください。判断が難しいところですが、逃げられる状況が生まれたら、速やかに逃げてください。
残念ながら、危機管理において「正解」はありません。上記で御紹介したものも、あくまで一例です。しかし、とっさの時には、しばしば頭が真っ白になってしまうことがあります。何もないことを祈りつつ、上記のような対応例が、皆様が「万が一」をくぐり抜けるお手伝いになれば幸いです。

今年もやります ! 訓練、セミナー

銃乱射の時の安全対策なんて、そんな言葉で言われても想像できないよ、、、と思われた方もかなり多いのではないかと思っております。そんな方々を少しでもお手伝いすべく、邦人テロ対策室は今年も訓練やセミナーを実施します!

▸ 官民合同テロ・誘拐対策実地訓練~第一回は10月17日、第二回は12月1日~
昨年度も大変なご好評をいただいた官民合同テロ・対策実地訓練、今年も開催します!今年度第一回は10月17日に、三田共用会議所での実施を予定しております。
ありがたいことにかなり多くの応募をいただいており、第一回は応募を締め切ってしまいましたが、第二回の訓練を12月1日に、第三回訓練は年度末に予定しています。これから危険地に行かれる予定がある方や危機管理部門のご担当者等、日本企業・団体関係者の皆様は是非ふるってご参加ください。

▸ 国内安全対策セミナー~第一回は10月20日(於:札幌)~
これから海外でのビジネス展開を考えられているけれど、安全対策といったって何から始めればいいんだろう、外務省にわざわざ訪ねにいくのは遠いーそんな方にお伝えしたいのが国内安全対策セミナーです。
国内安全対策セミナーでは、外務省職員が危機管理会社のコンサルタントとともに国内各地方にお伺いして、一般犯罪やテロ、政情不安など、幅広い海外のリスクやその対策の基礎を解説します。セミナーの後には、ご参加いただいた方向けに相談会も実施します !
第一回は10月20日に札幌で実施予定です。今年は、大阪、広島、名古屋、新潟、静岡、京都及び東京(いずれも予定)で順次開催したいと思っておりますので、皆様のお近くで開催される際にはぜひお立ち寄りください。

ゴルゴ13からの伝言

ではどうやって危機を乗り越えるか…詳細はこちら
https://www.anzen.mofa.go.jp/anzen_info/pdf/episode12.pdf PDF ※外務省公式PDFファイル

外務省領事局邦人テロ対策室
ryoutai@mofa.go.jp
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