海外旅行関連情報 イスラエル研修報告書

更新日:2022年04月14日


2018年2月12日

1. 背  景

最近イスラエルへの日本人渡航者数の増加が顕著であることから、在日イスラエル大使館の要請により、更なる渡航者数拡大を目的に企画商品造成担当者を対象にした研修旅行を計画。2月6日からイスラエルでトラベルマートが開催されることから、この日程に合わせて研修旅行を実施することとした。

2. 参加者

お名前 会社名 役職
田中 國智 (株)アサヒトラベルインターナショナル 代表取締役社長
斎藤 緩子 (株)読売旅行 海外旅行本部関東海外旅行部係長
橋本 知明 (株)ジャルパック 海外企画商品第4事業部
ヨーロッパ グループ アシスタントマネージャー
保坂 明彦 JATA 海外旅行推進部副部長

3. 日  程

2/2(金) 成田発、モスクワ乗り継ぎでテルアビブへ
NRT/MOW SU261 13:10/17:35 MOW/TLV (SU504 19:35/22:45)着後、
エルサレムのホテルへ(所要60分)Harmony Hotel Jerusalem泊
2/3(土) ホテル~ヘブライ大学前の市内を見下ろす展望台~クムラン遺跡(Qumran Caves)~
世界遺産国立公園(Masada National Park)~死海Hotel Leonardo Plaza泊
2/4(日) ホテルにてスパ体験後11:00発~ISROTEL視察~死海北部の浮遊体験ビーチ(昼食)~エルサレム
2/5(月) エルサレム旧市内を徒歩にて見学(聖墳墓教会・嘆きの壁等)~市電にてマーケット見学~イスラエル博物館~ホテル
夜、トラベルマートレセプションに参加
2/6(火) テルアビブにてIMTM(International Mediterranean Travel Market)でイスラエルのサプライヤーとの商談会に参加。
終了後ホテルへ
2/7(水) 終日、ハイファ(世界遺産バハーイー庭園」)とカエサリアの視察
2/8(木) テルアビブ発、モスクワ乗り継ぎにて帰国の途に(SU503 13:10/SU262)
2/9(金) 成田着
(SU大幅遅延により、CX676→CX548に振り替え、テルアビブ→香港→羽田)
CX676 TLV 12:45→ HKG 5:15 +1、 CX548 HKG 8:55→ HND 13:45

4. 日程作成上の留意点

(1) フライト

成田発50分遅延・モスクワ着90分遅延のため、乗り継ぎ時間が30分ほどとなり駆け足の乗り継ぎとなった。SU同士の乗り継ぎのため、SU係員が誘導して旅券・搭乗券と手荷物チェックを優先的に対応してもらったが、ツアーであれば乗り継ぎが難しかったかもしれない。出迎えガイドの情報によると、60分以内の乗り継ぎの場合はロストの可能性が高いとのこと。
尚MOWでは国際線の乗り継ぎでも、パスポートコントロールがあり、ここで旅券と乗り継ぎの搭乗券を提示して手荷物チェックを受け乗り継ぎ便の出発ゲートに。

(2) テルアビブのイミグレーション

周辺のアラブ諸国がイスラエル入国のスタンプが旅券におされていると入国拒否するための策として、数年前から入国審査時には旅券への押印をせず代わりに”State of Israel-Border Control”のカードを入国時に係官から配布。このカードを出国時に提出することとこのカードの提示で出国時の免税手続きも行うため、旅券と一緒に携行が必要。

(3) 現地日本語ガイド

最近の日本人旅行客(業務渡航を含む)の増加により、日本語ガイドの需要が高まっており、手配不可のことも珍しくないとのこと。現在ライセンスガイドは20名(内男性は2~3名)で、同一期間に活動できるのは12~13名程度。

(4) 車

ミニバン~大型バスまでニーズに合った手配が可能、エアコン完備。

(5) 宿泊ホテル

  • * Harmony Hotel Jerusalem :
    中心部にあるFIT向けの中規模ホテルでシャワーのみの部屋が多い。実感は3.5~4つ星位か? 車が入れずホテルまで徒歩1分。
  • * Leonardo Plaza (Ein Bokek) :
    死海のビーチに面した4つ星クラスの大型リゾートホテル。バスタブ付き、広さも十分。
  • * Hotel David Citadel (Jerusalem) :
    市心に位置し、旧市街の「嘆きの壁」等へも徒歩圏の、東京・帝国ホテル並みの5つ星デラックスホテル。ロケーション・設備・サービス等申し分なし。
  • * Dan Tel Aviv :
    ビーチに面する創立70年の老舗ホテル、ロケーション、設備サービスは問題なし。朝食には客層を考慮してか、飲茶2~3種類とお粥がセットされていた。ホテル斜め向かいには深夜まで営業しているミニスーパー有。徒歩5分程度のところにはスーパーもあり。両替所はホテルを出てすぐ左。ホテルと同じ建物内。

(6) 食事

  • * マサダ国立公園及び死海エリアは昼食・夕食ともビュッフェが主流
  • * 肉と乳製品(チーズ・ヨーグルト・牛乳等)を一緒に食すことが宗教上禁止されていることから、ほぼ全てのホテルでは朝食に乳製品を提供することから肉類(ハム・ソーセージ・ベーコン等)が除かれている。

(7) ツアーオペレーター&手配上の留意点

  • * 今回のガイドによると、日本の旅行会社を担当しているのは最 大手のアミエル他数社で、アミエルが手配内容も含め最も信頼度が高いとのこと。
  • * 安息日翌日の土曜は宗教上の理由から日没までチェックアウト延長が可能な為 特に夏場で日没が20~21時となる時期は、死海のリゾートホテルでは稀に到着団体の部屋の確保が困難な場合有り。このため土曜に死海チェックインは避ける方が無難。

(8) シーズナリティー

  • * 年間を通じて全観光客のオンとオフの差は少ないが、最も少ない時期は12月上旬と1月下旬の各2週間程度。日本人は2~3月が最も多い。ユダヤ教のイベント等で宿泊手配が困難な時期が春と秋に1か月程度あるとのこと。

(9) 視察ホテル

  • * 死海Ein Bokek地区  Hod Hamidbar :
    死海で唯一ビーチに徒歩2分と近接している4つ星の大型リゾートホテル。部屋の広さ・雰囲気は宿泊のLeonardo Plazaが上。但し日本人マーケットを熟知しており、原則、夫婦はセパレートツイン、バスタブ付きが徹底されているとのこと。
  • * 死海Ein Bokek地区  ISROTEL :
    このエリアでは最も評判の良い5つ星大型リゾートホテル。水着を着用して徒歩数分でビーチでの浮遊体験が可能。全室オー シャンビューで、7・8階は子供連れ不可のワンランク上のビジネスルームと専用ラウンジあり。
  • * エルサレムMamilla Hotel :
    市の中心にあり宿泊したDavid Citadel Hotelと同系列で、このホテルの向かいにある5つ星の大型ホテル。障害者用のスロープや階段を使用しない専用エレベーター等も設置され、細かな点にも配慮の行き届いた設備となっている。バスルームがガラス越しに見える(遮断可能)モダンなデザインのため、若者向き。年配者はDavid Citadel Hotelがお勧めか?

(10) 訪問都市の特徴

  • * 死海 :
    欧米人を中心に平均宿泊数は2~3泊で、ホテルはほぼ全てがビュッフェの朝食と夕食を提供。死海での浮遊を体験できるプール施設(スパ)のが季節にかかわらず最大のポイント。病気治療や療養を目的とした高齢者も多数。スパ体験は水着着用。ホテル内のスパで体験する場合は、水着を着用して室内に備え付けのガウンを羽織りスパに移動して浮遊体験を楽しむのが一般的。サンダルを持参すると尚良い。

(11) 観光施設

  • * Qumran Caves
    死海写本が多数発見され2千年以上前の殉教者の生活を再現した遺跡。6分ほどのビデオ(日本語版あり)上映後、遺跡内を見学。駐車場・ 土産店レストラン等完備、AHAVA商品あり。トイレも清潔。
  • * Masada National Park
    2千年前にローマ帝国に征服された、当時約千人が生活していた砂漠の要塞都市遺跡で、世界遺産にも登録され、観光客には必見のス ポット。ロープウェイで山上の砦の遺跡を見学、8分ほどのビデオ上映あり(日本語なし)。イスラエルの歴史や当時の文化的背景を理解するには、最低1.5~2時間程度の見学時間は確保したい。駐車場・お土産店レストラン等完備、AHAVA商品あり。トイレも清潔。
  • * 死海での浮遊体験
    エルサレムから60分圏内の死海北部に浮遊体験専用のビーチが3か所あり。いずれも脱衣場・シャワー・トイレ・レストラン等が完備し、冬でも体験可能だがビーチまで50~60mを徒歩で下るため、年配者には不向きか? レストランから死海を眺望し、浮遊体験の様子を撮影する等は可能だが、入場料が1,500~3,000円必要。割引料金の適用条件等詳細はオペレーターに確認要。ビーチサンダルまたはビーチシューズは必携
  • * エルサレム旧市街の見学
    コース : 今回はヤッホ門~聖墳墓教会~嘆きの壁~ヤッホ門までを徒歩でガイドの説明を聞きながら約3時間見学。
    嘆きの壁奥の「岩のドーム」はセキュリティチェックが厳しく入場に時間がかかるため、遠景のみとした。
    留意点 : 多数の巡礼者が殺到した狭い街路を歩くためガイドが参加者を把握して案内することはほぼ不可能。
    よってイヤホンガイドはMUST。又目印として同じ色の帽子やスカーフの着用で、参加者がはれなぐいよう配慮要。
    旅程保証 : 特に募集型の場合、天候・参加者の年齢層・必要見学時間等の条件によって散策コースや立ち止まってのガイディング
    時間等が異なるため、パンフレットでの見学個所の細かな表記は、旅程保証に抵触しないよう見学する必要があること
    から、特に高齢の参加者には体調不良等を引き起こす可能性大。
    日本語ガイドは旅程保証について理解しているとのこと。
    よってパンフではツアーの目的に沿った必見個所を限定しての明記が重要。
  • * イスラエル博物館
    クムランで発見された死海写本とユダヤ教・ユダヤ人の歴史や民族風習に関する展示は、現代のイスラエルを理解する上では必見。
  • * IMTM(International Mediterranean Travel Market)
    イスラエルをはじめ地中海周辺諸国の旅行会社やホテル・ツーリズム業界の関係者が参加して開かれる見本市。今回研修旅行に参加した3社はイスラエルのサプライヤーとのビジネスミーティングを実施し、有意義な情報を得られたとのこと。前夜祭では観光大臣と立ち話で日本市場への関心の高さを確認することが出来た。
  • * カエサリア
    イスラエルの地中海沿いは港に適した場所が無く、ヘロデ王が作り上げた人工の港湾都市。当初ローマ人を受け入れる目的だったため、円形劇場、ローマ式浴場、競技場など、ローマスタイルの建造物が多く建てられた。その後、ビザンツ、イスラム、十字軍の支配を受けたが、その後、18世紀ごろまで忘れ去され、ただの荒野となった。現在も発掘作業が続いている。
    海沿いに面しているため、海風の影響が強く浸食されている箇所も多いが、見ごたえは十分。観光時間30分では、円形劇場のみの見学で終わってしまう。
    遺跡全体を見学し、当地の歴史をCG化した映画(英語のみ)を鑑賞すると、最低2時間は必要。ただし、夏場は日影が一切なく、炎天下となる。レストランも数件あり、お土産屋もあるので、半日観光+昼食にすると十分満喫できると思う。特に冬季は15時が最終入場のため、旅程作成時は要注意。
    車で5分ほど走った場所に水道橋跡があるが、車窓観光で十分。
    ちなみに、当地の英語名称は「サイゼリア」。
  • * ハイファ
    カエサリアから更に1時間ほど北上したところにある、イスラエル第三の都市。
    24時間365日稼働しているイスラエルを代表する国際港。
    中世以降、長い間オスマントルコの支配下にあったが、19世紀になりドイツ人が多く入植し、ドイツ風の建物が多く建てられた。一時スラム化したが、現在では再開発され、お洒落なレストランやショップなどに改装されている。
    一方、19世紀中ごろペルシャ(現イラン)で創始されたバハーイ教の本部がハイファのカルメル山にあり、その庭園が世界遺産となっている。丘の上の庭園からハイファの街が見下ろせ、天気が良いと遠くナハリヤやアッコ(アクレ)まで見渡せる。写真映えはするが、他に観光スポットが皆無であるため、無理に旅程に組み込む必要性までは無いと感じた。
  • * 出国手続き
    今回は観光省からのレターが用意されていたため詳細な質問等もなくスムーズ に手続きできた。イミグレでは旅券と搭乗券・入国登録カードを提示後、出国用のピンク色のカードが渡され、このカードを搭乗待合室に通じる出国ゲートで機械にかざしてゲートを通過し出発ロビーに向かう。

5. まとめ

(1) Two Way Charter

IMTMを通じて、イスラエル側旅行会社やサプライヤー各社が日本市場に非常に大きな関心を抱いているのが印象的だった。イスラエル旅行業協会とのミーティングでは、Two Way Charterを話題にしたところ非常に興味を示し、ぜひとも実現したいとの強い希望を表明したので、今後日本の旅行会社と実現の可能性について協議してみたい。時期は10~11月と3~4月で8日間程度が双方向チャーターの実現可能な基本条件。以下の2名が今後のキーパーソン
Ms. Hanny Sobol CEO The Israel Association of Travel Agencies & Consultants
Mr. Yossi Fatael General Manager Israel Incoming Tour Operators  Association

(2) インフラ

道路・トイレ・空港等を含め、観光客にとってハイレベルのインフラ整備がなされていることに驚くとともに安心した。

(3) セキュリティ

高速道路の検問所やアラブ人との緊張関係にある個所では、警察や軍の銃による安全確保を目にしたが、ホテルや博物館等で荷物検査を行っているところは余り目にすることもなく、国としての治安に関する不安は感じられなかった。