海外旅行関連情報 海外安全対策便り – 外務省邦人テロ対策室 –
2023年12月19日発行 第17号

更新日:2023年12月19日


★★★ 海外安全対策便り-外務省邦人テロ対策室- ☆☆☆
2023年12月19日発行 第17号

今回は、欧州での勤務経験のある邦人テロ対策室員が、一見安全な国においても存在する様々なリスクについてご紹介します。

■  “安全” に見える国にも様々なリスクが……
■  大好評!テロ・誘拐対策実地訓練、国内安全対策セミナー
■  広域情報(欧米でのテロ等に対する注意喚起)の発出
■  ゴルゴ13からの伝言

“安全” に見える国にも様々なリスクが……


多くの観光客が訪れる首都ローマのスペイン階段(写真:筆者撮影)

皆さん、イタリアというとどのようなイメージをお持ちでしょうか。明るい太陽の下、古代ローマ時代の遺跡や古い町並み、ピザやパスタ等のグルメや様々な高級ブランドを擁するファッション大国等、ポジティブなイメージを思い浮かべることが多いと思います。そんなイタリアに、ある邦人テロ対策室員は4年程仕事で滞在をしていました。

イタリアには、世界中から非常に多くの観光客が訪れるため、スリ・ひったくりのリスクがあることはご存じの方も多いと思います。実際、私の身近にも、スリやひったくりに遭った友人・知人が何人もいますし、私自身、大都市の中央駅にて、目の前でひったくりが行われるのを目にしたことがあります。スリ・ひったくりのリスクは、イタリアだけでなく欧州、世界中どこでもありますので、少しでも狙われるシチュエーションや手口を外務省海外安全ホームページ「安全の手引き」等で確認をしておきたいところです。

一方、イタリアでスリ・ひったくり以外のリスクについても広く想定して渡航する方は、どちらかというと少数派なのではないかと思います。

例えば、イタリアは日本と同じ地震大国であり、2009年に中部ラクイラで発生した地震では300人以上、2016年にペルージャ県で発生した地震では300人近くが亡くなっています。

また、夏期には南部のシチリア州、カラブリア州、プーリア州等では毎日のように山火事が発生しており(筆者も旅行時に目撃しました)、熱波に襲われた今年は、シチリア島で、欧州での観測史上最高気温(48.8度)が観測され、山火事の発生も拡大したようです。

加えて、テロのリスクはどうでしょうか。イタリアでは、1970年代後半から1980年代の極左・極右系テロ組織による政府要人の誘拐・殺害・爆弾テロ、1990年代前半のマフィアによる当局関係者を対象としたテロ活動の後には、当局の徹底した取締り等によりテロ情勢は沈静化に向かい、これまでのところ、国際イスラム過激派組織が関与したと見られる大規模テロ事件は発生していません。しかしながら、イタリア国内に居住する外国人等が過激化してテロを計画した事案や、過去に政府関係機関等に対してテロを起こしてきた極右・極左組織やマフィアの動きのほか、近隣諸国の団体と連携してデモ等を扇動して過激化させる事件等を引き起こしたアナーキストの動きも確認されています。

最近では、10月13日にミラノ市内にて、「アッラー・アクバル」と叫びながらコーランを片手に男が複数の通行人に暴行を加えた事案や、イスラム過激派組織の活動に参加していた者やテロ攻撃を扇動していた複数人が逮捕されるなどしています。カトリックの総本山であり多くの旅行者を集めるバチカンを有するイタリアは、テロのターゲットとなり得ることを頭の片隅に入れていただければ幸いです。

最後に、イスラエル・パレスチナ情勢に伴い、各地でデモや集会が行われており、これらのデモ・集会が拡大・過激化するリスクに加え、テロ発生のリスクも否定できません。

以上、イタリアであり得る渡航・滞在時の主要なリスクを紹介させて頂きましたが、一見安全な国にも様々なリスクが常に存在することは、イタリア以外の欧州各国、世界中どの地域でも同様です。

ぜひ、海外に渡航予定のある方もない方も、「たびレジ」に登録して各地の最新のリスクをフォローしましょう。また、外務省海外安全ホームページの国別ページに目を通すこともリスク軽減に役立ちます。


カトリックの総本山、バチカン市国(写真:筆者撮影)

大好評 ! 官民合同テロ・誘拐対策実地訓練、国内安全対策セミナー

第2回官民合同テロ・誘拐対策実地訓練(簡易版)を開催しました!

12月1日(金)、三田共用会議所にて第2回官民合同テロ・誘拐対策実地訓練(簡易版)を実施しました。民間企業・団体より計50名の方々にご参加いただき、講義の他、銃撃・爆撃遭遇時の基本となる「伏せ」や匍匐前進、受傷時の止血方法、刃物攻撃に対する身の守り方等を、講師の指導のもと練習しました。


刃物襲撃への対処の実演

国際社会は歴史の転換点に直面しており、イスラエル・パレスチナ情勢を受けて世界中の海外渡航時の事前の「備え」の重要性は、いくら強調してもしすぎることはありません。平時にこのような訓練を受けておくことが、万が一の場面に遭遇した際に生き延びられるか否かの分かれ道となるかもしれません。

特に国外版は、2日間をフルに活用して、テロや誘拐へのヨーロッパ、中東、アフリカの大使館に勤務する外交官が多く参加予定ですので、ぜひこの機会にご参加ください。
今年度の残りの期間、当室では以下の予定でテロ・誘拐対策実地訓練を実施予定ですので、まだの方は是非ご参加を検討いただければ幸いです。

● 官民合同テロ・誘拐対策実地訓練(簡易版)
     2024年1月22日(於:三田共用会議所(都内))

● 官民合同テロ・誘拐対策実地訓練(国外版)
     2024年2月5~6日、8~9日(於:トルコ共和国・イスタンブール)
     詳細は以下のURLからご確認ください。
     https://www.anzen.mofa.go.jp/c_info/terro_kunren.html

国内安全対策セミナー ~第3回目は12月15日(於:広島)、第4回目は1月25日(於:名古屋)に開催予定です ! ~

これから海外でのビジネス展開を考えられているけれど、安全対策といったって何から始めればいいんだろう、外務省にわざわざ訪ねにいくのは遠いーそんな方にお伝えしたいのが国内安全対策セミナーです。
国内安全対策セミナーでは、外務省職員が危機管理会社のコンサルタントとともに国内各地方にお伺いして、一般犯罪やテロ、政情不安など、幅広い海外のリスクやその対策の基礎を解説します。セミナーの後には、ご参加いただいた方向けに相談会も実施します !
第三回は12月15日に広島、第四回は来年1月25日に名古屋で実施予定です。皆様のお近くで開催される際にはぜひお立ち寄りください。

広域情報(欧米でのテロ等に対する注意喚起)の発出

2023年12月1日、欧州の一部及び北米を対象として、広域情報「欧米でのテロ等に対する注意喚起」を発出しました。
欧米では特に、クリスマスや年末年始といった祝祭日・イベントシーズンは人の集まりや移動が増えるため、テロの可能性が高まることが懸念されます。実際に、ドイツでは先月、クリスマスマーケットを狙ったテロを計画した疑いで逮捕者が出ています。
また、近年、欧米では警備や監視が手薄で一般市民が多く集まる場所(ソフトターゲット)を標的としたテロが頻発しています。これらは組織性は低いものの、イスラム過激派の影響を受けた単独犯によるテロが多く、事前の取締りが難しいため、今後も継続することが懸念されます。最近も、2023年10月13日にはフランス北部のアラス、10月16日にはベルギー・ブリュッセル、12月2日にはフランス・パリにて単独犯によるテロ事件が発生し、死傷者が出ています。

● 広域情報(欧米でのテロ等に対する注意喚起)
     https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcwideareaspecificinfo_2023C058.html

ゴルゴ13からの伝言

必要なことは、外務省海外安全情報に・・・詳細はこちら
https://www.anzen.mofa.go.jp/anzen_info/pdf/episode3.pdf PDF

外務省領事局邦人テロ対策室
ryoutai@mofa.go.jp
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